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ファッション&ライフスタイル

マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった

2017.12.14
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マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった

2017.12.14

昨今すっかり山ガールという愛称も定着し、それに伴い登山愛好者の人口も増え、登山番組なんかも日常的に目にする世の中になった昨今。その一方で『ランニング』という言葉にまだ耳慣れしていない方も多いのではないでしょうか。シンプルに言うなれば、『山の中を走る』スポーツなのですが、そんな普段経験することのないスポーツに更に特異な要素を加えたタフなイベントが、本国イギリスでは今年50周年を迎え、ここ日本で第4回目が開催されました。

世界数あるアドベンチャーレースの起源と言われる最も歴史のあるレース『OMM』。オリエンテーリングとマウンテンスキルの総合力を試されるだけあり、一筋縄ではいきません。11月11日~12日の2日間に渡って、八ヶ岳野辺山高原(長野県南牧村)で開催された『OMM JAPAN 2017』に参加してきました。

マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった

八ヶ岳野辺山高原で開催された『OMM JAPAN 2017』

マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった

今年の4月からトレーニングを始めたばかりの筆者は、前夜祭があることを聞きつけ、不安を覚えながらも前日から現地入り。すると、その不安は会場の空気に触れることで、すぐに安堵に変わりました。事前に調べた大会HPや、本番で一緒に走るパートナーからは、“山の総合力を試されるイベント”と見聞きしていたため、トレーニングを重ねた猛者たちで会場の空気が張り詰めているものと思いきや、実際はその逆。文字通り“山が好き!”というオーラが出ているランナーと、それを迎える運営側の方々全ての人が満面の笑みを浮かべて和気あいあいとしており、アットホームな雰囲気を醸し出していました。

マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった

参加者の年齢層は恐らく30代中盤以降の方が大多数で、かつ女性も多数参加。数名の方に話を伺ってみると、前回(過去3回開催)のイベントにも参加をしているというリピート参加者の姿も。OMM JAPANにはいくつかコースがあり、内容は以下の通りとなっています。

(1)Straight A(新コース)
走行距離:約65km
制限時間:10時間/日
オリエンテーリング形式をとり、コントロールポイント(以下CP)を指定された順番に回り、所要時間を競います。
2日間の移動距離約65km、獲得標高約3000m/1日、平均完走タイム10時間/1日を想定したコース。

(2)Straight B
走行距離:約55km
制限時間:9時間/日
オリエンテーリング形式をとり、CPを指定された順番に回り、所要時間を競います。
2日間の移動距離約55km、獲得標高約2500m/1日、平均完走タイム9時間/1日を想定したコース。
※参考完走率 2014年 -34%、2015年 -25%

(3)Straight C
走行距離:約35km
制限時間:7時間/日
オリエンテーリング形式をとり、CPを指定された順番に回り、所要時間を競います。
2日間の移動距離約35km、獲得標高約1500m/1日、平均完走タイム7時間/1日を想定したコース。

(4)Score Long
制限時間:7時間/1日目、6時間/2日目
ロゲイニングの方式をとり、一定の制限時間の中でより得点の高いCPを獲得するために自由にルートを選択しながら進むレースです。各CPの得点は異なりますので、正確なナビゲーションと、どのCPから回るかなどの作戦も大きな鍵となるレース。

(5)Score Short
制限時間:5時間/1日目、4時間/2日目
ロゲイニングの方式をとり、一定の制限時間の中でより得点の高いCPを獲得するために自由にルートを選択しながら進むレースです。各CPの得点は異なりますので、正確なナビゲーションと、どのCPから回るかなどの作戦も大きな鍵となるレース。

しかし、獲得するCPが記載された地図は、当日のスタート時まで全く公表されないというのが、このOMM JAPANを更に面白くしているポイント。そんな話に感化されつつ、ワクワクと不安を抱きながら、筆者は眠りにつきました。

マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった

『OMM JAPAN』の醍醐味をご紹介

醍醐味その一『地図読みにスマートフォンは禁止』

大会当日に渡される地図には、いくつかCPが示されているのですが、基本的にどんなルートでアタックしていくかは各チームの自由。しかし、スマートフォンの使用は原則厳禁。 使用して良いのは、コンパスのみ。現代において、営業マンの必須アイテムGoogle Mapが使えないのです。これは、想像以上に心細いです。

醍醐味その二『荷物の軽量化』

2日間に渡るイベントなので、荷物を背負いながら走らなければいけません。しかも、1日目のゴールはキャンピングサイト。そこでテントを張り、夜食を食べながらパートナーと一晩乗り越えるイベントも待ち構えています。11月の長野は猛烈に寒い。後ほど知ったのですが、今年は氷点下10度まで冷え込んだそうです。

2日分の食料と行動食、そしてテント泊に必要な機材はすべてパートナーと協力して荷物に詰めなければなりません。ちなみに、ある一定のレベルを超えたコンペティターは、どれだけ軽量化できるかに頭を使っている時がとても楽しいんだとか。

醍醐味その三『頼れるのは己とパートナーのみ』

全5つのコースのコンペティターは、無差別かつ一斉にスタートします。そのため、前の人に付いて行けば、制限時間以内にゴールできるとは限りません。また、もう一つのルールとして、必ず2人1組で参加しなければならないということ。そのため、パートナーと相談しながら、地図とコンパスを駆使し、CPをクリアしていかなければならないのです。ちなみに筆者は、普段仲の良いパートナーと腹を割って言い合うという貴重な体験をしました(笑)。

スタートした『OMM JAPAN 2017』

大会1日目。天候は雨のち晴れ。朝5時、雨が降る寒さとともに目が覚めた筆者は、一通りの準備を終えパートナーとともにスタート地点へ移動。昨晩と違い、コンペティターたちの笑顔の裏に、不安と緊張を感じることができました。コンペティターは、その数総勢約1300名。心なしか口数も少なめです。

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しかし、そんな空気の中、幸いにも予報通りに天候は回復に向かい、綺麗な虹が我々を出迎えてくれました。

そして、前にいたコンペティターのスタート直後、エントリーしたコースの地図が渡されました。(なお、体感ではほぼ5分ごとに各コース10~20名が一斉にスタートするスタイル。合図はピストルのようなものではなく、時報の音に近いもの。)

一旦ここで、筆者が参加した1日目のコース(Straight C)をご紹介。

ピンク色で○(丸)と数字がついたポイントが、いわゆるCP。これを1番から順番にクリアしながら、最終8番のゴール地点までひたすら走るコース。このCPをクリアできれば、ルートは自由(ただし、立ち入り禁止エリアが指定されており、そこに侵入した場合は失格となってしまう)。

と、パートナーとどのようなルートで攻めるか考えているところに、『プッ、プッ、プッ、プー』とスタートの火蓋が切って落とされました! コンペティターは皆、地図とにらめっこしながら第一歩を踏み出しました。

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自然の罠、ロゲイニング力の醍醐味

開始早々、CP1~3は比較的ルート上にあったため、難なくクリア。ここまで約1時間半ほど。思い思いの作戦で散らばっていく約600名のコンペティターを横目に、パートナーとグイグイ歩みを進めます。

ここで気づいたのは、Score Long/Shortのコンペティターは、CPが各所に設置されているため、地図とにらめっこして現在地を確認していました。やはり、Straightカテゴリーとは毛色の異なるコースと改めて知ることになります。

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さて、一方筆者チームは、下り坂が続く3~4のルートをひらすら走りました。日頃のトレーニングの確かな手応えを感じながら、意気揚々と下る!下る! ここでかなりの時間を短縮することに成功! しかしこの後、CP5までの道のりで、我々に“自然の罠”が待ち構えているなんて、全く想像もしていませんでした。

CP4を順調にクリアした後は、ヤブコギの中を進む道なき道。冷静にコンパスで方角を決め、地図で逐一確認しながら、尾根を進んでいきました。すると、パートナーが「戻ろう…」とつぶやきました。「えっ?」。そう、我々は既にコントロールポイントを通り過ぎていました。なぜ、通り過ぎたのか。その答えは明確。途中からルートが合っているか少し不安を覚えた我々は、自信満々で突き進むコンペティターについて行ってしまい、地図を読んでいるにもかかわらず、合っていると“思い込んでいた”のです。

