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365日いかなるシーンでも!コンバースにも搭載された“ゴアテックス”

2020.11.04

ゴアテックス搭載のシューズというと“タフで機能的”といった漠然としたイメージはありますが、具体的に何かスゴイの? といざ問われると、「……」となってしまう人も、少なくないのでは。そこで、今回は日本ゴア社の担当者である平井康博さんに取材。初心者にも分かりやすいように、ゴアテックス フットウエアの魅力を存分に語っていただきました。

さらに、最近のゴアテックス フットウエアは、アウトドアシーンにとどまらず、さまざまなシチュエーションにマッチするラインナップが登場しているとか。パパは革靴、ママはスニーカー、さらにはキッズ用のシューズ……と、ファミリーで楽しめるようなゴアテックスの波が到来中! 身近に手に取る機会が、ますます増えそうですよ。

 

一体、ゴアテックスとは何なのか。噛み砕いて解説!

——まず、ゴアテックスの基本から教えてください。どんな素材なんでしょう?

「ゴアテックス プロダクトと呼ばれる製品には、共通してすべてこの『ゴアテックス メンブレン』が使われています。内部に微細な孔(あな)を無数に持っている樹脂の膜のようなものをイメージしていただけるとよいのかもしれません」

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「この『ゴアテックス メンブレン』を表地と裏地で挟んだものが『ゴアテックス ファブリクス』。ゴアテックスの生地の構造は、基本的には3枚合わせ、もしくは表地との2枚合わせになっています。例えばゴアテックスのウエアとしてよくイメージされるシャカシャカ系のレインウエアなら、表地にナイロンが貼り合わされているということです」

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——真ん中の白いフィルムが、ゴアテックスのテクノロジーなのですね! これは何でできているのでしょう。

「出発原料は、『蛍石』という天然の鉱石です。珍しくないもので、世界各地で産出されるようですよ。この蛍石にさまざまな化学的な処理が施され、『PTFE』というフッ素系の樹脂が抽出されます。それを薄いフィルム状にしたものがゴアテックス メンブレンとなるのです」

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——へぇ、もとはこんな石なんですね! ゴアテックス ファブリクスは具体的にどんなことに優れた素材なのですか?

「ゴアテックス ファブリクスの特長は、『防水透湿性』。水を通さずに、水蒸気を通過させる機能のことです。ゴアテックス メンブレンの微細な孔(あな)は、水滴と比べてはるかに小さいため、水が通ることはできません。一方で、水蒸気が通り抜けるには十分な大きさ。だからこそ『雨などの水は通さずして汗などの水蒸気は外に逃す』ということが可能になりました」

——それはつまり、“濡れにくく、ムレにくい”ということですよね?

「はい。とくに足は体で一番汗をかく部位ですし、シューズは密閉された空間。だからこそ、ゴアテックス フットウエアは、透湿性にはかなりこだわって製品開発をしています」

 

ゴアテックスのテクノロジーを実験で検証!


365日いかなるシーンでも!コンバースにも搭載された“ゴアテックス”

右には普通のビニール、左のオレンジのものはゴアテックス ファブリクス。コップの上に置きお湯を注ぐと、両者とも水が下に落ちることはありませんが、左は注いですぐにコップが曇り始めました。つまり、ゴアテックスは『水を通さず水蒸気を通している』ということが分かります。

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左には普通のビニール手袋、右の白い手袋はゴアテックス ファブリクスで作った手袋。ビニール手袋はつけるとすぐに蒸れ始めましたが、ゴアテックスはしばらくつけていても、さらっとしています。

 

ゴアテックスフットウエアの可能性


——フットウエアは、ウエアよりも後のタイミングで商品化されたのですよね?

「はい、そうなんです。ゴアテックス フットウエアで初めて登場したモデルが、発売から今年で40周年となるダナーライト<DANNER LIGHT>です。ダナーライトを踏襲して作られた、こちらのダナーフィールド<DANNER FIELD>にも搭載されています」

Danner

ダナーライト

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Danner

ダナーフィールド

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——靴もウエアのようにいろいろな種類がありますか?

「ウエアの場合は、表地と裏地の組み合わせで無数の生地へと転換が可能ですが、フットウエアの場合は裏地なので、ゴアテックス ファブリクスの種類は20種類程度。その一方で、アッパー素材には無数の組み合わせがあります。ゴアテックス フットウエアのアッパーの素材には、透湿性が高く、水を吸い上げにくい加工がされたものが使われています。また、作り方も特殊で、透湿性を妨げるような接着剤の使用を制限しているんです。基本的には、こちらのゴアテックス ブーティが足を包み込むように内蔵されています」

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——基本的には……というと、これが入っていないものもあるのですか?

「ゴアテックスの最新テクノロジーである『ゴアテックス インビジブルフィットテクノロジー』のモデルは、少し構造が異なっています。代表的なものに、こちらの『サッカニー(SAUCONY)』のペレグリン 8 GTX<PEREGRINE 8 GTX>というモデルがあります」

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——従来のものとは、何が違うんでしょうか?

