0

シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』

2019.02.13
シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』

藤原岳久
選ぶ、履く、使いこなす、シューズお買いものトータルプロデュース。一般社団法人日本フットウエア技術協会理事。スポーツシューフィッター資格認定講座講師。2時間34分28秒 (2018年別府大分毎日マラソン)

ランニングシューズの魅力と、ちょっと踏み込んだ豆知識に迫る、シューズアドバイザー・藤原岳久のランニングシューズ企画。ご自身もフルマラソンを2時間34分28秒で走るランナーであり、また、一般社団法人日本フットウエア技術協会理事でもあります。

そんな藤原さんが独自の視点で、今、オススメのランニングシューズについて、ざっくばらんに語ります。

今回は、世界最古のフルマラソン、あのボストンマラソンと同じくらいの歴史がある創業120年『Saucony(サッカニー)』のランニングシューズの魅力をお伝えしていきます。

10代目記念モデル登場!

今回は、evolution(進化)からrevolution(更なる進化)へ、発売されたばかりのキンバラ10<KINVARA 10>をご紹介しましょう。初代キンバラが、シーンにセンセーショナルなコンセプトを提案し、デビューしたのは2009年のことです。

シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』

SAUCONY

サッカニー KINVARA 10 キンバラ S20467-3 WHITE/RED

商品をチェック

この時代はというと、クリストファー・マクドゥーガルの『Born to Run』を“教科書”に、ダニエル・リバーマン博士のネイチャー誌スタディーを追い風に、空前のベアフットムーブメントの真っ只中でした。

「ランニングはエクササイズであり、体がもっと頑張ればいい」
「シューズを履いていてもケガをする、機能性は必要ない」

などと言われた時代。それは、まさにシューズ不要論運動でもありました。

そんなシューズメーカーには、ややどぎついムーブメントに対して、ランニングシューズの役割を明快に、シンプルな形で答えたのがキンバラだったと言えるでしょう。その後はベアフットランからナチュラルランにシフトしていくことになるのですが、まさにキッカケであった、そんなモデルですね。

シューズ格付け誌でもある『ランナーズワールド』で、初代がベストデビュー賞、3代目がベストアップデイト賞、そして、5代目と前回の9代目がエディターズチョイス(最高賞)を受賞しています。

シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』

SAUCONY

サッカニー WMNS KINVARA 10 ウィメンズ キンバラ S10467-3 WHITE/BLUE

商品をチェック

変わらずシューズとしてランナーに愛され、そして輝き続けるには、『不変の良さ』と『進化する良さ』のミックス加減がとても重要ですよね。キンバラファンは、モデルがアップデートすると、みんなワクワクして、NEWキンバラを試します。

それは、いつものままのキンバラを期待して、同時に何かが変わったキンバラを望むような、そんな矛盾に答え続けてきたからこそ、ランナーに支持され続けてきたわけです。

そんなサッカニーの代名詞モデルキンバラ<KINVARA>は、いよいよシリーズ10代目を迎えました。 それを記念して、初代モデルのデザインとカラーリングをアイコニックにした限定ボックスに入った限定モデルも発売されました。

4mmコンセプトとは?

『ナチュルランニング』という言葉の、それ自体の代名詞になった『4mmドロップ』コンセプト、これこそがキンバラであり、今回の10代目もこれは健在です。

シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』

一般的なスニーカーに比べ、ヒールからつま先にかけてがフラットになっているキンバラ10

ミニマル(ゼロ)ではなくて、ナチュラル(自然)。シューズの機能性をシンプル削ぎ落として、ただスリムにダイエットするのではなく、むしろ必要な機能を引き立たせるというような、そんなコンセプトです。

ランナー自身が体を傾けたり、足の接地感や接地位置などを、もっと考えたり、できるようにしたソール構造であると言えます。ある程度低サポートになり、必然的に体の動きを引き出すと同時に、必用不可欠な要素は残っている感じですね。

デイリーでのジョグであれば、トレーニングシューズにそんな変化を与える存在です。また、レースやトレーニングでテンポアップして履くときには、4mmドロップのほぼフラットになったソールは、ドロップが効いたシューズより、単純に踵に対して前足部にソールに厚みがありますから、つま先あたりにもクッションを感じます。

Do it all

まさにジョグからテンポランまで色々な用途で使用できるシューズがキンバラ10です。

履き心地を感じやすい構造に!

