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「シューズは夕方に買う」、経営者×アスリートのプロランナー・八木勇樹のシューズ論

2017.06.23

前回は、現在も現役で活躍中のマラソンランナー・八木勇樹選手に、これまでの経歴、プロ転向の経緯をお話しいただきました。今回はそんな八木選手のマラソンへのこだわり、独自のシューズ論を中心に展開していきます。東京五輪を目指すトップアスリートならではの考え方、今後の展望について語っていただきました。

「シューズは夕方に買う」、経営者×アスリートのプロランナー・八木勇樹のシューズ論

八木勇樹 やぎ・ゆうき
1989年10月17日生まれ。マラソンランナー。西脇工業高校(兵庫)→早稲田大学→旭化成→株式会社OFFICE YAGI
陸上競技のトップ選手として、高校3年時の国体少年A5000mでは外国人留学生を抑え優勝。高校2年時から高校3年時にかけてトラックレースでは無敗。早稲田大学在学時の2010年度、史上3校目となる大学駅伝3冠達成時の主将。旭化成ではトラック・駅伝・ロードレースで活躍。2016年7月にプロランナーに転向し、『YAGI RUNNING TEAM』を立ち上げ自身の競技と共に市民ランナーの指導も行う。『SPORTS SCIENCE LAB』の開発責任者。
<YAGI PROJECT> http://www.yagi-project.com/
<SPORTS SCIENCE LAB> https://sslab.tokyo/

2020年はマラソンで勝負!

東京五輪のマラソンで、メダル獲得に照準を定めている八木勇樹選手。元々はトラックを中心に活躍してきたスピードランナーで、昨年6月に実業団の名門・旭化成を退社するまではフルマラソンのレースに出たこともありませんでした。

では、なぜ“マラソン”で2020年大会を狙うのか。その理由を八木選手に答えていただきました。

「単純に花形種目ですし、勝つ可能性が高いのはマラソンかなと。僕自身はまだ(マラソンを)経験してなかったですし、どうなるかわからないという部分にワクワクしました。5000mや10000mはもうメソッドが確立していますし、日本人が入賞しようと思ったら相当な記録が必要になります。その中でも1番チャンスがあるのがマラソン。そこで勝負して東京大会でしっかり狙いたいなという思いがあったんです」

かつて宗茂・猛兄弟、谷口浩美、森下広一など、世界の舞台で活躍したマラソンランナーを多数輩出してきた旭化成。そんな名門チームではマラソンに出るまでの練習過程が重要視され、八木選手は出場までに至らなかったようです。独立後は旭化成のマラソンメソッドを参考に取り入れ、昨年11月の『神戸マラソン』で念願のマラソンデビュー。2020年へ向けて新たなスタートを切りました。

「僕なりに旭化成のメソッドを改良し、アレンジを加えて自己流を作り上げたんです。何で体調が悪くなったのか、何でケガをしたのか、それを事前に把握しない限り、レースでコンディションを合わせることは難しいし、トレーニングをする意味がない。ただ汗をかいたとか、みんなとやって達成感があったとか、そんなのではなくて、目標を達成するためにどういうトレーニングを行えばいいか。自分の能力値としてどこが弱点なのか、しっかり知る必要があるんです」

その考えを基に作られたのが、先日オープンしたばかりのトレーニング施設『SPORTS SCIENCE LAB』。ここでは『走力測定』『低酸素ルーム』『パーソナルトレーニング』などのサービスを受けることができ、オープン直後から多くのランナーが利用しているそうです。

「シューズは夕方に買う」、経営者×アスリートのプロランナー・八木勇樹のシューズ論
当施設自慢の『トレッドミル』。ここで様々な測定を行い、個別のトレーニングプランを提案している
「シューズは夕方に買う」、経営者×アスリートのプロランナー・八木勇樹のシューズ論
地下にはトレーニング室(写真)のほか、シャワーや更衣室も完備

