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「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

2025.04.18

英語で交差点を意味する「CROSSROAD」
様々な分野で一直線に邁進するプレイヤーの「ターニングポイント」を振り返る本企画。そのポイントの以前・以後では何が変わったか。そして、変わらずに足元を支えていた“相棒”とも言えるシューズについて語る。

組織運営の失敗を、大自然での企業研修に活かす

今回登場するのは、「ライジングフィールド軽井沢」を運営する渡邊亮さん。企業研修や教育プログラムを提供する体験型アウトドア施設で、単なるキャンプ場ではなく、自然環境を活かし、リーダーシップ研修やチームビルディングの場として機能している。都会の会議室では得られない自然体での「気づき」を生む場として、多くの企業から注目を集めている施設だ。

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

渡邊さんは山梨県河口湖の出身。高校までを山梨で過ごし、進学で上京後、新卒でファッション業界に入った。大手アパレル企業での21年間のキャリアは販売員から始まり、その後大型店舗への異動を経て、最終的には全店の運営も任されるように。

アパレル業界でのキャリアは順調に見えたが、次第に「売り上げ至上主義」の風潮に違和感を覚えるようになる。かつては「お客様のために」と考えていた接客が、いつしか「売るための戦略」に変わってしまったことに気が付いた。

「『全てお客様のために』という理想を掲げながらも、現実は『商品を売らなければならない』という目先の目標ばかりに囚われる日々。目標が目的化することで組織は混乱し、仲間たちも次第に離れていきました。当時の同僚の一人と『いつか会社を変えてやろう』と誓い合ったものの、その仲間も離脱。結局、組織の在り方に疑問を抱えながらも、抜本的な改革はできなかったのです」

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

そんな中で出会ったのが、ライジングフィールドの代表・森和成さん。キャンプをしに行った先での彼との出会いが、渡邊さんに新たな視点を与えた。

「森さんと話をしたとき、組織のあり方やビジョンについて深く考えさせられました。ライジングフィールドがただのキャンプ場ではなく、教育の場であることを知り、自分がこれまで経験してきたことを活かせる場所だと感じたんです」

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

渡邊さんは、「ものを売ること」ではなく、「人を育てること」に焦点を当てる仕事に興味を持ち、ライジングフィールドへの転職を決意。今では単なるキャンプ場の運営者ではない。キャンプ場という形態を活かしながら、教育事業を根幹とするビジネスモデルを展開しているのだ。

「『キャンプ場は儲からない』と言われますが、それでもこの場を選んだのは、「人が本当に学べる環境」を作るためでした。都会の会議室ではなく、自然の中での研修は、参加者の心を解放し、本質的な気づきを与えてくれます。企業のリーダーたちは、焚き火を囲みながら真剣に組織の未来を語り合い、チームビルディングの本質を体感するのです」

人はしばしば成功体験を語る。しかし、渡邊氏はむしろ「失敗こそが学びの本質である」と語る人物だ。彼が手掛ける研修プログラムでは、組織やチームが直面する課題に向き合い、そこから気づきを得ることが重視される。

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

「どうしても、こういう仕事をしていると『こんな成功体験がありますよ』『こんなことをするといいですよ』と語る方が多いです。でも、私は失敗しかないんですよね。だからこそ、その失敗をいかに活かすかが大事だと思っていて」

彼の経験の中でも象徴的なのが、M&Aに関わる研修の話だ。異なる文化を持つ会社同士が統合すると、理念や価値観のズレが浮き彫りになる。くっついた後に「合わなかった」と気づくケースも多い。しかし、渡邊氏はそうした失敗を防ぐために、ある試みを行った。

「私のお客様で4社統合をすることになった企業があって。その際に感じたのが、統合前に目的やミッション、ビジョン、バリューを共有することの重要性です。だから、統合前に全社員を対象にした研修を実施しました。7回にわたり、延べ200人以上が参加し、社長と役員、部長、マネージャー、一般社員と順にブレイクダウンしながら進めていったんです」

