アウトドアといえば釣り! 怪魚ハンター小塚拓矢が語る釣り&怪魚の魅力と釣りファッション
外遊びが楽しい季節、DOORではアウトドア企画をお届け! 第3弾のテーマは、水中のロマン・魚釣り! 今回は、釣り竿片手に未知の魚との出会いを求め世界中を渡り歩く“怪魚ハンター”小塚拓矢さんに、釣りの醍醐味と楽しみ方、私物のマストハブアイテムを紹介していただきました!
小塚拓矢(こづかたくや)
富山県生まれ。現在までに51か国、計1187日、世界を釣り歩く。いつの頃からか“怪魚ハンター”と呼ばれ、『情熱大陸』や『アナザースカイ』など、地上波テレビにも出演。近著に「怪魚を釣る」(集英社)、「怪魚大全」(扶桑社)など。 Facebook
多くの怪魚と出会ってきた小塚が語る、怪魚・釣りの魅力とは?
まだ見ぬ魚との出会いを求めて、国内の川はもちろん世界各国・地球の裏側までも旅する小塚拓矢さん。まるでモンスターのような巨大魚を竿1本で「狩る」豪快さは、釣り好きのあいだではもちろん多くのメディアで取り上げられ、その破天荒なスタイルからいつしか“怪魚ハンター”という異名をとるまでに。
そんな小塚さんが初めて釣り竿を握ったのは、幼少期。現在のスタイルにつながるキッカケは、10代の頃だったといいます。
「思春期の『なにをしたいのかわからないけど、なにかせずにはいられない』っていう時期に、好きな釣りをしながら旅をしようと思ったんです。でも、病気とか少し怖いな…って不安になっていたとき、たまたま好きな女の子にフラレちゃって。それで、その子に『デカイ魚を釣る!』って宣言したんです。言った以上はやるっきゃないんで、それが原動力になりました。まあ、今思えば女の子が釣りでスゴイ! って言ってくれるわけがないんですけどね(笑)」
小塚さんが追うのは、河川や湖沼に生息する“淡水魚”。
「世界に3万種類くらいいる魚のうち1万種類が淡水魚なんです。逆に世界の水の99%が海水で、凍っている水が北極と南極に2%、真水は1%。ようするに、1%の水に世界の魚の3分の1がいる。海水で行ききできない川が2つあると、それぞれに進化するので、すごく多様性豊かなんです。そのなかで特にトガったヤツがいて、そいつに会いにいきたい。たとえば、カジキやマグロってインド洋にもいれば太平洋にもいるんですけど、淡水魚になるとアマゾンに行かなきゃアマゾンの魚には会えない。旅しないと、会えないんです。その旅路の七転八倒が魅力だなって。釣りのついでに世界遺産を見たり、食べたことのないものを食べたり。旅があるっていうことが淡水魚を釣り歩く魅力ですね」
そもそも“怪魚”とは? 小塚さんいわく「僕のいう怪魚は、わかりやすく説明すると1mくらいの淡水魚のこと。なんですけど、直感的にカッコいい! と思える魚であれば、それは怪魚と呼んで良いんじゃないかなと思います。雷魚やナマズのようななんてことない魚でも少年にとってみたら怪魚だろうし、ちょっと簡単には釣れないぞ! っていうのが、おもしろいところだと思います」
これまで吊り上げた魚は数知れず。世界5大陸、約50ヵ国を旅しながら釣り歩いてきた小塚さんに特に印象深かった怪魚たちを挙げていただきました。
「2m20cm越えの古代魚ピラルクー、ナマズの王様・ピライーバ、ノコギリエイ――。一番釣れてうれしかったのは、アフリカの“怪魚 of 怪魚”ムベンガ。こいつは、なんだかんだ日本を出て61日目に釣ったんですけど、レアさ・難しさ・地球の裏側の治安の悪いコンゴ川にしかいないっていうことを考えると、それだけ苦労しているので喜びもひとしおでしたね」
写真提供:小塚拓矢
「もちろん日本にも1mを超える魚はいて、僕のなかの怪魚の定義からは少し外れるけど、利根川にいる142cmのアオウオは国内で釣った一番大きな魚です。都内で釣りに行くなら、青梅市の多摩川上流あたりがキレイで涼しいですよね。海外ならアマゾンとか、赤道直下帯すべてがオススメです(笑)」
初心者の釣りは旅の“ついで”にがベスト
「僕は、いわゆる釣りのプロみたいなところには興味がなくて。釣りというよりは魚が好きなんです」という小塚さん。釣り初心者へのアドバイスは? という質問にも“らしい”答えが返ってきました。
「どんな趣味もそうですけど、やりすぎると成功がベースになっちゃう。釣れないと悔しくなっちゃうから、小さな魚を釣れる装備をちょっとした旅行に持っていって釣れたらラッキー! ぐらいの感覚でやってみると良いかも。あと、現代の旅を楽しむコツは、なんでも調べ過ぎないこと。常に初心者でいるほうが、おもしろいんじゃないかなって思ってます」
小塚流釣りの旅道具&ファッションはバックパック1つにイン!
