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アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

2022.03.18

アーティスト、シェイパー、バーバー、シェフ……あらゆるジャンルにおいて、「新しく何かを生み出す職人のためのシューズ」をコンセプトに誕生した『ヴァンズ(VANS)』の<ジャパンファブリックスコレクション(JAPAN FABRICS COLLECTION)>。日本製素材を採用し、“JAPAN ORIGINAL”を提案する同コレクションの魅力に迫る企画として今回は、アート作品を飾る際に欠かせない“フレーム(額縁)”を生み出すフレーマー・木村修平さんのインタビュー&スナップをお届け。コレクションへの印象や、職人としてのスタイルをお聞きしました。

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

Shuhei Kimura
Frame work:mortar,wood
Instagram

独自の素材&技法を駆使してオンリーワンのフレームを生む職人

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

アート作品にとって欠かせないもの、それはフレーム(額縁)。私たちが何気なく見ているフレームですが、その世界は実に奥深く、フレーム次第でアート作品の印象は大きく変わります。今回のインタビュー&スナップに登場する木村修平さんは、コンクリートなどの材料とさまざまな技法を駆使して、オンリーワンのフレームを生む職人です。

「絵を描いたり写真を撮ったりしている仲間がたくさんいたことから、自分も何かしらのものづくりをやりたいと思ったのが最初のきっかけです。そこから仕事をしながらでも続けられるようなことを考えたときに、思い付いたのがフレーム。家具屋や内装関係で働いていたことがあるので木工はできましたが、誰も作ったことのない新しいフレームをつくりたいと思い使い始めたのがコンクリートでした」

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

フレームづくりを始める前にリサーチしたところ、素材にコンクリートを使っている人はDIYレベルでいるぐらい。ほかと被らないスタイルに可能性を感じた木村さんは、試行錯誤をしながらも、自分らしいフレームワークを見つける日々に没頭していきます。

「サンプルを作っていた最初のころは、フレームが割れるなど何回も失敗していました。ですがそういうのも修理しながら使っていたら、仲間から『それがカッコいい』と言われて。【SLAM STONE built.】という現在の屋号は、スケートでいう失敗みたいな“SLAM”という言葉と、『失敗してるけどチャレンジしてるからカッコいい』みたいなイメージから付けました」

木村さんは今回、公私ともにお付き合いがあり、下馬にあるINHERIT GALLERYで“gold school jeans”の発売を記念したポップアップを開催するgoldschool主幹・カワベ氏のご依頼で、展示されるアート作品のためのフレームを制作しました。

「制作はまず作品を入れたいサイズを聞いて、そこから型枠を作って流し込み、さらに削って形を整えていく。シンプルに言うとそんなイメージです。今回はテーマがデニムで、どちらもプールでスケートをしている作品でした。そこから、ひとつのフレームは顔料を練り込み、インディゴブルーで後染め。モルタル染めによるムラでデニムの色落ちを表現しています。もうひとつのフレームはカワベさんのスケートスタイルからオールドのPowellの板を意識して、4色のブルーで“青い炎”を表現しました。染色がコンクリートだといい感じにムラが出て、それがデニムの色落ちに近い感じでうまくリンクできたと思います」

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

「フレームに作品が収まるまでは完成が見えない」という醍醐味

木村さんは友人のドローイングアーティスト“HIROTTON”氏が、2020年に原宿でオープンした国内&アジア初のVANS STOREビルディングのスケートコレクションフロアにおいて、壁画用アートワークを描いた際のフレームも手掛けています。

「HIROTTONとは元々、友人との繋がりで出会いました。その時点でHIROTTONは絵を描いていて、ヴァンズの企画が決まったときも『こういうのをやるからフレーム作って!』みたいな感じで連絡が来ましたね。ほかと同じ作り方をすると重すぎて壁に掛けられないぐらい作品が大きかったので、ほぼ家具を作っているような感覚でした」

HIROTTON氏が描いた作品との融合点を探りながらの制作。フレームづくりは“アート作品を生み出す人ありき”とも言える特殊な作業であり、木村さん自身も「フレームに作品が収まるまでは完成が見えない」という独自の醍醐味があると語ります。

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ
「周りの人からフレームを褒めてもらえることはありますが、僕が作っているのはあくまでも絵を引き立てるもの。作品のスタイルやストーリーをできるだけ聞いてから制作するのですが、やっぱり作品と一緒になったタイミングがすごくテンションは上がりますね」