「いま市場に出ているゴアテックスのシューズは、そのうちのほとんどが先述のブーティ構造を採用しています。ゴアテックスの生地を靴下状に仕立てたものが、靴の中に入っているんですね。ただそうすると、屈曲動作が多いランニングでは、重なりがストレスになったりフィッティングに影響してしまうことがあります。そこでランニングでの快適性を追求し開発されたのが、このインビジブルフィット フットウエアです。靴のアッパーにゴアテックス ファブリクスが直接貼り合わせられています。アッパーが一枚なので、フィッティングが通常のランニングシューズと同等になりました」

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「また、どうしてもブーティ構造だと、かかとの周囲で縫い合わせないといけません。だから、ゴアテックスのシューズって必ず縫い目が入っているんです。ところが、インビジブルフィットはその必要がありません。だからこそ、普通のランニングシューズと同じように、かかとを包むようにスポンジなどを配置できるドロップライナー構造が可能に。インビジブルフィット テクノロジーによって、通常のランニングシューズにプラスして防水性、透湿性、防風性の機能を加えることに成功したのです」

Saucony

ペレグリン

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——なるほど! アウトドアやランニング……と、シーンで使い分けが可能になってきたということですね。ゴアテックスが搭載されているのは、やっぱりスポーツ向けのスニーカーだけなのでしょうか?

「ゴアテックス搭載のフットウエアというと、テクニカルなものばかりが想像されがちですが、最近ではいろいろな靴への搭載の開発が進められています。例えば、『コンバース(CONVERSE)』のオールスター<ALL STAR 100 GORE-TEX OX>。ゴアテックス ファブリクスで成形されたブーティが内蔵されています」

CONVERSE

オールスター 100 ゴアテックス LG ハイ

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——コンバースと聞くと、キャンバス地で水を吸いやすいイメージですけど……ゴアテックスが搭載されていると、やはり全然水を吸わないんでしょうか?

「そうですね。写真のようなスエードレザーでも、キャンバス素材であっても、すべてのゴアテックス フットウェアには水を吸い上げにくく加工した特別なアッパー素材が採用されています。アッパーだけでなくスポンジや靴ひもなど、細かい部材にいたるまで、素材選びにはかなりシビアです。ゴアテックス ブーティにもシームシーリング加工という、縫い目からの水の浸入がないようにします。防水性だけでなく蒸れにくさのポイントとなる透湿性についても重要。ゴア社とメーカーさんと工場の3社一体で協力して徹底した品質管理をしています。防水性のテストはもちろん、実際の靴の状態でどれだけ湿気が逃げているかっていうのをゴア社のラボでテストをして、クリアしたものだけが販売できる。商品化する前に、何度も試作と実験を重ねるのです」

365日いかなるシーンでも!コンバースにも搭載された“ゴアテックス”

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上は、縫い目にシームシーリングテープ加工がされていない生地。下はその加工がされているゴアテックス ファブリクス。張った水の上から生地をかぶせ、機械で水圧をかけていきます。すると、加工がされていないものからは縫い目から水が噴射。一方でシームシーリングテープ加工をした下の布からは、水が出てくることはありませんでした。

——他にはどんな靴がありますか?

「ビジネスシーンで履けるような革靴の展開もあります。日本は、ゴアテックス ファブリクス採用のビジネスシューズの流通量が世界一なんですよ。さらに女性用のパンプスやブーツ、子ども用の『アシックス(asics)』のスクスクシリーズにも採用。このモデルは、歩き始めた頃から小学高学年くらいまでの幅広いレンジで展開されています。ゴアテックス ファブリクスで水を通さないということは、靴下の汚れが普通のスニーカーと比べると歴然の差。泥などですぐに汚れがちな子どものスニーカーでも、内側はキレイな状態です。だから、ケアは外だけ洗えばOK。そうするとすぐに乾いて次の日も履けるので、ママとしてはケアがとても楽ですよね。蒸れにくく、汗をかきやすい子どもの足にもオススメです。さらにその透湿性で雨の日も晴れの日も関係なく快適に履くことができるなど、良いことづくめです」

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ゴアテックス フットウエアのケアはどうすれば?


——いまケアの話が出ましたが、もちろんケアはしたほうがいいんですよね?

「防水性はゴアテックス ファブリクスに損傷がない限り続きますが、アッパーの水はじき、“撥水”機能は、使っていくうちに落ちてきますので、定期的なケアをしてください。ケアすることでシューズを長く、テクノロジーを活かした快適な履き心地を楽しめます」

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——定期的にということは、頻度の目安は?

「アッパーの汚れが目立ってきたら、また汗や匂いが気になったらケアのしどき。ゴアテックス ファブリクス自体は、洗ったりすることで特性が変わったり、劣化しやすくなることはありません」

——最適なのはシューズ用のケア用品でしょうが、使ってはいけない洗剤などはありますか?