怪魚を求めて世界各国を旅するスケールの大きさに反して、小塚さんの装備は意外なほどコンパクト。基本的は30ℓ程のバックパックに釣り道具と衣類+αを詰めた身軽でラフなスタイル。今回は、取材翌日その足で初のロシアへ渡るという(もちろん行き当たりばったり!)リアルなハンター装備を見せていただきました!
「テレビの取材で2週間南米に行ったときの装備もこんな感じ。濡れると困る衣類は防水ケースに、蒸れると壊れたり錆びたりする釣り道具はメッシュポーチに分けて入れています。あとは、釣れた魚を食べる用にトムヤムクンスープ。Montbellさんが掲げている“Light&Fast”が旅するコツかなって思います」
「根本的にアウトドアって、安全でも快適でもないんですよね。そんななかでどれだけリスクを軽減させながら遊べるかっていうところだと思うし、道具を過信するとむしろケガしちゃうので。時には危ない目にもあって『次は大惨事にならないように』って考えるのがオススメの遊び方。シンプルな装備で行ける範囲で楽しむのがポイントかなって思います」
「値の張るものを着てしまうと汚れを気にして動きが制限されてしまうので、汚れが目立たない色柄だったり、なくしたり捨てても良いくらいのものをあえて選ぶことが多いです。ただ、防水対策とサングラスはケチらないようにしています。偏光サングラスは水中の魚が見えやすくなることに加えて、紫外線が入ってこないから目が守られるんです。ちなみに、日焼け止めはSK-Ⅱがブッチギリで良いですよ! 赤道直下で釣りする僕が言うと説得力ありますよね(笑)」
この日の小塚さんの釣りファッションもチェック!
ガード&乾きやすさが大切な釣り靴はダナーがぴったり
「足元は、経験から足の先が守られていないと危ないっていうのがわかっているので、足先がガードされるものを選ぶようにしています。今回の『ダナー(DANNER)』のラップトップライト<WRAP TOP LITE>はネオプレーンで他の素材よりも乾きやすいし、サンダルと同じような感覚で履けてつま先もしっかり守られている。それに、密着していて砂利も入ってこないので、ストレスなく歩けるのも良いですね」
「今日くらいの気軽な釣りなら、サラバンダ<Sarabanda>でも充分。マジックテープとバックルの2段階で調整できるので、1回足の形に合わせてしまえば、あとはバックルを留めるだけ。いちいち調整する必要がなくて便利ですよね。ソールのクッション性も高いし、サンダルだとニオイが出にくいのもうれしいですね」
「怪魚ハンターにはならない方が良い」
最後に、「怪魚ハンターになるには?」という質問に、小塚さんが答えてくれました。「よく子どもたちからも聞かれるんですけど“怪魚ハンター”にはならないほうが良いと思うんです。仮になったって、二番煎じですからね(笑)。目の前にある瞬間瞬間を全力で楽しんでいれば、そのうち怪魚ハンターとは別の呼び方が付いてくるんじゃないかなって思うんです。そのときどきにしか見えない景色があって、そのすべてが一期一会なわけで。カッコよく言うと、時間は金で買えるけど時代は買えないんですよね。そこは、僕がずっと大事にしているところかなって思います」
「世界の怪魚はひととおり釣り終えたので、今は深海魚にハマっていて。深い海はまだ未知があるし、シーラカンスを釣るのが目標です」と語る小塚さん。怪魚ハンターの冒険は、まだまだ続きます。アウトドアフィールドを熟知したダナーのシューズは、街歩きはもちろん、ときに過酷な釣りの現場にもぴったり! 防水性が高く、ぬかるみにも強いラップトップライトに足元を任せて、この夏冒険の一歩を踏み出してみては?
photo by Masaru Kato
text by 野中ミサキ