シューズアドバイザーが語るアディダス『クライマクール 2.0』の実力
藤原岳久
選ぶ、履く、使いこなす、シューズお買いものトータルプロデュース。一般社団法人日本フットウエア技術協会理事。スポーツシューフィッター資格認定講座講師。2時間34分28秒 (2018年別府大分毎日マラソン)
ランニングシューズの魅力と、ちょっと踏み込んだ豆知識に迫る、シューズアドバイザー・藤原岳久のランニングシューズ企画。ご自身もフルマラソンを2時間34分28秒で走るランナーであり、また、一般社団法人日本フットウエア技術協会理事でもあります。
そんな藤原さんが独自の視点で、今、オススメのシューズについて、ざっくばらんに語りました。
とにかく涼しい!アディダス「クライマークール 2.0」
今回ご紹介する『アディダス(adidas)』の<クライマークール 2.0(climacool 2.0)>は、一言でいって、とにかく“涼しい”がテーマのシューズです。
距離を走るとか、毎日走るとか、といったタフなイメージのランニングをコレ1足で、というシューズではありません。 むしろ、ちょっとショートディスタンスを走るくらいで使用したり、もしくは裸足で夏場の街履き兼用などで使用したりするような、そういったイメージのこれからの季節にぴったりな1足となっています。
機能的にはアッパー、アウトソールともにベンチレーションホール(通気穴)があることが大きな特徴。特にアウトソール(シューズ靴底)前足部と中足部にあるホールは大きな特徴で、ここからエアーを強制換気させています。
どう強制換気するかと言うと、そうですね、ご自宅で空気を換気したい時どうしますか? 空気の入口と出口、それぞれを開放する、そうすると風が通りますよね。それと同じでアッパー(シューズ上部)から入った空気が、シューズ内で足が空中に浮いたり、地面に着いたりする、そのパンプ作用(押し出す力)で、足裏から強制換気するという仕組みになっています。入口がアッパー、出口がアウトソール底のホールになるわけです。
ランニングシューズは、そもそも通気性の良いアッパーを持っていますが、クライマークールのアッパーでは、そのアッパー自体が、丸ごとベンチレーションのような構造になっています。
空気がガンガン入ってきて、歩く、走る過程でシューズ内での足アーチが動きよって強制換気をさせるわけですから、仕組みとして、なんかとてもエコな感じです。
“すごい涼しい”という正直大きな実感は得られないかもしれませんが、“そう言えば、蒸れないね”といった実感こそがリアル。何も起きていない(熱を持っていない)ことこそが効果があった証拠です。それにしてもここまで通気性を売りにしたシューズは他にないことは間違いないです。
ランニングシューズとしての安定性も確保した「クライマクール 2.0」
ミッドソールは、従来素材EVAの硬度と反発バランスを考えた『エアロバウンズソール』を採用しています。これは、アディダスが誇るTPU素材『ブーストフォーム』といったハイテクなクッションではありませんが、アディダスのランニングシューズとしてのクッション、安定感も最低限確保されている印象です。
わたしもこれを履いて走ってみましたが、意外や意外、しっかりとした印象で、汗っかきのランナーの室内用、トレッドミルのシューズとか、ロードランでのショートランニングであれば十分な機能を備えている感じですね。
サイズ感は、かなり大きめです。このシューズを使用するときに履くソックスに合わせて、サイズを考えた方がいいでしょう。個人的には裸足もありかなと思っています。
価格は10,789円。よく雨の日用の1足をと考える人はいるとは思いますが、是非これからの季節用として、あなたのランニングシューズのワードロープ2~3足目としてどうでしょうか?