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段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

2026.09.17

DOORでは「MY AUTHENTIC(私の本物)」をキーワードに、2026年に創業60周年を迎える『ヴァンズ(VANS)』とともに、自分らしい価値観を持つ人たちにインタビュー。今回話を聞いたのは、沖縄を拠点に活動するアーティスト・儀間朝龍さん(@tomotatsu_gima)。身近な段ボールを素材に、「流通と消費」をテーマとした作品を手がけている。一方でスニーカーを偏愛し、かつてABC-MARTで働いた経験も持つ。そんな儀間さんに、段ボールとの出合いやVANSへの思い、自身にとっての“本物”について聞いた。

描くほどゴミが増える…そんな葛藤を救った

段ボールと出合う以前、儀間さんはアクリル絵の具を使って絵を描いていた。一方で、高校生の頃から環境問題にも関心があった。自身の誕生日が5月30日。「ゴミゼロ」と読める日であることも、どこか心に引っかかっていた。

「環境問題に興味があったのに、自分ではゴミを減らすようなことを何もしていないという負い目がずっとあったんです」
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

絵を描けば、使い終えた画材がゴミになる。筆を洗えば水も汚れる。制作を続ければ続けるほど、好きな表現と、自分のなかにある問題意識とのズレが大きくなっていった。そんなときに出合ったのが、いまのアートの基盤になっている段ボールだった。

「段ボールは、使い終わったあとに資源に戻すこともできる。それが、自分のなかでは心を救う出来事になって。そこから基本的にはずっと段ボールですね」

伝えたいのは、「廃材からアートを作る」ということだけではない。作品のテーマに掲げるのは、「流通と消費」だ。段ボールを通して、ものが届き、使われ、その後どうなるのかに目を向ける。

「作品が、使う前や使ったあとのことを考えるきっかけになればいいなと思っています」

始まりは、雨の日に見つけためくれた段ボール

段ボールとの出合いは、那覇市の牧志公設市場にアトリエを構えていた2009年のこと。ある雨の日、道端で濡れて端がめくれた段ボールを見たのがきっかけだった。

「水に浸したら、きれいに剥がせたんです。それまでうまくいかなかったので、自分のなかでは大きな出来事でした」
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

段ボールという素材にアートとしての可能性を感じ始めていた儀間さんに、その後、大きな転機が訪れる。JICA沖縄から依頼を受け、サモアの小学校でワークショップを行うことになったのだ。

当時のサモアでは、流通の拡大によって海外からさまざまな商品が入ってくる一方、ビニールなど自然に還りにくいゴミが急増し、環境問題が起きていた。商品とともに段ボールも大量に運び込まれていたことから、儀間さんは、その段ボールを活用したワークショップを提案した。

「先生や子どもたちの反応がすごくよくて。『これはいい』と確信。もっと続けようと思いました」

帰国後の2011年、ステーショナリーブランド「rubodan(ルボダーン)(@rubodan)」をスタート。名前は「ダンボールを分解して新しいものを作る」というコンセプトから⽣まれた。

「市場にいると、海外から届く商品がたくさんあって、それが段ボールで届いているんですよね。それを表現するのに、コラージュがいいんじゃないかと思って」

2014年には現在の「ポップコラージュ」の形となり、近年はガムテープも素材に取り入れている。
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ガムテープを取り入れた表現のひとつが、2026年に東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催された「ノンタン」展。子どもたちと一緒に、段ボールと赤いテープを使って約4メートルの「あかいじどうしゃ」を制作した。
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段ボールは、ヴィンテージスニーカーのよう

儀間さんの作品には、基本的に絵の具による着色がない。たとえば赤が必要なら、赤く印刷された段ボール。黄色が必要なら、黄色い段ボール。10年以上にわたって集めてきたストックから、欲しい色や柄を探し出して組み合わせていく。

それだけ長く段ボールを見続けていると、必然的に、段ボールのデザインそのものにも目が向くようになった。
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

段ボールのロゴやデザインの変化を見るのも、儀間さんの楽しみのひとつ。同じメーカーでも時代によって意匠が変わり、海外製では印刷のずれまで一枚ごとに異なる。

その楽しみ方は、スニーカーやヴィンテージを見るときとよく似ているという。

「前はこのロゴだったのに、今はこのロゴになって、そのあとまた変わって、みたいな。そういう変化を一人で楽しんでるんです。たぶん誰も気にしてないようなところに、一人で感動してるマニアックなところがあります(笑)」

