現代のものと全く同じデザイン!? 1917年に誕生したコンバースのオールスター
スニーカーの歴史を紐解く同企画。最初に取り上げるスニーカーは、ご存じ、『コンバース(CONVERSE)』のオールスター<ALL STAR>です。スニーカー好きの基本中の基本。複数持ちの方も多いスニーカー界の人気者です。
そんなオールスターがどのように誕生したのか、ふり返ってみましょう。
コンバースの歴史とバスケットボールとの関係
コンバースの歴史は非常に長く、始まりは1908年でした。ビーコン・フォールズ・ラバー・カンパニーでマネージャーを担当していたマーキス・M・コンバース。彼は、降雪量が多く、深い森や湿地帯の続くマサチューセッツ州の地域性に着目し、コンバース・ラバー・シュー・カンパニーを同州モールデンに設立しました。
雨や雪の日でも作業ができるラバーシューズの製造を開始し、コンバースのシューズは圧倒的な支持を得ることに。最初は15人しかいなかった従業員が、創業2年後には350人にふくれあがりました。
更なる成長を目指したマーキスは、雪の多い冬場に需要が集まるラバーシューズだけでなく、通年で販売が可能な商品に着手するのです。そこで目を付けたのがバスケットボール。
1891年に誕生したバスケットボール。当時YMCAで体育教師だったネイスミス博士が、冬場にできるスポーツとして考案しました。ある程度の認知度はありましたが、まだまだマイナースポーツだったバスケットボール。マーキスは、この球技に将来性を感じ、工場に新しい生産ラインを増設したのです。
さまざまな試行錯誤の末に1917年、コンバースはバスケットボールシューズの開発に成功。誕生したのがオールスターなのです。
このオールスター、実は驚くほど現在のものと変わらないというのです。そんな同シューズを愛用していたのが、当時のスタープレイヤーのチャック・ティラー選手。プロリーグの前身であるバッファロー・ジャーマンズに入団し、アクロン・ファイアーストーンズを含む2つのプロチームで11年間プレイした彼の足もとには、常に同シューズがありました。
最後までシューズの機能性を愛していたチャックは、引退後もコンバースのシカゴ営業所でアドバイザー兼セールスマンとして契約。多くのプレイヤーに同シューズを広めました。さらに、今でいうプロフェッショナルアドバイザーというかたちで、シューズの性能向上のために、様々なアドバイスを与えました。
1936年のベルリン大会でバスケットボールが正式種目になったことも追い風になり、コンバースといえば、バスケットシューズという認識が世間に広まりました。現在のNBAの前身・BBAが1946年に発足されると同時に、コンバースはロゴマークを一新。
彼の偉大な功績を称えて、彼の名がアンクルパッチ(くるぶしを保護するための円形のパッチ)に記されるようになったのです。
世界的なスニーカー、オールスターはこのようにして生まれたのです。
受け継がれる伝統を現代のテクノロジーでアップデート
そして、そんな定番スニーカーは、今年で生誕100周年となるのです。そんな記念すべき年のために、ALL STAR 100thアニバーサリーモデルが登場しました。
このモデルの注目ポイントは、機能性の向上。軽量性、クッション性、フィット性、通気性が向上したREACTインソールを採用。防滑性に優れたトランクションソールを採用することで、路面での滑りを回避。消臭抗菌加工を施したメッシュライニングも搭載されました。これにより、フィット感を向上させ、また、美しいシルエットの実現にも成功しました。ヒールラベルは新デザイン。また、同じく外観として、星の部分をメタリックブルーにディテールアップしたアンクルパッチとなっています。
基本部分はこれまでと同じコンバースではありますが、記念モデルは時代にマッチした機能の向上が見られます。100年前の基本設定に加えて、大幅に機能性をアップさせた同モデル。コンバースの新定番となりそうなオールスター 100thアニバーサリーモデルは、スニーカー好きにとって無視できない1足となっています。