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健やかな成長は靴教育の3つの柱を知ることから! 早いほどいい!我が子に教えたい正しい・靴の履き方・サイズの決め方・選び方【後編】

2021.12.17

「成長期のお子さんに適した正しい靴の選び方や履き方は?」と聞かれてすぐに答えられますか? 靴は学校教育で学ぶ機会がありません。正しい知識と言えるものは知っているようで、みんながわかっていないのが日本の教育の現状です。お子さんの健やかな成長や本来の体力・運動能力を発揮させていくためにも大人も子どももみんなで正しい習慣を知って実行することが大切だとシューエデュケーション®の研究者・吉村眞由美さんは言います。では具体的にはどんなことに気をつければいいのか、じっくりお聞きしました。

吉村眞由美
【専門分野】人間工学と靴医学に基づいた、子どもの健全育成ならびに安全・事故予防を可能とする総合的教育システム“シューエデュケーションⓇ”の構築、ならびにその指導者“シューエデュケーターⓇ”の育成を行っている国内初の研究者。【略歴】博士(学術)。元 金城学院大学生活環境学部 教授。現 早稲田大学人間科学部通信教育課程教育コーチ、実践女子大学非常勤講師、白梅学園大学非常勤講師、道灌山保育福祉専門学校専任講師。【学会活動ならびに役職】日本靴医学会 小児の足と靴を考える委員会委員長・評議員、日本外来小児科学会 代議員、日本レジャー・レクリエーション学会 常任理事、公益財団法人 日本学校体育研究連合 足育調査研究委員ほか。【著書・教科書】ななみ書房「知っておきたいヨーロッパ流子どもの足と靴の知識」(監修翻訳)、建帛社「コンパス保育内容(健康)」ほか。
official site研究者情報

子どものうちに身につけさせたい正しい靴の履き方とは?

健やかな成長は靴教育の3つの柱を知ることから! 早いほどいい!我が子に教えたい正しい・靴の履き方・サイズの決め方・選び方【後編】

(1)親が履かせる「ファーストシューズ」から自分で履こうとする「2歳児」まで

ベルトの靴を例にとって説明します。多くの幼児が履いているマジックベルトの靴には以下の2タイプがあります。

①片側ベルトタイプ
接着部分が短く、簡単な留め外し操作で履ける構造:ベルトを引っ張る手と靴本体を足に密着させる手を同時に両手を使って履く:多くの子ども達が履いているタイプ

②折返しベルトタイプ
接着部分が長く固定力が強い、ベルトが折り返し二重構造:2本ベルトのものが多く、機能性が高いと言われているタイプ

【正しい靴の履き方の順序】
1)片側ベルトタイプ
❶履き口を充分に開いて足を入れます
❷踵をトントンと地面に打ち付けて、踵を靴内の最適な場所に位置付けます
❸右靴は右手でベルトの先端を持ち、左手ではベルト付け根付近の位置で左右両側から靴をつかみます(履かせる場合は大人が靴の両脇を持って足を挟み込んでフィットさせます)
❹靴の両側をつかんだまま、足首の位置でベルトを強く引っ張りながら留める。2本ベルトのものは、踵に近いベルトを先に強く締めて留め、指先に近いベルトは軽く留めます。逆側は左右逆転させて操作します

2)折返しベルトタイプ
❶履き口を充分に開いて足を入れます
❷踵をトントンと地面に打ち付けて、踵を靴内の最適な場所に位置付けます
❸右靴は右手でベルトの先端を持ち、地面と垂直の方向(真上)に向けて力いっぱい引っ張り、ベルトが止まるところまで引き続けます
❹ベルトが外れないように、圧着して留める。逆側は左右逆転させて操作します

履き終わりに、ちゃんと履けたかどうかの確認をしましょう。

【正しく履けたかを確かめるチェック法】
1)かかと引っ張り確認法(大人が行います)
①靴のかかとをつかみ足から離す方向に強く引っ張ります。その際に靴と足の踵同士が上下にズレたらベルトの締め方がまだ足りないサイン。再度ベルトを強く引っ張って留め直します
②正しく履けていれば足と靴が一体化しているため引っ張っても靴と踵はズレません。靴と踵が密着していて靴ごと足がぐっと引っ張れたら正しく履けてフィットしているサインです

特に1~2歳児の足は皮下脂肪が多く関節の結合も未熟なため足と靴のズレがわかりにくい場合があります。靴を引っ張ると一体化しているように感じますが、感覚を研ぎ澄まして精密にフィット感を確認してください。言葉が話せないファーストシューズの時期から、丁寧に“ちゃんと履けたか”のチェックを行いましょう。ファーストシューズから『靴感覚』の発育は始まっています。特に長時間のお出かけや元気に歩きまわるときはこの履き方がベストです。毎回チェックを行なって慣れるのが早道。ぜひ習慣にしてください。