結果、道なき道を右往左往しながら、現在地が分かる地点まで戻り、ナビゲーションからやり直し。その後、なんとかCP5を見つけられましたが、30分以上はロスしました。ちなみに、“迷ったら、わかるところまで潔く戻る!”がこの大会の鉄則なのだとか。

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その後は、しっかりと反省を生かし、順調にCPをクリアしていきました。ゴール付近まで来ると公道にぶち当たり、これまで感じたことのない安堵感を抱きながらゴール! 制限時間7時間のところ、約5時間半で1日目を終えることができました。距離にして約15km。ずっと気を張っていたため、流石に肉体的だけでなく精神的にも疲労困憊です。

着替えを済ませてテントを張っていると、60代(であろう)夫婦ペアは涼しい顔で10分後にゴール。実はこちらの夫婦ペア、ゴール一つ手前にあるCP7まで、“走る”筆者チームと同列でした。一方、夫婦ペアは全く走らないのですが、CPからCPを結ぶ方角を決めたら、多少の藪があろうが、崖があろうが迷わず突き進む作戦を取られていました。大多数のチームが着実に迂回ルートを使うところでも、ご夫婦はその作戦を貫かれていました。ここで筆者チームは“スピードだけでは、この大会は勝てない”ということを深く認識し、かつナビゲーション力の破壊力を学び、興奮しました。

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テント泊の困難と、2日目

レース後は、随時更新されて張り出される結果を見て、暫定順位を確認するチームもあれば、地図を見返して反省会をするチームもあり、その一方で祝杯を上げているチームがあるなど、思い思いのキャンピングスタイルで疲れを癒やしていました。また、雲一つない快晴だったため、夜空とテントライトのコントラストは大変綺麗なものでした。

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2日目、寒さで寝られるか心配をしていましたが、結果は熟睡。5時頃には多くの参加者とともに目覚め、朝食の準備、テントの片付けなどに取り掛かりました。

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天候にも恵まれ1日目に引き続き快晴でしたが、いざ外に出るととてつもなく寒い。早くレースが始まってほしいと思うほど。(この時、氷点下10度だった模様)

再度、スタートラインで地図が配布され、レースに挑みます。

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ここで、2日目のコース(Straight C)をご紹介。CP1及び2と前半からナビゲーション力が試されるコース内容でした。しかし、一日目の反省を十分に活かし、ナビゲーションはバッチリ! 順調にCPをクリアし、特に迷うことなくフィニッシュまで辿り着くことができました。

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この日は、制限時間7時間のところ、3時間半という半分のタイムで終えることができました。距離にして12.3km。2日間でおよそ27kmの移動距離です。そして、なんと初参加にしてStraight C部門79組中10位! 意外と健闘した方ではないでしょうか。

その結果の裏には、パートナーと地図を読み合い、体力の差から口喧嘩をするなど様々なことがありました。しかし、それも終わってしまえば笑い話。過酷な2日間を乗り越えたことで、より絆を深めることに。

なお、後日発表されたStraightカテゴリーの完走率を見ると、Straight A -43%、Straight B -68%、Straight C -71%でした。

マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった
マウンテンスキルが試される1泊2日の山岳レース『OMM JAPAN』がキツくも楽しかった

“山の総合力”が試される『OMM JAPAN』。同イベントでは、各々積んできたトレーニングの成果を発揮する場面でありながらも、自身で決めたルート上の壮大な景観を楽しむこともできる(筆者の知る限り)他に類を見ないイベントでした。

何よりも大会前と大会後の自身の成長を感じることができたため、来年度のOMM LITE/OMM JAPANのエントリーが待ち遠しくなっているのは筆者だけでないはずです。

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高橋翔宇(兄)・龍宇(弟)
アウトドアスタイルをこよなく愛する双子・高橋翔宇と龍宇。

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