「ようやく僕たちが広めようと思っているランニングのメソッドなどを教えられる場ができました。ここからしっかりとしたランニングを啓蒙していきたいですね!」

<SPORTS SCIENCE LABホームページ>

東京五輪を目指すプロランナーのシューズ論

「シューズは夕方に買う」、経営者×アスリートのプロランナー・八木勇樹のシューズ論
独自のシューズ論を展開する八木選手

現在もプロランナーとして活躍中の八木選手。そんな彼ならではのシューズの選び方を聞いてみました。特に普段マラソンに取り組んでいる人には、必見の内容です。

「シューズを選ぶ際に重視しているのは、接地した時に“ブレない”こと。これは万人に言えることなんですけど、クッション性って衝撃を吸収することだけじゃないんです。接地局面で脚をブラしてしまうクッションだと、膝や足首周りの負担が大きいのでケガをしやすい。接地した時に、いかに地面から力をもらうかが重要になってくるので、そこがしっかりできるというのが、基本的にはシューズを選ぶ軸になるのかなと思います」

その他、八木選手がシューズを選ぶ際のポイントとして挙げてくれたのが以下の3点。

・シューズは夕方に買いに行く(朝と夕方でサイズが変わるため)
・靴下を履いてシューズを試着する(できればランニング用の靴下で)
・試し履きは座った状態ではなく、その場で歩いたり走ったりしてみる

「シューズを見る時は前後の柔らかさだけでなく、横の柔らかさも重要です。横に柔らかすぎるとフォームのブレにつながり、体重が逃げてしまいます。クッション性がある、楽に履けるというのは、結果としてケガにつながる可能性があるので注意しましょう」

八木選手お気に入りのシューズは?

では、そんな八木選手は現在どのようなシューズを愛用しているのでしょうか。

「今まではあまりメーカーにこだわらず、いろんなシューズを履いてきました。僕は比較的軽くて、しっかりとクッション性とホールド感のあるシューズを好んでいるのですが、今は『NEW BALANCE(ニューバランス)』『HANZO<ハンゾー>』シリーズを使用しています。特にその中でも『HANZO R』はシリアスランナー向けのシューズで、インターバルトレーニングや距離走にも対応できるマルチなシューズです。普段ゆっくりジョグをする時は、もうちょっとクッション性のあるシューズで走ることもありますが、個人的にはジョグの時もHANZO Rがいいですね。あくまでもサブ3.5くらいの人がレースで走る用のシューズなので、もっとゆっくり走る方はひとつ下のモデル『HANZO T』をオススメします。ちなみにレースでは『HANZO S』という1番軽いタイプを使用しています」

「シューズは夕方に買う」、経営者×アスリートのプロランナー・八木勇樹のシューズ論

八木さんが愛用しているというNEW BALANCEの『HANZO R』。インターバルトレーニングから距離走まで幅広く使用できるマルチなシューズ

会社も自身も上のレベルへ

「シューズは夕方に買う」、経営者×アスリートのプロランナー・八木勇樹のシューズ論

八木選手(左)の隣でサポートしているのは『SPORTS SCIENCE LAB』の代表で、早稲田大学競走部の同期でもある三田裕介さん 写真提供=ご本人

最後に、今後の会社の展望と、八木選手個人の目標を伺いました。

「会社としては、5月10日に僕がプロデュースした『SPORTS SCIENCE LAB』がオープンして、僕たちが提唱する“正しい”ランニングメソッドを広める場がようやく完成しました。今後はもう少し会社としての活動を本格化させていきたいので、そこに力を入れていきます。

競技者としては、7月にゴールドコースト、8月に北海道、来年2月に東京とマラソンレースをすでに入れているので、最低でも2時間12分くらいで走りたいですね。しっかりと結果を出して、もう1段階、2段階上のレベルで勝負できるように、力を付けていきたいと思います!」

3年後の2020年東京五輪のマラソン代表には、30歳となった八木選手が選ばれているかもしれません。実業団と決別し、厳しいプロの道を選んだエリートランナーの動向に注目です!

八木さんが愛用する『HANZO R』を生み出したNEW BALANCEのシューズはこちら

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松永貴允
1991年生まれ。陸上競技を中心に、主にスポーツの取材・執筆を行う若手フリーライター。小学生の頃からのスポーツ競技経験(野球、陸上競技、ラクロス)を生かし、紙媒体、WEB媒体問わず執筆中。スニーカーは中学時代からVANSひと筋。

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