ニューバランス『992』の物語【ニューバランス担当者がスニーカーを語る】
スニーカーの数だけ物語がある。また、そのスニーカーを履く人のこだわりが加わると、さらに物語は奥行きあるものになります。
普段から多くのスニーカーに触れている各メーカーの担当者に、お気に入りのスニーカーを聞くと、思いがけないエピソードがこぼれてきました。珠玉のスニーカー、今回はアメリカ・ボストンで生まれたシューズブランド『ニューバランス(NEW BALANCE)』の『992』です。
2006年に『991』の後継モデルとして、ニューバランス100周年を記念し誕生した『992』が今年復刻。オリジナル発売当時に購入したものの、もったいなくてなかなか履けないでいるというこのモデルについて、株式会社ニューバランスジャパン・マーケティング部PRシニアスペシャリストの小澤真琴さんが語ってくれました。
ニューバランスジャパン
マーケティング部PRシニアスペシャリスト
小澤真琴さん
ニューバランス「100周年記念モデルの限定版スニーカー」が今年復活!
――『992』はどんなスニーカーですか?
『992』は、ニューバランスの中でも根強い人気があるMade in U.S.A.のモデルになります。
ニューバランスは、1906年にブランドが誕生して以来、現在までアメリカ国内でのシューズ製造を継続しております(※)。中でも、その時代ごとに一番良いシューズを作ろうというテーマで生み出されてきたのが、ブランドを代表するフラッグシップモデルである『990』シリーズで、『992』は、その9代目として2006年に誕生したモデルです。
2006年はニューバランスブランド創立100周年。その記念すべき年に相応しく、100周年記念モデルとしての限定版もこの『992』で作られました。それ以来、一度も復刻することのなかった『992』が今年復活。シューズの機能としては、衝撃吸収性・反発弾性・耐久性に優れるミッドソール素材『ABZORB SBS』を採用。スムーズな足運びをサポートするために硬度を変えた『TS2』、耐摩耗性に優れるアウトソール素材『N durance』など、当時の最先端テクノロジーの数々をそのまま再現しています。
ヘリテージならではの風格を漂わせながら、ウルヴァリン社の上質なピッグスキンスエードを採用し、落ち着いた雰囲気の1足です。
(※アメリカ国内に工場を持ち、熟練の職人たちを抱え、国内で材料調達をすることができることが、今回のCOVID-19の状況下でのマスク製造につながりました)
履いている自分を大切にすることができている…
――譲れないお気に入りのポイント、オススメしたいところを教えてください。
長年ニューバランスにいますと、どんどん良く見えてくる、という現象が起こるのですが、990シリーズは間違いなくそれです。
履いている自分を大切にすることができているような気がするんです。992の特にお気に入りの点は、タンにある『992』という数字の下にある、タンがずれないようにシューレースを通すためのパーツにある小さな『N』。ここだけ少し可愛い気がします。あと、アウトソールの土踏まず部分にだけ赤と青が見えるのもポイントです。
ブランドを象徴するグレーカラーに、ランニングシューズとして機能第一でデザインされているため、ちょっと野暮ったいと感じる人もいるかもしれないアッパー、安定性のあるボリューミーなフォルム、間違いのない履き心地の良さ、全てにおいてオススメしたいです。
好きな人にはたまらない玄人好みの1足
――『992』のストーリーを教えてください。
2006年の『992』オリジナル発売当時、私はすでにニューバランス ジャパンの社員だったので、100周年記念モデルが欲しくてたまらず、購入しました。大事にしすぎてなかなか履くことができず、履くタイミングを完全に逃しまして、実は未だにきれいなまま持っています。分かる人には分かる貴重な一足なので、話のきっかけになりそう…と思いつつ、もったいなくて履けないままでいます。このまま一生履かずに取っておくことになりそうです。
今年このモデルが復活するということで、編集の方やスタイリストさんたちから、今までにないくらい「992が出るんだって?」と話しかけられました。これまで、それほど話題にあがることもなかったモデルだったので、「みんなそんなに好きだったの??」と実はとても意外でした。好きな人にはたまらない玄人好みの1足なのかもしれません。