大学時代からスニーカーやヴィンテージに夢中だった儀間さん。上京後、アルバイト先にABC-MARTを選んだ理由もシンプルだった。

「靴が好きだったからです」
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

そこで靴好き、ヴィンテージ好きの仲間たちと出会い、高円寺や渋谷、原宿の古着店へ足を運ぶようになった。以来、スニーカーへの興味は途切れていない。

「地面と一番近い」から、スニーカーって特別

儀間さんに、なぜそこまでスニーカーに惹かれるのかを尋ねると、少し意外な答えが返ってきた。

「地面に足がつくものだから、というのがあります。自分と地面の一番近いところにある。それが一番気に入っているところかもしれません」
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

たとえば、カリフォルニアで生まれたVANS。日本との間には海がある。それでも地球の上では地続きで、その土地を歩けば、自分の足でつながりを感じることができる。

「LAやサンフランシスコにも行ったことがありますけど、『俺、今ここを歩いてるよ』みたいな感覚があるんです。空気を吸うことも大きいんですけど、“歩いている”ということが、僕のなかではすごく大切な行為なんですよ」

だからこそ、その足元を支えるスニーカーにも意味を求める。単にその日の服に合わせて靴を決めるのではない。むしろ、「今日は何を履こう」とスニーカーを先に選び、そこから服を決めることのほうが多い。憧れていた選手が履いていた一足から、エネルギーをもらうこともある。

「僕の場合、ファッションが精神的なところと直結しているんです。足元から得られるものを、なるべく身につけたいと思っています」

描くつもりで買ったVANSを、そのまま履いた

そんな儀間さんにとって、VANSも長く親しんできた一足だ。オールドスクール<OLD SKOOL>スケートハイ<SK8-HI>などを履き、ヴィンテージショップへ行けば古いVANSにも目を向ける。過去にはVANSのスニーカーを段ボールで制作したこともあり、40周年モデルのスケートハイなどもモチーフにしてきた。
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

VANSの魅力を実感したのは、2000年代初めに買った白黒のオールドスクールだった。

「そのVANSに絵を描こうと思って買ったんですけど、履いてみたら『描かなくていいや』って。靴そのものがかっこいいなと思って」

そこからVANSを買うようになったという。

「ブランドの信念やメッセージって、履いてみないとわからないこともある。VANSは“履くと伝わる靴”だなと思いました」

その後もVANSとの縁は続いている。これまでVANSのスニーカーをモチーフに作品を制作してきたほか、スティーブ・キャバレロ氏やバン・ドーレン氏に、自身が制作したVANSのロゴを手に写真を撮ってもらったこともあるという。
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

VANSは、履くものとしてだけでなく、儀間さんの制作や人とのつながりにも深く関わってきた。履き心地についても、「意外と、というと失礼かもしれないけど、履き心地がいい」と笑う。
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

もともとスケートシューズとして作られている頑丈さから、ハードな制作時に選ぶことも多い。
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

スマホ越しではなく、見て触って感じるのが本物

VANSを履くことで、その魅力を実感した儀間さん。そうした“体験して初めて伝わるものがある”という感覚は、自身の作品づくりにも通じている。段ボールでスニーカーを立体的に制作する際は、実物や資料を見比べながら細部まで形を追い込む。
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

儀間さんが求めているのは「本物そっくりに見せること」だけではない。大切にしているのは、作品を目にした人が、何を感じるか。

「インスタとかで見るのと、本物を見るのは全然違うんです。ギャラリーに来て作品を見た人は、『来てよかった。全然違うね』と言ってくれる。それは靴を履くのと一緒だと思っています」

情報があふれ、何を選べばいいのか迷う時代。それでも儀間さんは、気になったものには実際に触れ、試してみることが大切だと話す。

「やっぱり足を運んで、人の話を聞くのも楽しいですし。宝物を探すみたいに、本物を探すのもいいと思います」
段ボールも、VANSも、触れてわかるものがある。アーティスト・儀間朝龍さんのVANS オーセンティック【MY AUTHENTIC】

履いてみる、触れてみる、歩いてみる——。

そうして自分の感覚で確かめた先にあるのが“本物”ではないかと、儀間さんは語る。
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VANS AUTHENTICをもっと見る

「誕生50周年記念 ノンタン ずっとともだち!!!」展
会期:2026年7月18日(土)ー9月27日(日)
会場:PLAY! Museum(東京都立川市緑町3−1 GREEN SPRINGS W3 2F)

Tomotatsu Gima Exhibition “NYG POP”
会期:2026年9月3日(木)〜26日(土)13:00〜19:00
(※9月12日(土)・21日(月)休)
会場:Roll(東京都新宿区揚場町2-12 セントラルコーポラス No.105)

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