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「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

2025.12.26

Bリーガーの「原点」となった1足にフォーカスする連載企画。今回登場するのは、京都ハンナリーズの司令塔、澁田怜音(しぶた・れおん)選手。岩手県出身、1998年生まれの27歳。盛岡南高校から駒澤大学へ進み、特別指定選手としての活動を経てプロの道へ。滋賀、新潟でのプレーを経て、現在は京都のコートで躍動しています。175cmとバスケットボール選手としては小柄ながら、豊富な運動量と「点取り屋」としての本能、そして何より相手を嫌がらせる激しいディフェンスが持ち味。

そんな彼が選んだのは、意外にも“普通”な定番モデルでした。その選択の裏には、彼を支え続けた家族との絆と、プロとしての強い覚悟がありました。

「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

「汚れてもそれが“味”になる」飾らない自分が選んだ1足

「黒っぽいセットアップやジャージで移動することが多いので、足元くらいは色で遊びたいなと思って」

そう語る澁田選手が選んだのは、落ち着いたワインレッドの『コンバース(CONVERSE)』キャンバス オールスター J HI<CANVAS AS J HI>。チームメイトであり、ファッション好きの小野龍猛選手との会話が購入のきっかけだったという。

CONVERSE

キャンバス オールスター J HI BURGUNDY

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「龍猛さんが『この色かわいいね』と話していて、僕も直感的に『いいな』と。コンバースって、ガシガシ履けるじゃないですか。ちょっと汚れたくらいの方が味が出てかっこいい。そういう“気にせず履ける”感じが、自分には合っている気がして」

「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

実はコンバースは、澁田選手にとって幼少期からの“相棒”でもあった。

「小学生の頃、服や靴は全部母親が選んでくれていたんですが、家のクローゼットには常にコンバースがありました。当時は何も意識していなかったけれど、今振り返ると『いいセンスしてたんやな』って思います(笑)。派手で子供っぽい靴じゃなく、ずっと定番のコンバースを履かせてくれていたこと。それが今の自分の感覚にも繋がっているのかもしれません」

「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

大学時代、部活とバスケ漬けの日々で金銭的な余裕がなかった時も、2万円以上する特別なコンバースに一目惚れして購入したことがあるという。

「あの時は本当に迷いましたけど、どうしても欲しくて。捨てられなくて今でも持っています。コンバースは僕にとって、オシャレを意識し始めた原点であり、常に身近にある安心感のような存在ですね」

「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

「すべての音には意味がある」毎朝、母が贈ってくれた言葉

澁田選手のルーツを語る上で欠かせないのが、母親の存在だ。「音楽は、DefTechですね。特に『Consolidation Song』。この曲の歌詞にある『すべてのことには意味がある』というフレーズと、ドラマ『人にやさしく』の『人に優しくしろよ』という言葉。この2つを、小1から高3まで毎朝、母に言われて送り出されていたんです」

毎朝の儀式のように繰り返された母からの言葉。当時は「聞かされていた」感覚だったが、気づけば自分自身の指針になっていた。

「初めて自分の携帯でダウンロードしたのもDefTechでした。母は元々会社員だったんですが、単調な毎日が嫌いで、自宅の庭に工房を作ってパン屋さんを始めたような人。刺激的で、自分のやりたいことに真っ直ぐな母の性格は、僕にも受け継がれていると思います」

「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

プロという不安定な世界へ飛び込む際、誰よりも心配し、反対したのは母だった。しかし、その背中を押し、挑戦するマインドを植え付けたのもまた、母が愛した音楽と言葉だったのだ。

【澁田選手を表現するプレイリスト】

全て小学生の頃から、車の中で流れていた曲。記事の中でもあったように、もがいていた学生時代も聴いていました。今でもこの曲を聴くと、当時考えていたことが蘇ってくるし、今のもやもやする悩みはスッと抜ける。どれも大切な曲です!

「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

「10代の君へ―――失敗したって、死ぬわけじゃない」

大学卒業時、プロに進むか、安定した実業団に進むか。澁田選手は人生の岐路に立っていた。「親とは何度も電話で喧嘩しました。『プロなんて不安定だ』『引退したらどうするんだ』と。でも、僕の中にあったのは『特別指定選手で学生時代にプロの楽しさを知ってしまった』という高揚感と、『ここで挑戦しなかったら絶対に後悔する』という思いだけでした」

当時の自分、そして今、進路に迷う10代へ、澁田選手はこう語りかける。

「『食っていけないかもしれない』『失敗するかもしれない』。そんな不安はあると思う。でも、挑戦して失敗したとしても、別に死ぬわけじゃない。何もせずに諦めるより、失敗するつもりで飛び込んだ方が、その先に全く違う景色が見えてくるはずだから」

「ワクワクする方へ、迷わず進め」京都ハンナリーズ・澁田怜音が選んだ“原点”のコンバース『僕をつくった、あの1足。』

自分に嘘をつかず、ワクワクする方へ。「最後はパッションで押し切りました」と笑うその表情には、自らの選択を正解に変えてきた男の清々しさが溢れていた。

【取材協力】
Kurasu Ebisugawa