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『スラムダンク』・三井寿は、なぜナイキではなくアシックスを履く!? 登場人物のバッシュの選び方

2017.04.11

バスケット漫画の不朽の名作として、数多くのファンを夢中にさせた『スラムダンク』。週刊少年ジャンプに掲載されていたのは、もう20年も前。2017年のいま読み返しても、まったく色あせることなく、つい引き込まれてしまいますよね。そんな同作のバスケットボールシューズについて今回は取り上げたいと思います。その前に、同作のふり返りから。

『スラムダンク』・三井寿は、なぜナイキではなくアシックスを履く!? 登場人物のバッシュの選び方

まだあわてるような時間じゃない……スラダンの名言

スポーツ漫画として熱いストーリーがありながらも、個性豊かな登場人物が笑いを誘う。緊張と緩和が絶妙なのが、この漫画の素晴らしいところ。人気が高いのも納得です。

様々な名シーンが生まれた同作ですが、皆さんはどのようなシーンが印象的でしたか? 今でもよく利用される名言が、安西監督の

『あきらめたら そこで試合終了ですよ…?』

(スラムダンク、集英社、ISBN-10: 408871847X、ISBN-13: 978-4088718477、1996/02)

。これを自分に言い聞かせて、危機を乗り越えた人も多いのではないでしょうか。

この名言が生まれたのは、安西先生と三井寿のやりとりの中。“天才中学生プレイヤー”として名を轟かせていた当時の三井。しかし、県大会決勝では負けている状況の中、ゲーム終盤にさしかかります。残り時間がわずかとなり、ゲームを諦めそうになる三井……。しかし、そこで、安西先生に言葉をかけてもらうことに。それに奮起した三井は、なんとかゲームをひっくり返すのです。

『あきらめたら そこで試合終了』。安西先生の厳しくも優しい言葉が、三井を奮い立たせました。

こちらのシーンも大変印象深いものがありました。仙道彰の『まだあわてるような時間じゃない』。皆さん、覚えていますか?

インターハイ予選で湘北と対戦した仙道率いる陵南。試合の中で、陵南にとって劣勢の時間が続くシーンがありました。焦る陵南の選手たち。1人が焦り出すと、その空気は誰かにうつり、2人、3人と伝播するもの。この悪い空気がチームを支配し、勝ちゲームだったのに負けてしまうという展開は、珍しくありません。

そんな中、陵南のスーパーエースが一言発したのです。

『まだあわてるような時間じゃない』

(スラムダンク、ISBN-10: 4088716299、ISBN-13: 978-4088716299、1994/07)

これまで幾度となくチームを救ってきた仙道だからこそ、説得力のある言葉でした。短い言葉であっても、チームを奮起させるには十分でした。

以上のように同作には数多くの名言がありますが、あなたの心の支えとなっている名言は何ですか?

『スラムダンク』・三井寿は、なぜナイキではなくアシックスを履く!? 登場人物のバッシュの選び方

『リョータなんかは、なんとなくリーボックっぽい』井上雄彦さんが語る

さて、スニーカー好きにとっては、同作の足元も気になっていたのではないでしょうか。同作では、それぞれの選手が自分に合ったバスケットボールシューズを履いていました。

そんな選手のスポーツシューズについて、作者の井上雄彦さんは書籍『30バッシュとスーパースターで振り返るNBA30年史』でこのように語っています。

『モデル選びは“なんとなく”です(笑)当時の感覚ですが、(宮城)リョータなんかは、なんとなくリーボックっぽいなっていう…。三井寿は中学MVPという設定なので、アシックスかなとか…。ずっとやっているヤツという感じで。流川はジョーダンに憧れているから〈エア ジョーダン〉ですけど』

(30バッシュとスーパースターで振り返るNBA30年史、日本文化出版、ISBN-10: 4890842322、ISBN-13: 978-4890842322、2015/9/9)

『スラムダンク』・三井寿は、なぜナイキではなくアシックスを履く!? 登場人物のバッシュの選び方

おしゃれな雰囲気のある宮城は、確かにREEBOKが似合いますね。また、『本格的に取り組むならばアシックス』というのはバスケット界でお馴染み。三井の他にも、山王工業の沢北栄治河田雅史、陵南の魚住純、翔陽の藤間健司もまた、ASICSのスポーツシューズを履いていました。どれも本格的なプレイヤーばかりですね。アメリカ行きを目指す流川が、NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンに影響を受けていることにも納得です。

主人公の桜木は、バスケットを始めた当初は体育館シューズでプレイしています。実はこれ、井上さんの実体験からきているようです。ご自身も体育館シューズでバスケットをスタートしたようで、桜木と同じようにすぐにやぶけてしまったのです。

そこでバスケットボールシューズを手に入れる桜木。彼が履いているのは『エア ジョーダン』でした。バスケット素人の桜木ですから、その価値なんかはよく理解していません。ですが、井上さんは

『桜木には一番釣り合わない“豚に真珠”的なのが面白いと思って、〈エア ジョーダン〉にした』

(30バッシュとスーパースターで振り返るNBA30年史、日本文化出版、ISBN-10: 4890842322、ISBN-13: 978-4890842322、2015/9/9)

と同書でふり返っています。

そもそも桜木は、このシューズを定価で購入していませんよね。スポーツ店店長のお気に入りの私物を強引に30円で買い取るというあり得ない購入方法であったことは、スラムダンクファンにはお馴染みのシーンと言えるでしょう。

他にも仙道のスポーツシューズはCONVERSEであったことが思い出されます。

『これはマジック・ジョンソンがコンバースを履いていたのと、関係があるかもしれないですね』

(30バッシュとスーパースターで振り返るNBA30年史、日本文化出版、ISBN-10: 4890842322、ISBN-13: 978-4890842322、2015/9/9)

と同書でふり返ります。赤木もまたCONVERSE愛用者です。

主人公の桜木だけでなく、ライバル高校の選手たちのキャラクターも繊細に描かれた同作。お気に入りの選手を目指すために、同じようなシューズを選んだ人もいるでしょう。その履きこなしやプレースタイルを真似るのです。

なかなか漫画に登場するキャラクターのスポーツシューズを真似ると、いうのは珍しいかもしれませんが、同作はそれをさせるほどの影響力がありました。時が経ち、いまではBリーグが開幕し、バスケットを取り巻く環境が変わってきました。今度はリアルなバスケット選手に憧れ同じようなシューズを履こうとする人も出てきました。

皆さんにとって、お気に入りのシューズは何でしたか。

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