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【靴のお手入れ方法】防水スプレーの効果的な使い方は? 専門家がレクチャー

2020.10.02

靴を購入するときに「防水スプレーを持っていますか?」と店員さんに確認された経験がある人も多いのではないでしょうか。

スエードやキャンバス、革といった素材に関わらず、靴をきれいに保つためには防水スプレーが欠かせません。靴を扱うスタッフやファッショニスタにとっては、靴に防水スプレーをかけるのは当然のことでもあります。

とはいえ、防水スプレーは使い方を誤ると撥水効果が得られなかったり、人体に被害を与えたりすることがあるため注意が必要です

今回は、靴磨き・靴のお手入れ用品全般を製造・販売している(株)ジュエルに、防水スプレーの使い方、頻度、注意点などについて聞きました。

水ぬれを防ぐだけじゃない! 防水スプレーの持つ効果


【靴のお手入れ方法】防水スプレーの効果的な使い方は? 専門家がレクチャー

防水スプレーは水が生地に染み込むのを防ぐだけでなく、ほこりや汚れ、傷から靴を守る役割を担っています。季節や天候、使用シーンに関わらず、靴のメンテナンスに欠かせないアイテムです。

新しい靴を迎え入れたら、良い状態をキープするために、きれいなうちに防水スプレーをかけておきましょう。

特に、革靴や白スニーカーは汚れが少しついただけで、印象が大きく変わります。きれいに履き続けるために、防水スプレーを用意しておくのがオススメです。

では、防水スプレーはどれくらいの頻度でスプレーすれば良いのでしょうか?

靴に防水スプレーをかける頻度はどれくらい?

防水スプレーは、生地の表面をコーティングするものです。コーティングは靴を履いている間の擦れなどによって徐々に落ちていき、1~2日で効果が薄れてしまうといわれています。

そのため、週に4日以上履く靴なら、次に履く日までに毎回防水スプレーをかけるのがベター。週に1回または短時間のみ履く靴であれば、月に1回程度でも問題ないといわれますが、こまめにスプレーすることで効果が持続します。

防水スプレーの効果的な使い方

【靴のお手入れ方法】防水スプレーの効果的な使い方は? 専門家がレクチャー

防水スプレーを効果的に使うには、5つのポイントがあります。

【ポイント(1)】シューズ専用の防水スプレーを使う
【ポイント(2)】フッ素系とシリコン系を使い分ける
【ポイント(3)】汚れを落としてから防水スプレーをかける
【ポイント(4)】重ねがけする
【ポイント(5)】しっかり乾かす

【ポイント(1)】シューズ専用の防水スプレーを使う

【靴のお手入れ方法】防水スプレーの効果的な使い方は? 専門家がレクチャー

防水スプレーはさまざまなメーカーが発売していますが、どれもが同じ成分を配合しているわけではありません。スニーカーやバッグなど、防水スプレーごとに使えるアイテムが異なる場合があります。シューズ専門店などで販売されている、シューズ専用のスプレーを使用するのがオススメです。

またスエードや合成皮革、天然皮革(レザー)、キャンバスといった靴の素材を把握し、アイテム自体が防水スプレーに対応しているか確認することもポイントです。

変色しやすい天然皮革やスエード素材には専用のスプレーがあるので、そちらを使用すると安心です。

【ポイント(2)】フッ素系とシリコン系を使い分ける

防水スプレーは、シリコン系とフッ素系の2種類に大きく分けられます。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

(1)シリコン系
シリコン系の防水スプレーは、生地の表面をシリコン成分の膜で覆うことで水を弾きます。撥水性は高いですが、通気性が悪くなって蒸れやすくなったり、生地本来の風合いが変わってしまったりする場合もあります。防水透湿性を備えた靴に使うと、靴の持つ性能が損なわれる点にも注意が必要です。

雨靴などには向いているとされますが、基本的に本革やスエードといったレザー素材には使えません。通気性が重視されないラバー素材の長靴や、傘などに使うのがオススメです。

(2)フッ素系
膜を作るのではなく、生地の繊維に付着して防水効果を発揮するのがフッ素系の防水スプレーです。通気性を保ちながら、防水効果を高められます。布製のスニーカーはもちろん、本革や毛足の長いスエード素材の靴に使えるのもメリットです。

