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リーボック『インスタポンプフューリー』の物語【リーボック担当者がスニーカーを語る】

2021.05.19

スニーカーの数だけ物語がある。また、そのスニーカーを履く人のこだわりが加わると、さらに物語は奥行きあるものになります。

普段から多くのスニーカーに触れている各メーカーの担当者に、お気に入りのスニーカーを聞くと、思いがけないエピソードがこぼれてきました。珠玉のスニーカー、今回は『リーボック(Reebok)』のインスタポンプフューリー<INSTAPUMP FURY>です。

リーボックの滝正芳さんが、1994年に発売されて以来、リーボックのアイコニックな存在として君臨する大人気モデルについて語ってくれました。

リーボック『インスタポンプフューリー』の物語【リーボック担当者がスニーカーを語る】

リーボック マーケティング事業本部 ブランドコミュニケーションズ マネージャー
滝 正芳さん

“奇抜すぎる”と反対も…信念貫いたインスタポンプフューリー“シトロン”

――『インスタポンプフューリー』はどんなスニーカーですか?

リーボック『インスタポンプフューリー』の物語【リーボック担当者がスニーカーを語る】

昨年よりスタートした、リーボックが誇るフィッティングテクノロジー“Pump(ポンプ)”を祝福する特別な日『PUMP DAY』は、今年も5月15日(土)になります。インスタポンプフューリーの1stカラー、通称“シトロン”がメインプロダクトとして登場します。

シトロンがリリースされたのは、今から25年以上前の1994年になりますが、その始まりは1991年にまで遡ります。当時の社長直属の特別部隊として立ち上げられたデザインチーム、「RAC(Reebok Advanced Concepts)」によって開発されました。彼らは「世の中に存在しないデザインのプロダクトを生み出す」という極めて野心的な課題を与えられていたそうです。そして、ミニマルなデザインとプロダクトの軽量化という点に焦点を絞り、それまでシューズ内に内蔵されていたブラッダーと呼ばれる空気室をアッパーの一部に使用するというアイディアに辿り着き、シューレースのない非常にユニークなデザインが完成したのです。

デザインは今も現役で活躍する、伝説的シューズデザイナーのスティーブン・スミスが手がけていて、彼はランナーがこのモデルを履いて走った際、足が炎で包まれているかのように見せるために、イエロー×レッドという非常に鮮やかなカラーリングを採用したそうです。そしてこの配色を巡り、当時の社内でひと騒動あったというエピソードが残されています。

リーボック『インスタポンプフューリー』の物語【リーボック担当者がスニーカーを語る】

当時の営業・マーケティング部門は、スティーブン・スミスのデザインを“奇抜すぎる”としてネガティブな反応を示し、ブルー、グレー、ブラックといったシンプルなカラーのシューズしか売らないと反対したそうなんです。そんな対応に納得がいかず怒り心頭の彼は、「RAC」に大きな期待を持っていた当時の社長へ直談判し、“シトロン”がファーストカラーとして世に出ることになりました。

どんなに社内で大きな反対を受けようが、自分の信念を貫き通し、その結果“シトロン”はスニーカー史に名を刻む1足になったんです。まさに、この時のスティーブン・スミスの情熱が、ブランドの最もアイコニックなモデル・インスタポンプフューリーのレガシーとなっているのです!

今も色褪せない前衛的なデザイン

――譲れないお気に入りのポイントは?

リーボック『インスタポンプフューリー』の物語【リーボック担当者がスニーカーを語る】

インスタポンプフューリーは、25年以上前に発売されたスニーカーですが、その前衛的なデザインは今も色褪せず、最新のランニングシューズと言っても納得できる斬新さがあるのが、一番凄い点だと個人的には思っています。

奇抜な配色から、なかなかコーディネイトしづらいと思われているのですが、シンプルなカジュアルコーデや、モノトーン・コーデにすんなりと合わせることが出来て、持っていると重宝する1足なんです。ですので、これまで派手なカラーという点でシトロンを避けていたお客様にも、この機会にぜひチャレンジして頂きたいです。ユニークな開発ストーリーも含めて、この“シトロン”には魅力がたくさん詰まっています。

インスタポンプフューリー“シトロン”は手の届かない憧れの1足

――『インスタポンプフューリー』とのストーリーを教えてください。

リーボック『インスタポンプフューリー』の物語【リーボック担当者がスニーカーを語る】

私が中学生の頃に、ハイテクスニーカーブームが巻き起こり、“シトロン”は各社からリリースされていた数多くのモデルの中でも別格でした。定価をかなり上回る金額で出回っていたので、中学生の自分に買える代物ではなく、高校生だった兄も東京まで行って買って帰ってきたのはパープルでしたが、パープルでさえ相当羨ましかったです。その時の思い出があるので、2014年にパープルが復刻された際、迷わず即購入でした。当時はシトロンを持っている友人・知人など周りにいるわけがなく、誌面で見るもの、シトロンは手の届かない憧れの1足、そういう存在ですね。

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