ティンバーランドが描くサステナブルな未来。「Nature Needs Heroes」&ギャリソン トレイルインタビュー
1973年の誕生以来、ブランドを象徴する通称“イエローブーツ”や、ワークブーツとハイキングシューズのハイブリッドとして生まれた“フィールドブーツ”など、高い耐久性と卓越した履き心地を提供してきた『ティンバーランド(Timberland)』。クラフトマンシップを旨とするブランドが昨年から展開しているグローバルキャンペーン「Nature Needs Heroes」(ネイチャー ニーズ ヒーローズ)では、世界各国から選ばれた“エコ・ヒーロー”ともにサステナブルな未来を描く活動を行っています。そこで今回はキャンペーンの趣旨やティンバーランドのブランド哲学、それらを活かした最新のプロダクトについて、マーケティングスタッフの久保智子さんにお話を伺いました。
若い世代に影響を与える「Nature Needs Heroes」とは?
──「Nature Needs Heroes」はいつから、どんな目的でスタートしたキャンペーンなのでしょうか。
このキャンペーンやタグラインは昨年から本格始動しました。ティンバーランドはアメリカ東部の大自然の中で創業したブランドなので、プロダクトもアウトドアや自然に由来した成り立ちを持っています。ですので、もともと「環境に責任を持つ」という理念はずっと持ち続けていました。今、環境問題が久しく叫ばれる中、待ったなしの状況であるという危機感から、行動を起こそうという考えのもとに、あらためてこのキャンペーンがスタートしました。
──具体的には世界各国の“エコ・ヒーロー”とコラボレートしてグローバルに展開していますが、その選定基準や活動に対する思いとはどんなものでしょう。
アジア、アメリカ、ヨーロッパなど各地のコミュニティの中で、若い世代に影響を与えるような環境活動家やコミュニティファウンダーといった方達=Hero達と一緒に活動をすることがこのキャンペーンの核になっています。
例えば昨年行った上海でのイベントにはティンバーランドのグローバルクリエイティブディレクターであるクリストファー・レイバーンと、アジア代表のHeroとして台湾出身の俳優、ウィルバー・パンが参加しました。レイバーンが提唱する3R=リデュース、リダクション(削減)、リサイクルの考え方にウィルバーが共鳴して、お互いリスペクトしあえる関係を築いたと聞いています。ウィルバーはティンバーランドが行っている中国・ホルチン砂漠緑化プロジェクトの植樹にも参加しました。
──彼のように俳優であり環境活動家でもあるような多様な活動をする人がHeroなんですね。
はい。実際にそれぞれのコミュニティの中で活動していることが特徴ですね。今後も、Hero達と一緒に植樹イベントを開催したり、リメイクなどのワークショップを企画して、来場していただいた方にモノをサステナブルに使っていくことの大切さを実感していただけるような機会が作れたら良いなと思っています。
サステナビリティを実現する取り組み&プロダクト
──ファッション性とサステナブルな素材が融合した製品開発から、どのようなプロダクトが誕生しているのでしょうか。
2020年春に新登場したギャリソントレイルは、ReBOTL™️(リボトル™️)が特徴的かと思います。リボトル™️は、ペットボトルを50%リサイクル配合した糸を使ったナイロン素材なのですが、シューズのファブリック部分に使用しています。他にも50%リサイクルPET素材を使ったティンバードライ™️防水メンブレン、バイオベース素材を50%以上配合したティンバーグリップ™️はソールに用いられています。
ティンバーランドは、2020年が終わるまでにシューズの中に必ずサステナブルだったり、再生可能な素材を1要素以上入れることコミットしているんですね。「アイコン」と言われる、ブランドを象徴するようなブーツやシューズをアップデートしていく際に、デザインや機能だけでなく、必ずサステナブルな素材を取り入れるという理念を持って開発しています。
──デザインや機能面で革も使用されると思うのですが、そこにも工夫が?
ティンバーランドはレザーワーキンググループ(LWG)が認証したシルバー・タンナリーと言われるなめし工場から素材を調達しています。LWGという国際団体が、化学薬剤を適切に処理しているなど、環境に配慮した生産工程を踏んでいるかどうかを監査していて、その機関が認証した工場が生産したものを使います。素材に気を使うこともエコ活動の一環だと考えてるからです。
──アウトドアだけでなくタウンユースと並行したニーズに応えるためのデザイン上の工夫はありますか?