ソールユニットに関しては、この軽さでいつものしっかり感。 通常、しっかりした土台に、このような補強が少ないロープロファイルアッパーが付いていると、シューズ全体としてのバランスは悪くなりがち。

ソールにアッパーが負けて、動いてしまうようなフィット感のことも少なくないです。10代目も、それに対するバランスの良さは際立っています。

それは、キンバラ9<KINVARA 9>から続くEVERUN(エバラン)トップソール構造の貢献が大きいのではないでしょうか。インソールを抜くとその下に現れるクッション面がサッカニーの誇るEVERUNというクッション素材です。これはスポンジ構造のEVAより、反発・弾性があるポリウレタン系の素材。とてもソフトなのが特徴なのです。

FORMFIT(フォームフィット)と呼ばれる3層構造は、1層目のソフトなインソール、 2層目のEVERUNトップソール、3層目のEVAソールで構成されています。つまり、EVERUNトップソールがあることで、直にクッションを感じやすいフィーリングで、ミッドソール全体としては、発砲率高めた軽い素材になっている、ある程度の硬さのあるライトなソールと柔らかなクッションという仕掛けで、こんなライトウエイトなのにしっかりしているというような感覚になっているんですね。

まさに、“キンバラマジック”ですね。

シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』

FORMFITとは
FORMFIT™は3層で形成されたプラットフォームで、フィット感、クッショニング、そして様々な足の形や動きに対しての対応力に優れる。足が直に触れる1層目には柔らかくフレキシブルなソックライナーを。2層目にはクッション性と反発力を高次元で併せ持つ素材で掛かった荷重の83%を推進力としてリターンするサッカニー独自のクッショニング素材‘EVERUN(エバラン)’を。そして3層目には様々な足の形にフィットするように成形されたEVAミッドソールを搭載。これら3層の組み合わせによりこれまでには無かった究極の履き心地を実現し、履く人それぞれの足の形や走り方にも対応できるのが最大の特長だ。

アッパーは大幅に変更

また、写真を見てもお分かりいただけますように、アッパー(シューズ上部)は、フルモデルチェンジしました。とりわけ全体的なシルエットが、9代目よりも少しすっきりしたように思います。

しかし、足入れすると窮屈な感じではないですね、Flex Filmオーバーレイがアッパー全体の補強として使われているのですが、最低限の場所に貼り付けられていて、足回り部分も気になりません。

シューズ履き口、内部に付けられたインターナルヒールパッドは、踵まわりのフィット感を大きく向上させました。見た目は突起していますが、履けばもちろん気になりません。ちなみに、ヒールカップの内側のサポートは、意外に少ないです。まさに、削ぎ落し場所を間違えない、要所は押える作りがキンバラの良さです。擦れてシューズに穴が開いてしまったり、靴擦れができたり、踵のまわりのトラブルって多いんですよね。

シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』

意外と珍しい踵まわりのサポート機能

わたしは、初代、3代目、9代目、そしてこの10代目を履いていましたが、時代を背景にミニマルを意識した作りから、今まさに必用な部分はしっかり押えつつ、最軽量パッケージ、それがさらなる進化をしたのがキンバラ10。

evolution(進化)からrevolution(更なる進化)へ

そして、金額も今のご時世の中で、なかなかシンプルです、9500円(税抜)となっています。3万円近いシューズもある中、この金額であれば、今お持ちのトレーニングシューズの相棒に、たくさんある方は、お試しでどんなもんか、キンバラをワードローブに加えてみてくださいよ。

もちろん、走りははじめのランナーさん、これからやるぞ! って方も良いですよ。3日坊主になっても、街履きで履けますしね! もちろん、ランニングの頻度が増えてきたら、キンバラともう1足といった感じで、自身のスタイルに合わせてアップデートをお忘れなく!

サッカニーをチェック

ランニングシューズチャートで最適な1足を見つけよう!

シューズアドバイザー藤原岳久のランニングシューズレビュー!/サッカニー『キンバラ10』