軽井沢の自然に囲まれた環境で行われたこの研修では、共通言語を作るチームビルディングや、ビジョンの策定を通じて、互いの価値観をすり合わせていった。

「非日常の空間で、ありのままの自分をさらけ出すことが大切です。夜には焚き火を囲んで語り合うのですが、その時間が特に重要なんですよね」

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

ある時、統合に否定的な社員たちが参加したことがあった。業績の良い1社の幹部たちは「統合する必要がない」と考えており、研修にも消極的だった。初日はあからさまに遅刻し、嫌悪感を隠さなかった。

「でも、焚き火を囲みながら話をしていくうちに、彼らが抱える不安が見えてきたんです。『知らない人たちと仕事をするのが怖い』という本音をさらけ出すと、周囲も『大丈夫だよ』と受け入れる。そういうやりとりを通して、最後には『統合が楽しみでしょうがない』とまで言ってくれました。あの瞬間の表情は今でも忘れられません」

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

「いい靴は長く履ける」磨き続けてきたダナーのブーツ

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

そんな渡邊さんが愛用しているシューズは「Danner(ダナー)」のブーツ。アパレル業界に長く身を置いていたこともあり、靴へのこだわりは人一倍強い。これまでに購入した靴を合計すると、輸入車が買えるほどの額を費やしているという。

「最初にダナーを買ったのは20年ほど前ですね。今日履いているのも2009年に買ったものなんです。とにかく靴を磨くのが好きで、しっかり手入れをしています」

機能面については、特に意識することは少ないが、ゴアテックス仕様のため水に強く、しっかりと足をホールドするデザインも魅力の一つだ。厚底の構造が怪我の防止にも役立っている。

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

「デザイン的にも自分の足にフィットしているし、革も柔らかいので履き心地がいいんですよね」

渡邊さんの仕事は、キャンプ場の運営にとどまらず、企業研修の企画・実施にも及ぶ。ライジングフィールド軽井沢だけでなく、日本各地で、その土地の自然や歴史、文化を活かしたアクティブラーニングを行っている。

「毎年徳島の神山町で新入社員研修を行っています。一昨年の10月のことですが、初日にぎっくり腰になってしまって……。あれは地獄でしたね(笑)。それでもダナーの足元がしっかり締まっているおかげで、どうにか完遂できました。スニーカーだったら無理でしたね」

渡邊さんのファッションは、黒を基調としたコーディネートが基本。

「アウトドアでは黒はあまりよくないんですよ。目立たないし、蜂も寄ってくる。でも、やっぱり黒を選んでしまうんですよね」

「本質に気づくキャンプ場は教育の場」失敗から学び、共に歩んできたDannerのブーツ【ライジングフィールド・渡邊亮】

また、デニムを好んで履き、靴は同じモデルの色違いや二足買いをすることもある。現在所有している靴は約40足。そのこだわりは、父親からの教えによるものが大きい。

「親父は天ぷら職人で、『お客さんを見る場所は靴、車、時計』とよく言っていました。接客業をしていたときも、足元には特に気を遣っていましたね。いい靴は長く履けるし、手入れをすればどんどん馴染んでくる」

最も長く履いている靴は25年物の革ブーツ。自分で手入れをしながら履き続けることが楽しみの一つになっている。

「靴磨きをしていると、無心になれるし、リフレッシュにもなるんですよね」

渡邊さんにとって、失敗とは避けるものではなく、学びの機会であり、次の一歩を踏み出すための糧だ。ライジングフィールドでの研修もまた、失敗から気づきを得る場として設計されている。「自然の中では、本来の自分が表れる」と彼は言う。都会の喧騒を離れ、焚き火を囲みながら語り合う時間が、組織や個人の本質的な変化を生む。そこに、彼が歩んできた道の答えがあるのではないだろうか。

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