ただし、フッ素系の防水スプレーは、吹きかけてから乾燥するまでに時間がかかります。靴を履く前日にかけておくのが望ましいです。

【ポイント(3)】汚れを落としてから防水スプレーをかける

【靴のお手入れ方法】防水スプレーの効果的な使い方は? 専門家がレクチャー

靴とスプレー剤を密着させるには、靴に汚れがなくきれいな状態でかけるのがベストです。使用する前日に、靴をブラッシングしてから散布しておくと良いでしょう。帰宅したら別の靴に履き替え、玄関の外で脱いだ靴にスプレーするなど、ルーティン化するのも良いかもしれません。

防水スプレーをかける際は、靴を手に持って、20~25cmくらい離したところからスプレーします。近すぎるとシミや色落ちのリスクが高まり、離しすぎるとスプレーが靴にかからないので注意してください。

また、靴は、なるべく下の位置に持つようにします。靴を上の位置に持つと、スプレーがふりかかってきて吸い込んでしまう可能性があります。とはいえ、置いたままの状態でスプレーすると、まんべんなくスプレーできないので、片手に持った状態で吹き付けるのがオススメです。

基本的に、皮膚に多少スプレーがかかるぶんには問題ありませんが、気になるようなら使用後に手を洗いましょう。

【ポイント(4)】重ねがけする

より高い防水効果を期待するのであれば、重ねがけするのがオススメです。靴全体にムラなく防水スプレーを吹きかけて、表面が乾燥したら、もう一度靴全体に防水スプレーを重ねがけします。

ただし、重ねがけしたぶんだけ効果が高まるわけではないので、2回程度吹きかければ十分です。

【ポイント(5)】しっかり乾かす

防水スプレーの撥水効果は乾いてから発揮されます。雨の日の朝に防水スプレーをかけてすぐ出かけると、靴がコーティングされる前に成分が流れてしまい、雨水が靴に染み込んでしまいます。しっかりと乾かしてから靴を履くことも大切です。

製品にもよりますが、散布してから防水スプレーが乾くまで一般的なもので24時間程度、早いもので15~30分かかります。

防水スプレーを使う際の注意点

防水スプレーは、使い方を誤ると健康被害を引き起こしたり、靴の状態を悪化させる恐れがあります。以下の7点に注意し、適切に使用しましょう。

1.防水スプレーを吸い込むと危険!必ず“屋外で”使う
2.使用する際は風向きに注意する
3.マンションのベランダでの使用は避ける
4.マスクをし、一度に大量の使用を避ける
5.インソールやアウトソールにかけない
6.靴の水分が多いときは使用を控える
7.製品に記載の注意事項を確認する

防水スプレーを吸い込むと危険! 必ず“屋外で”使う

屋内での散布は避け、必ず風通しの良い屋外で使用してください。

防水スプレーにはフッ素樹脂が入っており、それが靴の表面に付着することで水をはじく構造となっています。フッ素樹脂が肺に入り込むと、炎症や呼吸困難などの症状を引き起こす場合があるため危険です。狭い場所や室内での大量使用は、絶対に避けましょう。

使用する際は風向きに注意する

防水スプレーを使用する際は、風向きにも注意が必要です。風に飛ばされたスプレーが顔にかかってしまう可能性があります。防水スプレーを吸い込まないように、風上から風下に向かって使用してください。

また、風下に人やペットがいないことを使用前に必ず確認しましょう。

マンションのベランダでの使用は避ける

マンションにお住まいの人は、どこで防水スプレーを使えば良いのか悩むこともあるのではないでしょうか。屋内や狭い場所での使用は推奨されないため、屋外であるベランダを選ぶ人も多いと思いますが、ベランダでの防水スプレーの使用は思わぬ事故の元になるため注意が必要です。

例えば、マンションのベランダの壁が高い場合、スプレー剤が周囲に漂ってしまい、吸い込みやすい状態になってしまいます。

過去の事例では、マンションのベランダで防水スプレーを使用していたところ、網戸を通じて室内にスプレー剤が入ってしまい、室内にいた家族が吸い込んでしまった事故もあります。

風向きによってはスプレー剤が流れてしまい、隣の部屋にお住まいの人に悪影響を及ぼす恐れも捨てきれません。
マンションのベランダは屋外ではありますが、室内にスプレー剤が入りやすい環境です。思わぬ事故を防ぐためにも、マンションのベランダでの防水スプレーの使用は避けるのが賢明といえます。