レイバーンはストリートカジュアルの出身なので、彼がクリエイティブディレクターになったことで、デザインの方向性がモダンになったと思います。インスピレーションがユニークで、リメイクやリサイクルの発想でデザインするという話を聞いています。そこはブランドが変わっていく要素になっていると思いますね。
加えて、やはりティンバーランドはアウトドアシューズ・ブランドであることは譲れない所でもあるので、防水面やトランクション面での履き心地を担保する機能はしっかり付加しています。その上で今の時代の街からちょっとしたアウトドアへという自然な動線で、気軽にどのシーン、オケージョンでも履いていただけるシューズを念頭においています。
──サステナビリティを実現するブランドとしての取り組みは他にもありますか?
先ほどもお話ししたホルチン砂漠という中国・内モンゴル自治区の大きな砂漠に約20年間、アースデイの期間に合わせて現地の方とティンバーランド社員とで植樹活動を続けています。植樹は世界各地で行っているんですが、2025年までに世界で5,000万本の木を植えることを目指しています。これは緑化と同時に、現地の方々の仕事も生んでいるという意味で、コミュニティ再生にも寄与できているんです。
ティンバーランドのロゴにはビッグ・ツリーと呼ばれる木が描かれているんですよ。よりグリーンな世界を目指すのは、ブランドにとっても大切なことなんです。
──では最後にユーザーの方にメッセージをお願いします。
「Nature Needs Heroes」キャンペーンでは、シューズを履く一人ひとりがHeroになれる、自然に対して一緒にHeroになってくださいという語り掛けをしています。実際に自然保護活動をすることはもちろん、環境に配慮した素材を使ったプロダクトを選ぶ、というのも、Heroになる方法の一つだと思います。
ティンバーランドのモノづくりには、「Make it Better」=より良くしよう、というストーリーラインが実はずっとあるんです。品質、機能、デザインを良くするのもそうですが、環境にとってより良いプロダクトをつくり、それをお客様に選んでいただけることが、地球やコミュニティにとって、より良い作用の一つになっていくのではないかと思います。
現代のライフスタイルにマッチしたギャリソン トレイル
デザイン性とサステナビリティを兼ね備えたギャリソン トレイル。まずはグレイッシュホワイトのカラーも新鮮な<ギャリソン トレイル ミッドハイカー ウォータープルーフ>。
「お馴染みのフィールドブーツのフォルムを踏襲しつつ、素材をアップデートしたシューズ。アッパーはシルバー認定のタンナリーから調達した革で、ライニング部分はリボトル™️ファブリックを使用しています。ミッドカットならではのくるぶしをホールドしてくれる設計なので、安心感を持って履いていただけると思いますね」
カラーリングはシックなモノトーン。合わせる服もデニム、ユーティリティ系、これからの季節はショートパンツと、意外と何にでも合う万能選手。
ローハイカーは全面的にウォータープルーフ(ギャリソン トレイル ロー ウォータープルーフ)とつま先防水(ギャリソン トレイル ロー)の二種類。
ウォータープルーフのローカットモデルはミッドハイカー同様、シルバー認定のタンナリー生産の革を使っています。ローカットならではのボトムスの長さを問わない、コーディネートのしやすさ、ブランドカラーであるオレンジを配したモデルやシックなモノトーン系のカラーリングから選べるのも嬉しいところ。
また、つま先部分に防水メンブレンを使用した軽量・エントリーモデルも。
「特につま先防水のデザインはシューレースのデザインも新鮮ですし、カラーリングも鮮やかなコンビネーションからブラックベースのものまで、カジュアルなコーディネートにぴったりです。“軽い!”というのも特徴ですね」
メッシュ部分にリボトル™️が使われているサステナブルなプロダクトかつ、これまでのアウトドアシューズにもスニーカーにもありそうでなかったカラーリングがユニークです。さらにつま先防水は梅雨の季節のタウンユースにも嬉しい機能です。
ラギッドなイメージが強いティンバーランドのアウトドアシューズが、現代のライフスタイルに沿ったデザインや素材のアップデートを遂げている背景には、環境に配慮したブランド哲学がありました。ビジネスと遊びの境界線が緩やかな今、機能性はもちろん、デザイン面のニーズに応えてくれそうなギャリソントレイル。快適さとサステナブルなプロダクトを求めている人はぜひ、実際に手にとってみては。
text by 石角友香
photo by Official