フレームづくりへの知識がない状態からのスタート、加えて前例のない方法でのチャレンジ。それでも木村さんは諦めることなく何枚もフレームを作り続けていくうちに、「こんな表現ができるのか」と、自身のスタイルに手応えと発見を感じていきました。

「例えばHIROTTONで言うと、ジェイク・フェルプス(スケートマガジン『THRASHER』で30年近く編集長を務めたレジェンド)の絵を描いたとき。タイルを砕くなどして、スケートでボロボロになった雰囲気のフレームを作りました。そうしたら事前にまったく打ち合わせをしていなかったけれど、作品とめちゃくちゃハマって感動しましたね」

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

アーティストとの対話から得る外的な要因と、自分の中から湧き出る内的な要因。そのどちらも、フレームづくりにおいては重要なインスピレーションの源泉となります。

「『お任せで!』みたいなオーダーもけっこう多いですし、作品を最初から見るときと見ないときの両方があります。それと『この材料を使ったらこんな表現ができそう!』みたいなアイデアが自分の中にまだまだあるので、それをその時々で試しながら作っています。アーティストとの出会いで生まれてくるものもたくさんあるので、頭の中のアイデアをちゃんと具現化できるようにしたいですね」

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

フレーム職人がスニーカーに求める「履き心地」と「汚れにくさ」

木村さんのものづくりに影響を及ぼしているのがもうひとつあり、それは“スケートボード”。そして木村さんがこれまで愛用してきたスニーカーは、やはりヴァンズです。

「スケボーは中学生のころからやっています。ヴァンズもスケボーを始めたときから履いているので、歴で言えば長いですね。モデルで好きなのは、やっぱりスリッポン。ずっと同じモデルを履いていて、ボロボロになったら仕事に回しての繰り返し。スケボーに乗るときも、仕事をするときも、ずっとヴァンズです」

木村さんが今回着用したスリッポンは、ヴァンズが「新しく何かを生み出す職人」に向けて贈るジャパンファブリックスコレクションからの一足。さまざまなアクションに対応するヴァンズの機能性が、日本製素材によってさらにアップデートしています。撥水・防汚キャンバス素材のアッパーや、グリップ力の高い防滑リバースワッフルソールカップインソールなどを搭載。あらゆる職人の作業に伴うアクションをサポートし、長時間の立ち仕事でも疲れにくく、履き心地の良いシューズに仕上がっています。

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ

「ずっとスリッポンを履いてきましたが、昔のヴァンズと比べると最初からこんなに履き心地が良いのかとびっくりしますね。中敷きもすごく柔らかくて歩きやすいです。あとは作業をしているとけっこう靴が汚れますし、粉塵もかなり飛ぶ。このヴァンズは汚れに強くて撥水性もあるということなので、そのあたりも履いていく上で楽しみです」

そして世代・性別問わず、タウンユースでコーディネートを選ばずに履けるオールブラック&シンプルなデザインは、木村さんの好みにマッチしていました。

「自分が性格的にすごく面倒くさがりなのでスリッポンばっかり履いています。やはりスニーカーはシンプルでスタンダードなものが一番好きですね。今回のヴァンズはデザイン的にもカラー的にもシンプルで好きなテイストです。フレームづくりのときも、スケボーに乗るときも、普段も、いろいろなシチュエーションで履きたいです」

「フレームづくりに関しては、始めたころから今に至るまで、変わらずといえば変わらずのペース。無理せずに続けていけることが大事だと思うので」と語る木村さんは現在、地元の和歌山で独立に向けて準備中。家具屋をメインとしつつ、フレームづくりは自らが理想とする工房を構え、シンプルに自分にとっての表現活動として続けていくそうです。

アート作品を支えるフレーム職人・木村修平の特別な額縁が出来るまで|ヴァンズ「JAPAN FABRICS COLLECTION」ファッションスナップ
「このフレームは生で見ると感動が違いますね」と伝えると、「それは一番うれしい言葉です」と答えてくれた木村さん。自らのペースで歩み続けるフレーム職人の足元を、“JAPAN ORIGINAL”を掲げて進化したヴァンズのスニーカーがこれからも支え続けるでしょう。

interview&text by ラスカル
Photo by Johnny Hirota (touq .inc)

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