パトリック スニーカーの評判が良いワケ。愛好者はこうして夢中になった
「一度履いたら最後、そのシューズの虜になる」
そんなシューズやブランドが、皆さんにはあるでしょうか?私はこの質問をされた時、自分自身のことではなく、あるブランドの愛好者たちのことを思い出します。そのブランドは『パトリック(PATRICK)』。何故なら”パトリック・ラバー”たちは、パトリックのスニーカーを履いて来店し、新しいパトリックのスニーカーを試着して、満足そうにそのパトリックを購入していくからです。では、何が彼らをそこまで夢中にさせるのでしょうか?今回はそんなパトリックの歴史から魅力、人気の理由まで、たっぷりお届けします。
パトリックの歴史。誕生から人気を集めるまで
その歴史は1892年、西仏のプソージュ村で「パトリック・ベネトー」が靴作りを始めたことに端を発します。
当時、新しいスポーツとして世界に広まりつつあったサッカー。そのシューズにいち早く目を付けたのもパトリックでした。サッカーシューズ以外にも様々なカテゴリーのシューズを生産していたパトリックでしたが、やはり一番力を注いでいたのはサッカーシューズのようです。1980年代に活躍したサッカー・フランス代表の「“将軍”ミッシェル・プラティニ」も愛用していました。ちなみに彼がトレーニング用として使用していたモデルがリバプール<LIVERPOOL>です。
こちらはそのLIVERPOOLの兄弟モデル・サンバ<SAMBA>。やはりカラーリングには、フランスを象徴するトリコロールが採用されています。
その後、1990年になり日本での生産がスタートし、それまでのアメリカ製やその他のヨーロッパ発祥のブランドとは違う、エスプリの効いたデザインが人気を集め、徐々にファッション通たちに浸透していきました。
”パトリック・ラバー”が誕生する理由
1.フランス発祥のブランドならではのスタイリッシュなルッキング
まず、他のブランドとの違いで一目瞭然なのは、そのナロー(細身)なデザインではないでしょうか。
ボリュームとは無縁なアッパーのライン、薄めのソールと一見主張が無いように見えながらも独自の存在感を放つその佇まいは、フランス生まれの気高さを感じずにはいられません。
アッパーのステッチワークと、つま先に入ったブランドを象徴する2本ラインが特徴のシュリー<SULLY>。パトリックの入門として選ばれる方も多いこのモデルは、人工皮革のアッパーのためお手入れが比較的容易です。ギザギザのリップルソール(シャークソール)はデザイン面での高さだけでなく、グリップ力にも優れています。
2.フランス生まれ、だけど日本製
そのスタイリッシュなシューズはフランスの職人が作っているのでしょうか?答えはNOです。
では、その他大勢のブランドのように大量生産を目的とした海外生産なのでしょうか?それもNOです。
正解は「MADE IN JAPAN」、日本製なのです。兵庫県姫路市に構える由緒正しい靴工場にて、職人たちの手によって生み出されているのです。ただシューズを生産するだけであれば決して効率的ではないでしょう。しかし、フランスの気風を日本人に伝えるにはこの方法が最善だったと感じます。
パトリックのシューズを手に取った時に感じるその美しさには、妥協を許さないブランドの理念と日本の職人たちの魂がこもっているのです。
結果、生産数は少なくなり、限られた取り扱い店舗でしか手に入れることができないことが、他人と被らないこともシューズの選定基準と考える人たちに支持されているのです。
通常は革靴やブーツを作る工程の一つ「吊り込み」の技法を用いたモデルも存在します。アイリス<IRIS>もその一つで、アッパーとソールの接合の美しさは是非、店頭で確かめて頂きたいです。
1970年代のジョギングシューズをベースに、レザーとナイロンのコンビアッパーのスタジアム<STADIUM>は、手間のかかる袋縫いという製法を用いることで素晴らしいフィット感を実現しています。
3.厳選された素材を使用
レザー製が多いパトリックは、その素材にも並々ならぬこだわりを持っています。
前述の姫路市は国内最大のタンナーとしても有名です。タンナーと製造される工場が同じエリアという好立地を活かして厳選された素材は作品へと昇華されていきます。
◇ステアレザー
生後3~6ヶ月以内に去勢された満2歳以上のオスの革で、耐久性に優れた丈夫な革です。
陸上のスパイクシューズを普段履きにアレンジしたジェット<JET>は、シュリンク(しわ)加工が施されたソフトなステアレザーが使用されています。
定番として人気の高いネバダⅡ<NEVADAⅡ>もステアレザーが使用されています。決して華美なデザインではありませんが、素材の質の高さを感じることができる1足です。
◇キップレザー
1980年代に登場したブロンクス<BRONX>の素材を変更したモデルであるブロンキー<BRONKEY>は、キップレザーの自然な風合いが魅力です。
定番モデルには人工皮革が用いられているダチア<DATIA>ですが、キップレザーにアップデートされたダチア・レザー<DATIA-LE>も存在します。
◇カンガルーレザー
見た目は牛革と区別しにくいですが、柔らかさと耐久性の高さからスポーツシューズに使用されることが多い革です。
軽量なカンガルーレザーを使用した代表モデルといえばアイリスでしょう。実際にフィッティングされるとその魅力が十分に伝わる1足だと思います。
4.豊富なカラーバリエーション
普遍的ないわゆる定番モデルも永らく愛用できますが、シーズンごとにリリースされる豊富なカラーバリエーションも魅力の一つです。
また、秀逸なカラーリングと、そのネーミングが見事なまでに製品に反映されているといった点も、パトリックのこだわりと遊び心を感じさせてくれる一因となってます。
ここで一風変わったカラー名称を持つモデルを紹介します。
▼動物
▼昆虫
▼自然
▼和菓子
過去のラインナップで手に入れることが難しいモデルですが、ユーモア溢れるカラーリングととその名称は見ているだけでも楽しいですね。
パトリックに熱烈な愛好者たちが生まれる理由がお分かりになりましたでしょうか?パトリックを愛する”パトリック・ラバー”たちは、今日もMy パトリックをを履いて出かけます。今後、街であの2本ラインを履いている人を見かけたら、「違いの分かる上質を愛する人」だと思って間違いないでしょう。また、あなたもパトリックを履いて街を歩いているときは、そう思われているかもしれませんね。