「表側の汚れはアッパー素材に応じたケア用品を使用してください。固形の石けんなどは溶け残りがあると、それが汚れのような働きをしてしまい、水を吸いやすくなってしまいます。洗剤を使う場合は液体のもの。靴用に作られた市販のタイプもオススメです。内側を洗う時は、タワシなどで強くこすったりするのはNG。ゴアテックス ファブリクスを傷つけないようにやさしくスポンジなどで洗ってくださいね」

——撥水スプレーなどもしたほうがいいんですか?

「ゴアテックス フットウェアには水を吸い上げにくいアッパー素材が使われているので最初のうちは撥水性がありますが、汚れが付着したり摩耗によってその機能が落ちてきます。アッパー素材が濡れても水は入ってきませんが、濡れて重くなったり足を冷やしたりしてしまうため、クリーニング後に撥水スプレーでのケアを推奨しています。こまめに撥水スプレーを使っていただくと汚れにくく、いつも快適にシューズを履くことができますよ」

365日いかなるシーンでも!コンバースにも搭載された“ゴアテックス”

左は、汚れのついた状態のゴアテックス フットウエア。右は撥水スプレーできちんとケアされたゴアテックス フットウエア。両者とも水が中に入りこんでこそはこないですが、水はじきは、明らかにケアしたもののほうが優れていることが分かります。

 

気になる今後の製品開発は?


——現在開発されている商品について教えてください。

「ランニングシューズ用に開発されたインビジブルフィット テクノロジーは、今後いろいろなものに応用されていくでしょう。アウトドアにとどまらず、ライフスタイルを通じて履ける靴がどんどん増えていくと思います」

——どんなことにこだわってものづくりをされていますか?

「『モノとして快適か』が、一番重要です。例えば、いくら防水性が高くても、透湿性がなければ汗で中が濡れてしまいます。この靴はどういったシーンで一番よく使われるものなのかを考え、それぞれのアクティビティに合わせた基準に準じて製品テストが行われます。ハイキング用の靴とエベレストに登る靴では、求められる防水耐久性や透湿性は違います。アクティビティに合わせた快適性を提供することを、一番に重視しますね」

——店頭で選ぶときのポイントは?

「ゴアテックスのフットウエアには、3種類の『プロダクトクラス』という考え方があります。『エクステンデット コンフォート』は、高い透湿性でムレを防ぐので、長時間の着用や発汗量の多い活動に。『パフォーマンス コンフォート』は、季節や天候を問わず活躍する汎用性に優れたモデル。『インシュレイテッド コンフォート』は、保温性に優れているので寒い日や雪の日に……といった具合です。少しマニアックですが。ゴアテックス フットウエアには必ずいずれかのタグがついているので、履くシーンに合わせて選んでいただきやすいかと思います」

——ご自身が愛用されてるゴアアイテムは?

「僕は、365日ゴアテックス製品を身につけています。いつでも、寝るときもです(笑)」

——そのなかでも、一番愛用されてるものってありますか?

「どれも捨て難いですね(笑)。アウトドアだけでなく、仕事の日はビジネスシーンにマッチしたタイプの製品を身につけるなど、用途やシチュエーションに応じて使い分けています。ゴアテックスの魅力を知る前は、実はそこまで快適性を気にしていたわけでなく。ただ『なんかこの靴暑いな』とか『蒸れるな』とかは、感覚として感じていて。ゴアテックスの快適性のしくみが分かると、ゴアテックス以外の靴をあえて履くっていうのが、イヤになってきちゃって(笑)」

——それでは、ゴアテックスのフットウエア以外は履かない?

「ただ、僕もスニーカーとか大好きなので。そういった意味では、もちろんゴアテックス製品以外も履きますよ。ただやっぱり、快適性を求めるとなるとゴアテックスのフットウエアを選んでしまいますね。最近では、いろいろなジャンルの商品が展開されるようになったので、用途に合わせてぜひ履き分けてみてほしいです」

365日いかなるシーンでも!コンバースにも搭載された“ゴアテックス”

いろいろな製品への応用の可能性を秘めている、ゴアテックスのテクノロジー。コンバースに代表されるように、今後はいろいろなシーンでの着用が想定されたラインナップが登場してくるというから、これは楽しみ!

ところで価格帯はどうなの……? と聞いてみると、フットウエアにいたっては、通常のモデルと比べるとゴアテックス搭載モデルは数千円プラスくらいとのこと。ウエアだとなかなか手が出にくいものもありますが、これならトライしやすいですね。

平井さんのように、一度に入るとなかなか抜け出せない『ゴアの道』。それほどの快適さが、ゴアテックス製品にはあるということが十分に分かる取材でした。そのきっかけとして「フットウエアはぜひオススメ」とのことでしたよ!

日本ゴアビル・ゴアとヴィーヴ・ゴアの夫妻により1958年に創業。2011年に日本ゴアとして、完全子会社化。1969年、ビルとヴィーヴの息子であるボブ・ゴアにより、新しいポリマーフッ素樹脂PTFEが発明される。それが現在では、ファブリック、医療、工業製品などさまざまな分野において応用されるように。代表的なものとして、ファブリックに応用されている『ゴアテックス ファブリクス』がある。

 

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