0

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

2026.09.02

DOORでは「MY AUTHENTIC(私の本物)」をキーワードに、2026年に創業60周年を迎える『ヴァンズ(VANS)』とともに、自分らしい価値観を持つ人たちにインタビュー。今回話を聞いたのは、美容室を営む美容師の小澤悠作さん(@kinone.co)。店内には自転車や植物、家具、雑貨が並び、看板も料金表もなく、ウェブ上にもほとんど情報がない。宣伝に頼らず、目の前の客と向き合いながら、髪を切り、自転車を直し、自分にできることで誰かの役に立つことを続けてきた。そんな小澤さんが仕事場でほぼ毎日のように履いているのが、VANSのオーセンティック。余計なものを削ぎ落とした先に残る、代えのきかないものとは何か。小澤さんにとっての「本物」、そして日々の仕事に寄り添うVANSの魅力について聞きました。

「これは違う」を削って、たどり着いた道

高校生の頃、小澤さんには、将来やりたい仕事がはっきりと決まっていたわけではなかった。

「やりたいことを探すというより、これは違うなと思うものを少しずつ外していったら、美容師が残ったんです。スーツを着る仕事よりは自由な服装で働きたかったし、満員電車にもできれば乗りたくなくて。せっかくなら、自分が心地よくいられる仕事がいいなと思ってこの道に」

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

美容専門学校を卒業後、複数の店舗で経験を積み、独立。現在の店「kinone hair design works」を開いてから、まもなく12年になる。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

「自分で店を始めるなら、ほかと同じことをしてもしょうがないと思ったんです。自由に何でもできる環境ができたんだから、もう自由にやってしまおうと」

美容室だけでなく、自転車の販売や修理、革小物のオーダー、家具や植物の販売、訪問美容など、自分にできることを一つの空間に集めた。子どもの頃から好きだった自転車も、店のオープンを機に仕事の一部になった。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

小学生の頃にBMXを買ってもらったのをきっかけに自転車に親しみ、中学生の頃には東京から福島まで約280キロを走ったこともあるという。現在は店で自転車やパーツを扱うほか、持ち込みの修理やカスタムにも応じている。

「こうしたい、ああしたいという相談があれば、持ち込みでもやります。パーツを仕入れてカスタムすることもありますね」

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

美容室を目当てに訪れる客がほとんどだが、ときには自転車の修理やカスタムを目的にやってくる人もいる。髪を切りに来た客から、そのまま自転車の相談を受けることも珍しくない。

今、お店に来てくれる人に向き合いたい

小澤さんの店は、積極的な宣伝を行っていない。SNSの更新にも力を入れず、ウェブ上にも極力情報を出さないという。

「SNSで広く発信することに力を注ぐよりも、今来てくださっているお客さん一人ひとりに、きちんと向き合いたいと思っています。新しいお客さんを増やすこと自体が、いちばんの目的ではないんです」

時間をかけて発信し、広く人を集めるより、すでに店を選んでくれた一人に時間を使う。その方が、仕事として誠実だと小澤さんは考える。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

「お客さんが来てくれること自体がありがたいので、それをないがしろにしたくないんです。自分の持っているスキルを使って、誰かのために動くのが仕事だと思っています」

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

その考えは、美容だけに限らない。
あるときは、自転車で店へ向かう途中にパンクしてしまった客の髪を染めながら、カラーの待ち時間に自転車を修理したこともあったという。髪を整えることも、自転車の調子をよくすることも、小澤さんにとっては地続きの仕事だ。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

「髪を切って喜んでもらうのも、自転車がきれいになったり、調子がよくなって喜んでもらうのも同じなんです」

美容師、自転車店、と仕事を分けて考えるのではなく、自分にできることで目の前の人の役に立つ。その根本は変わらない。

美容室が苦手だからこそ、つくれた場所

店内を見渡せば、自転車やパーツ、植物、家具、雑貨があちこちに並ぶ。髪を切りに来た人が自転車の相談をしたり、自転車を目当てに訪れた人が店内のものに興味を持ったり。一般的な美容室とは少し違う風景が、ここでは日常になっている。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

また、小澤さん自身、美容師でありながら、美容室での会話には少し距離を感じることもあるという。

「美容室では、『今日はお休みですか?』『このあとどこかに行かれるんですか?』みたいな会話がありますよね。もちろん自然なやりとりではあるんですけど、自分がお客さんだったら、髪の悩みを相談しに来ているので、無理にプライベートなことまで話さなくてもいいのかなと思ったり……」

