たった一本の髪の毛で作戦が狂う!? 意外と知られていないカーリングのルール
2018年2月9日(金)から、いよいよはじまる平昌五輪。今大会は、15の競技から102種目が実施されます。フィギュアスケートやスキージャンプ、スピードスケートなど人気の競技が目白押しですが注目したいのが、氷上のチェスとも呼ばれる『カーリング』。
ほかの競技に比べると、さほどアクロバティックな動きがあるわけでもなく、室内リンクの一部分で行われることから、なんとなく地味なイメージがあるかもしれません。しかし、実はとても奥が深く、身体能力のほかに、“頭脳戦”がキーワードになるスポーツ。ヒンヤリとしたリンク上で、バチバチ火花を散らす熱き戦いを繰り広げているのです!
たった髪の毛一本で、作戦が狂う!?
ルールはシンプル。30m以上先にある円(ハウス)をめがけて、ストーンと呼ばれる重たい石を投げます。円はいわば、弓矢の的のようなもの。円の中心にストーンが近いほど、得点が高くなります。
そして、放たれたストーンの前をブラシでゴシゴシ! カーリングといえば、この光景を思い浮かべる人が多いでしょう。リンクは一見ツルツルに見えますが、無数の凹凸があり、それをブラシで擦ることでスピードを調整しています。擦ればスピードが早くなり、何もしなければ徐々にスピードが落ちていきます。
なお、リンク上では片足の靴底が滑りやすいように加工された専用シューズを履くので、慣れてしまえばスムーズに移動することができます。
ちなみに、氷面に髪の毛1本落ちているだけでストーンの方向が狂ってしまうほど、ストーンは繊細。ゴシゴシと凹凸を擦ることで、ダイレクトにストーンの行く先をコントロールできます。
チームは5人で編成されます。一番手に投げる人(リード)、二番手(セカンド)、三番手(サード)、円の近くで指示を出す人(スキップ)、事故があった場合に交代する人(フィフス)の計5人。最初の3人は、ストーンを投げる役と、ブラシでゴシゴシする役(スウィーパー)を交代しながら行います。
スキップは、いわばチームの司令塔。ゲームを読んで指示を的確に出します。この司令塔は最後に投球し、その際はサードがスキップ役に回るルールがあります。
得点の数え方はちょっと複雑?
カーリングは、得点の数え方に特長があります。円の中心に近いほど得点が高くなるわけですが、円内に複数のストーンがある場合は、どうやって計算するのか疑問に思うところ。
たとえば、写真(A)の場合。円の中心に近いのが赤のストーンなので、赤チームに得点が入ります。黄チームのストーンより内側に赤が3つあるため、3-0で赤チームの勝ちです。一見、3-2のようにも見えますが、円内のストーンすべてが得点になるわけではない、というのがミソ。
次に、写真(B)場合はどうでしょう。中心に1番目に近いのが黄色、2番目は赤、3~5番目は黄色になっています。この場合は、1-0で黄色の勝ち。ちょっと分かりにくいですが、負けチーム(赤)のストーンより円の近くに、何個ストーンがあるかで得点が決まります。
ド素人でも楽しくゲームを体験できちゃうところがイイ!
カーリングの面白さは、相手の作戦や、自分たちのチームの癖を読んでゲームを進める“頭脳プレー”である点が挙げられますが、まったくの初心者でも楽しくゲームできちゃうところも魅力のひとつ。
山中湖や軽井沢など、雪国でなくてもカーリングを体験できる施設があり、シーズン問わずチャレンジできます。室内スポーツなので、天候や日照時間に左右されることがなく、リンクさえあれば条件を問わずに楽しめる手軽さもいいですね。
寒くて外に出るのが億劫になっている、そこのアナタ。この冬はテレビの前で熱き戦いを応援しましょう! そして観戦した後は、ぜひ一度カーリング場へ。コツさえつかめば、1回の体験プログラムでド素人でもリンクでゴシゴシ、ゲームだって楽しめちゃいます。
さあ、平壌五輪開幕まで、あと少し! ガンバレ、ニッポン!