参考:東京都生活文化局「防水スプレー等の安全対策」

マスクをし、一度に大量の使用を避ける

安全面に配慮していても、一度に大量の防水スプレーを使用すると吸い込んでしまうリスクが高くなります。より安全に使用するために、マスクをしてスプレーをするようにしましょう。

インソールやアウトソールにかけない

防水スプレーを靴に吹きかけるときは、インソール(中敷き)やアウトソール(靴底)にスプレーがかからないようにすることもポイントです。

インソールに防水スプレーがかかると、汗を吸収する性能が落ちてしまいます。アウトソールにスプレーがかかるのも、滑りやすくなる原因になるため、注意が必要です。

靴の水分が多いときは使用を控える

土砂降りの雨が降っている、靴がぬれているなど、靴に水分が多い状態のときは、防水スプレーの使用を避けましょう。

防水スプレーは、空気中の水分を取り込んで吸いながら乾燥を促すという仕組みです。そのため、水分量が多すぎるとフッ素の結晶化が早く進んで固まりやすく、スプレーした靴が白っぽくなってしまうことがあります。

靴がぬれている場合は、タオルで外側の水分を拭き取り、靴用の乾燥剤などを入れて乾燥させた後に、防水スプレーをかけましょう。

製品に記載の注意事項を確認する

基本的に、防水スプレーはエナメルや爬虫類系の革ものには使用できません。フッ素樹脂が靴の表面につくと曇ってみえてしまいます。防水スプレーと相性が悪い素材もあるため、所有している靴が防水スプレーを使用できるものかどうか、使用前にパッケージや説明書に記載の注意事項を確認しましょう。

靴のお手入れ方法

【靴のお手入れ方法】防水スプレーの効果的な使い方は? 専門家がレクチャー

「防水スプレーの効果的な使い方」でもお伝えしたように、防水スプレーを効果的に使うには、靴に汚れがない状態で使用するのがベストです。汚れはそのままにしておくと落ちにくくなるので、お手入れを習慣化すると良いでしょう。

靴のお手入れ方法の基本をご紹介するので、参考にしてみてください。

(1)ついた汚れはその日のうちに落とす

帰宅したら、ブラシで靴全体のほこりを落とします。汚れがひどい場合は、靴の素材にあった専用のクリーナーを使って汚れを落としましょう。

(2)ぬれた場合は陰干しする

靴がぬれているときは、タオルで外側の水分を拭き取ります。その後、靴用の乾燥剤などを入れて1日おいて乾燥させましょう。

(3)防水スプレーをかける

乾いた状態の靴にまんべんなく防水スプレーをかけ、乾かします。

(4)風通しの良い場所で靴を休ませる

足は、靴を履いて過ごすと1日にコップ1杯分程度の汗をかくともいわれています。靴に少しずつ汗が蓄積され、加水分解という現象が起きて、ソールの黄ばみや劣化の原因になることもあります。

消臭用キーパーや靴用の乾燥剤などを入れ、風通しの良い場所で靴を保管しましょう。1日履いたら2日休ませるのを目安にし、インソールに付着した汗を乾かすことも大切です。

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ABCマートで人気の靴の防水スプレー

多くのメーカーから発売されているシューズ用の防水スプレーのなかでも、ABCマートで人気のアイテムをご紹介します。どの防水スプレーにも使用できない素材があるため、必ず注意書きをチェックし、靴の目立たない場所でテストして変色しないか確かめてから使いましょう。

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靴自体の撥水が良くなるから、ずっと長くきれいに履ける

【靴のお手入れ方法】防水スプレーの効果的な使い方は? 専門家がレクチャー

こちらは、防水スプレーを習慣的にした状態の靴。

雨に降られても水をはじきやすく、汚れが染み込むことを防いでくれます。そのため、長い間きれいな状態で履くことができます。

帰宅したら靴を脱いで、玄関の外でシュッとするだけで、愛用の靴を長く履ける便利な防水スプレー。使い方さえ正しく守れば、これほど便利な靴ケアアイテムはありません。

玄関先に防水スプレーを置いておいて、サンダルに履き替えて家の外でスプレーをかけるといった形で、習慣化するのも良いかもしれません。大切な靴を雨や汚れからしっかりガードして、オシャレを楽しみましょう。

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