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

無理に会話を続けず、寝てしまってもいい。店内では基本的に客同士の予約が重ならないようにし、その時間は一組だけのものにする。子どもや犬を連れてきても、食事を持ち込んでも構わない。

「なるべく気の抜ける場所であってほしいんです。寝られるくらい、くつろいでもらえるのが一番ですね」

看板も料金表も出していないため、初めての人には入りづらいが、その入りづらさも含めて、店と相性のいい客が自然と集まる仕組みになっている。

美容室らしく見せることより、その人にとって居心地がいいこと。一般的な店の正解から距離を取った結果、ほかにはない空間が生まれた。

最終的に、オーセンティックさえあればいい

そんな小澤さんが仕事中に愛用しているのが、黒のVANSのオーセンティックだ。

「最終的に、オーセンティックさえあればいいと思っています」

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

気に入っているのは、まずそのデザイン。革靴にも見られる内羽根式の端正な構造を、スニーカーとして気軽に履けるところに魅力を感じている。そして、美容師という仕事ならではの実用性もあるそう。

「仕事中、靴の中に髪の毛が入ってくることがあるんです。コンバースのオールスターみたいに、つま先近くまでひもがある靴は、そのすき間から毛が入りやすくて。その点、オーセンティックは甲の部分が詰まった形なので、毛が入りにくいんですよね」

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

最近のクッション性が高いシューズは、履き始めこそ快適でも、すぐにへたってしまう感覚が苦手だという。一方、オーセンティックは履くうちに少しずつダメージが加わり、足になじんでいく。

「一気に駄目になるんじゃなくて、じわじわ傷んでいく。ダメージが出ている頃が、一番足に合うんですよ。新しいものを出すときは、毎回少し惜しいなと思います」

現在の一足は約2年履いているという。着用頻度は、ほぼ毎日か2日に一度。オーセンティックだけでも、これまでに5足ほど履き継いできた。色は基本的に黒。細身で装飾の少ないシルエットが、自分の足と服装に合うのだという。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

白Tも、黒のオーセンティックも。理由がある

小澤さんの普段の服装は、白いTシャツとデニム、黒いオーセンティック。気に入ったTシャツやデニムは、同じものを複数買う。

一見、ミニマルな制服のようだが、白いTシャツには美容師としての明確な理由がある。

「髪のシルエットを見るときに、白い服が背景になるんです。黒っぽい服だと髪と重なってぼやけるけど、白なら輪郭が見えやすい」

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

そのため、ロゴなどが入っていない、厚手の白いTシャツを選ぶ。冬になると、袖が長くなる程度だ。

若い頃からこのスタイルだったわけではない。30歳を過ぎた頃から、少しずつ余計なものが取れていき、今の格好に落ち着いた。

必要な意味があるものだけを残し、気に入ったものを繰り返し使う。小澤さんの服装にも、店づくりや仕事と同じ考え方が表れている。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

「代えがきかないもの」。それこそが、本物

今回のテーマである「自分にとっての本物とは」という問いに、小澤さんは「代えのきかないもの」と答えた。

「本物と呼ばれている人も、たどれば誰かの影響を受けていると思うんです。でも、その人がやるからこそ、その人にしかできないものになる。誰かに簡単に代わられないことが大事なのかなと」

美容師は、客から選ばれる仕事だ。技術だけを切り離せば、別の美容師が代わりを務めることもできる。しかし、考え方や店で過ごす時間まで含めれば、同じものを提供することはできない。

「髪を切ること以外にも、ここに来る意味や、ここで過ごす時間がある。ほかと同じことをしてもしょうがないから、結果的に今の形になったんだと思います」

その人にとって、代えのきかない店になること。代わりのない時間を提供すること。そうして最後まで残ったものが、「本物」になる。

何度も同じモデルを選び、「これしかない」と言えるオーセンティックもまた、小澤さんにとって代えのきかない存在だ。

余計なものを削りながら、必要なものを見極める。自由であるために、自分なりの基準を持つ。店にも、仕事にも、足元にも、小澤さんの「オーセンティック」が貫かれている。

看板も料金表もない美容室で、毎日履く黒の一足。美容師・小澤悠作さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

VANS AUTHENTICをもっと見る