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「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

2025.04.13

英語で交差点を意味する「CROSSROAD」
様々な分野で一直線に邁進するプレイヤーの「ターニングポイント」を振り返る本企画。そのポイントの以前・以後では何が変わったか。そして、変わらずに足元を支えていた“相棒”とも言えるシューズについて語る。

原体験は東京と真逆のタイ生活「モノよりコトに携わりたい」

今回登場するのは、宿泊施設「TINY GARDEN 蓼科(タイニーガーデン タテシナ)」を運営する粟野龍亮さん。タイニーガーデンは、長野県・八ヶ岳の麓、蓼科湖のほとりに位置する滞在型自然体験施設で、ロッジ・キャビン・テントサイトの3タイプの宿泊スタイルを用意している。敷地内にはカフェやレストラン、温泉も併設されており、自然の中で思い思いの時間を過ごせる魅力的な施設だ。

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

東京都大田区で育った粟野さんは、いわゆる都会育ち。しかし、大学時代に訪れたタイとミャンマーの国境地帯での体験が、彼の価値観を大きく揺さぶることとなった。

「大学1年生のとき、教授の研究調査に同行して、タイの少数民族が暮らす村に行ったんです。そこは電気もなく、言葉もほとんど通じない環境でした。でも、彼らの暮らしを目の当たりにして、『こんな生き方もあるんだ』と衝撃を受けたんです」

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

東京で生まれ育った粟野さんにとって、それは資本主義とはまったく異なる世界だった。物があふれる都市生活とは対照的に、最小限の道具だけで生きる人々。そのシンプルな暮らし方は、彼の価値観に変化を与えた。

この経験が、モノを売ることよりも「人の暮らし」に関わる仕事への関心につながる原体験となる。大学卒業後、粟野さんは大手アパレル会社に就職するが、1年ほどで退職。その後、アーバンリサーチに転職し、「かぐれ」というブランドを担当。そこではアパレルだけでなく、工芸品やオーガニック製品を扱い、店舗内で作家の展示を行うなど、物販と文化の融合を意識した業態だった。

「お店でもあり、ギャラリーのような空間でした。月に一度、作家さんの展示があって、地方に出向いて打ち合わせをすることも多かったんですが、そこで『モノを売るより、コトに携わるほうが自分に合っているかもしれない』と感じるようになりました」

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

やがて、もっと深く「コト」に携わる仕事をしたいと考えた粟野さんは、大手人材サービス会社に転職。三重県伊勢市で広告営業や集客コンサルを担当することになる。当時、伊勢志摩サミットの開催などで地域が活気づいていたこともあり、多くの地元の店と関わるなかで、改めて地域と人のつながりに魅力を感じるようになった。

「伊勢には、面白い人たちがたくさんいて、若い世代が新しいお店をつくる流れもありました。そういう動きを見ていて、いつか自分も“場”を持ちたいと思うようになって」

そんな折、前職の社長から声がかかり、長野でのキャンプ場立ち上げを任されることになった。最初の1年間は業務委託として関わり、オープンのタイミングで正式に社員として復帰した。

「社長に突然、『蓼科でキャンプ場をやらないか』って言われたんです(笑)。ただ、自分もいずれ“場”を持ちたいと思っていたので、これはいいチャンスだと思いました」

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

もともと蓼科には、宿泊機能がなかった。そこで、小さな街の活性化につながるような、街歩きを楽しむお客さんに向けた滞在型自然体験施設をつくることに。施設には、ロッジ・キャビン・キャンプの3種類の客室が用意されている。いわゆるグランピングのように全てを事前に整える形式ではないが、利用者一人ひとりの「自然を感じる」という体験に対して、無理なく寄り添えることを重視しているんだそう。

八ヶ岳の自然に触れる玄関口として機能しながら、都市部と地方をつなぐハブとしての役割を担う。利用者が自然とより深く関わるためのきっかけを提供することを目指し、スタッフは自然の中で得られる日々の気づきや学びをシェアする姿勢で、サービスやイベント、各種コンテンツを企画・提供している。

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

ライフスタイルの変化に寄り添ってくれるシューズ

現在、キャンプ場の立ち上げ・運営を担う粟野さんにとって、日々のフィールドワークに欠かせないのは、頼りになる一足のシューズ。アウトドアと日常の境界を行き来するライフスタイルの中で、選ぶ靴には実用性と美しさの両立が求められている。

「今の仕事は、屋内と屋外を何度も往復するんです。キャンプ場の設備を点検したかと思えば、そのまま街中での打ち合わせに向かう。そんな日常にぴったりなのが、今履いているBROOKS(ブルックス)のトレイルランニングシューズなんですよね」

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

このシューズは、土や砂利にも耐える強度と、滑りやすい地面でもしっかりと足を捉えるグリップ力が特徴。キャンプ場のぬかるみや斜面、さらには屋内の床など、どのようなシーンでも快適に動ける点が高く評価されている。

「滑るか滑らないかというより、どこでも軽やかに動けるかどうかが大事です。走り回る機会が多いので、軽量で機動力のあるシューズは本当にありがたい。作業靴としても使え、そのまま街へ出かけても違和感がない、バランスが絶妙なんです」
デザイン面においても、彼のスタイルと価値観に寄り添った選択がなされている。

「最近はビビッドカラーや蛍光色のシューズが増えてきましたが、私が好んで履いているものは、トーンが落ち着いていて派手すぎないもの。『今っぽすぎる』オシャレ感がないのが良いですね。アウトドアらしさを感じさせながら、都会のシーンでも浮かない、まさにタウンユースとアウトドアの中間という感じで、今のライフスタイルにぴったり合っています」

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

毎シーズン、新しい一足を購入し、使用感が出たものはキャンプ場での作業用に回し、履き慣らしていく。そのサイクルが、粟野さんにとっては自然な流れとなっている。

「仕事用、ランニング用、トレーニング用と使い分けながらアップデートを重ねています。どんなに使いやすくても、自然環境での作業ではどうしてもシューズが傷んでしまうので、消耗を前提に信頼できるものを選んでいます」
一足のシューズが、ライフスタイルの変化に合わせて働き方を支え、日常の風景の一部となっていく様子は、まさに「相棒」と呼ぶにふさわしい。都市と自然、仕事と暮らし。そのすべてを横断する粟野さんの足元を、このシューズは静かに支え続けている。

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

「ここをきっかけに移住してくれる人が、実はけっこう多いんです。蓼科での宿泊が、みんなのターニングポイントになってる。それもあり今は、市の移住交流事業にも関わっており、アドバイザーというよりは事務局側として、企画から一緒に動いています。こうして親和性のある仲間が増えていくのって、すごく意味のあるものだと思っていて」

「すべての暮らしや仕事は森とつながっている」と語る粟野さん。豊かな自然が育む水や空気は、地域の酒蔵や精密産業、そして自身のビジネスの根幹でもあるという。諏訪という土地の背景には、自然環境が深く関わっており、人々の営みもまたその流れの中にある。だからこそ、この地を訪れる人たちに対して、自然と共にある暮らしの価値や、そこに根ざした営みの魅力を伝えていくことが、自分たちの役割なんだと。

「生活・仕事は“森”とつながっている」ブルックス「カスケディア16」と山へ街へ【タイニーガーデン・粟野龍亮】

粟野さんが蓼科で紡ぐ日々は、ただの「宿泊体験」では終わらない。そこにあるのは、自然と人との関係性を見つめ直すきっかけであり、暮らしそのものを見つめ直す旅路のはじまりでもある。

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