3年目のBリーグ開幕へ! バスケ観戦前に知っておきたい日本バスケの現在地
アルバルク東京の優勝で幕を閉じた2年目のBリーグ。3年目のBリーグ開幕が待ち遠しいファンにとって、まずは2018年9月7日から3日間、全国6地区で開催される『B.LEAGUE EARLY CUP』(以下、アーリーカップ)が楽しみの一つでしょう。
関西地区のアーリーカップで、韓国のプロバスケットボールチーム『ソウル三星サンダース(ソウル・サムスン・サンダース)』の参戦が発表されました。日本国内リーグのBリーグで、海外のクラブチームと試合ができるのは歓迎すべきこと。国際舞台から遠のいていた日本バスケットボール界にとって、この発表には大きな意味がありました。
日本バスケットボールの黒歴史!? 2つに分裂していた国内リーグ
2016年、日本男子プロバスケットボールのトップリーグとして開幕したBリーグですが、2016年以前は『ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)』と『日本プロバスケットボールリーグ(TKbjリーグ)』の2つのリーグが並走していました。
例えるなら、サッカーのJリーグが国内にもう一つあるようなもの。国際バスケットボール連盟(以下、FIBA)は、国内に2リーグあること、男子日本代表の強化が進まないことなどに懸念を示し、早期に改善するように通告していましたが、改革は遅々として進みませんでした。
ついに2013年、国際統括委員会からも、早期の1リーグ統一改善通告を受けます。『2020年の東京大会で、日本の開催出場国枠をなくす可能性もある』という通告は、開催国なのに自国チームが出場できない可能性があるとして大きなニュースになったため、覚えている方もいるのではないでしょうか。結局、改善は進まず、JBAはFIBAから資格停止処分を受け、事実上、日本のチームは国際大会に出場することができなくなりました。
2015年、Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏が1リーグ制の統一に動き出し、Bリーグの統括と運営を担当するジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(以下、JPBL)が設立され、2016年秋に1年目のBリーグが開幕しました。2015年6月には、FIBAが日本の資格停止処分を解除しています。
現在Bリーグには、B1を最上位にしてB2・B3リーグまであり、B1・B2がプロリーグ、B3はセミプロリーグとして運営されています。こうやって振り返ると、2つに分裂していたリーグが一つにまとまってしのぎを削っている今の状態は、選手だけではなく、バスケットボール関係者全員の大きな変革の意識あってこそ成り立っていることがわかります。
エキサイトできるレギュレーション。毎週、全国各地で楽しめるBリーグ
JPBL が統括・運営するB1・B2リーグは、それぞれ18チームずつあり、東地区・中地区・西地区で分かれて、約7か月のレギュラーシーズンで全60試合を戦います。約30週間で60試合をこなすため、日本全国でほぼ毎週末、Bリーグの試合が楽しめるということ。2018-2019シーズンは、前シーズンよりも平日開催の日程が3倍に増えているので、週末は忙しいという人も、平日の仕事帰りに気軽に観戦できそう!
B1リーグは、各地区1・2位のクラブと、各地区の上位2クラブを除いた12クラブのうち上位2クラブが『チャンピオンシップ』に参加できます。チャンピオンシップはトーナメント方式で、この大会で優勝したクラブが、B1リーグの年間優勝クラブに輝きます。
逆に、B1レギュラーシーズンの成績が下位4位から最下位になった4クラブは、B2プレーオフ上位3クラブと戦う『残留プレーオフ』に参加し、トーナメントで最下位と下位2位になったクラブは次のシーズンはB2に降格します。チーム・選手たちにとっては常に緊張感を持ってのぞまなければならないタフなシーズンであり、観客にとっては1試合1試合が真剣勝負でおもしろい、エキサイティングなレギュレーションになっています。
なお、JPBLの下部組織としてジャパン・バスケットボールリーグ(以下、JBL)があり、セミプロのB3リーグはJBLが統括・運営しています。
※上記レギュレーションは、2017-2018シーズンのものです
バスケットボールを、どこでも・いつでも楽しめる競技に
Bリーグ以外にも、女子の実業団チームが戦う『Wリーグ』を管轄する一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ(以下、WJBL)や一般社団法人日本社会人バスケットボール連盟(社会人バスケットボール )、学生バスケを統括する全日本大学バスケットボール連盟(大学バスケットボール)・公益財団法人全国高等学校体育連盟バスケットボール専門部(高校バスケットボール)・全国ジュニアバスケットボール連盟(中学校バスケットボール)・日本ミニバスケットボール連盟(小学校バスケットボール)などをJBAが統括しており、日本全国どこでも1年を通してバスケットボールが楽しめるように、また、バスケットボールが日本で生涯スポーツになるような組織運営がされています。
さらにJBAの認定団体として、一般社団法人日本車椅子バスケットボール連盟(車椅子バスケットボール )や、聴覚障害者によるバスケットボールを統括する特定非営利活動法人日本デフバスケットボール協会などがあります。
2020年東京大会の正式種目になった『3×3(スリー・バイ・スリー)』は、JBAが正式競技として推進している新しいバスケットボール。プロ・アマチュア問わず、クラブチームによる世界戦を開催していること、5人制バスケットボールコートの約半分のスペースで開催できること、目の離せないスピーディーな展開でエキサイティングなゲームが身近で観戦できることなどから、バスケットボールの魅力の新たな一面を切り拓く競技として注目されています。
実は強い日本女子! 女子バスケットボール『Wリーグ』に注目
WJBLは、日本の女子実業団チームで行う『Wリーグ』を管轄しています。Bリーグに続いて2016年10月に開幕したWリーグは、9月下旬~翌2月中旬まで約5か月間のレギュラーシーズンを12チームで戦い、その後、プレーオフ・セミファイナル・ファイナルを戦って年間チャンピオンを決めます。
華々しく開幕したBリーグと比較すると、メディア露出が少なく盛り上がりに欠けるWリーグですが、女子日本代表は2016年のリオデジャネイロ大会で20年ぶりの決勝進出を果たし、ベスト8入りしました。2017年のFIBAランキングでも20位圏外の男子に対して、女子は13位にランクインしており、この女子日本代表メンバーの多くが所属しているWリーグでは、毎試合見ごたえのあるゲームが展開されています。
2年目のB1・B2リーグの入場者数は、前年から約12%増の240万925人に達しました。国内で、徐々に存在感を増してきたバスケットボールは、並行して世界への挑戦もはじめています。
2018年9月にマカオで開催されるFIBA公認の国際大会『The Terrific 12』に、B1リーグの千葉ジェッツ・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ・琉球ゴールデンキングスの3チームが参加することが発表されました。世界と戦うことで国内リーグのレベルが上がって競技自体が盛り上がることは、Jリーグでも証明されていること。バスケットボールの試合同様に、止まることなく走り続ける日本のバスケットボールにこれからも注目です。
TEXT:石川歩