(2)自分で靴の管理(脱ぎ履き・片付け・収納)をし始める「3歳児から5歳児」まで

3歳になると大多数のお子さんが保育園や幼稚園に登園するようになり集団生活が始まりますこのタイミングが本格的な靴教育のスタートを切る好機です。最初に理解させておきたい基本の考え方は以下の3段階です。

ステップ1:手を使って靴を丁寧に履くこと
ステップ2:正しい順番で履くこと
ステップ3:脱ぐときも手を使い、次にすぐ履ける状態(ベルトを外したまま)でしまうこと

次に履き方の基本動作を理解させます。
①足を入れて
②踵をトントンして足に合わせる
③手でベルトを持ってギューッと小指側に引っ張って足と靴をフィットさせたら
④ピタっと留めて固定すれば出来上がり

最初はそれぞれをゆっくりと丁寧に行うように伝えましょう。
教える大人は足だけで脱ぎ履きする姿を見せないようにしてください。お子さんにとって特別な履き方を学び始める誇らしさや特別感を削いでしまいかねません。どうか気を付けてください。

ベルト別の履き方は0〜2歳の項と同じです。参照してください。
履き終わりには、ちゃんと履けたかどうかの確認をしましょう

【正しく履けたかを確かめるセルフチェック法】

1)かかと引っ張り確認法
やり方は「2歳児」までと同じですが、3歳児以降はお子さんご自身が行うようにしましょう。
①靴のかかとをつかみ足から離す方向に強く引っ張ります。その際に靴と足の踵同士が上下にズレたらベルトの締め方がまだ足りないサイン。再度ベルトを強く引っ張って留め直します
②正しく履けていれば足と靴が一体化しているため引っ張っても靴と踵はズレません。靴と踵が密着していて、靴ごと足がぐっと引っ張れたら、正しく履けてフィットしているサインです

2)前後開脚・体重移動・踵上げ確認法
①右足を後ろ側に。左足を前側に。前後開脚して立ちます
②前足側に体重をかけて後ろ足側はつま先立ちになります
③体重を後ろ足に掛けたり前足に掛けたりを繰り返して、後ろ足の踵の密着感を確かめます
靴と足の踵同士が上下にズレたら、ベルトの締め方がまだ足りないサイン。再度ベルトを強く引っ張って留め直します
⑤正しく履けていれば足と靴が一体化して動くため靴と踵はズレません。踵を上げた時に靴も同時に持ち上がれば、正しく履けてフィットしているサインです

次に靴の脱ぎ方について説明します。
ベルトによって履き方が少し異なります。ベルトの種別に見てみましょう。

【正しい靴の脱ぎ方・しまい方】

1)片側ベルト:ちょうちょ脱ぎ
❶手を使ってベルトを外し、手でかかとを押さえて脱ぎます
❷外したベルトが下がらないよう、靴のベロを引き上げて立たせてベルトを下から支えます
❸靴の中の湿気や臭いがこもらないように履き口を広げ、風通しが良い状態にしてしまいます

2)折返しベルト:三角脱ぎ
❶ベルトは折り返し二重構造になっているため、表側のベルトの端を持って外したら、内側のベルトを緩めて浮かせて三角形を作り、靴が脱げる状態にします
❷手でかかとを押さえて脱ぎます
❸靴の中の湿気や臭いがこもらないように履き口を広げ、風通しが良い状態でしまいます。

出かける際のスピーディさと靴の品質が長持ちし、靴内の衛生管理をも意識した新方法はメリットがいっぱい。履くときには既にベルトが外れているので速く履ける。靴のかかとを踏まずに履けるため靴の機能性が落ちず良い状態で長く使える。靴の中を低温低湿に保てるので細菌の繁殖を防げて悪臭も抑えられる。メリットがいっぱいのこの脱ぎ方。ぜひ試してみてください。

(3)紐靴に切り替わる「小学生」に知ってほしいこと

紐靴の履き方も、マジックベルトの履き方も、原理は同じです。

3)紐靴
❶脱ぐときに必ず蝶結び(リボン結び)をほどき、ベロと靴の履き口の両側を持って大きく広げておきます。すると紐穴の最上段から前方向へ3~4段程度は紐が緩みます。靴紐はほどけた状態のまま垂らしておきます
❷靴のベロの部分を引き起こして、履き口の両サイドをつかんで大きく広げて、足を入れます
❸かかとをトン!と一回地面に打ち付けて、つま先を上げた状態を作ります。すると靴の後端と足の踵がぴったり合って隙間がなくなって安定します。逆に足先には靴内のゆとり(捨て寸)が生まれて足が最適な位置に収まります。つま先を上げておくのは土踏まずとの立体的なフィット感を得るためです。このフィット感の心地よさには個人差がありますので各自調整をお願いします
❹靴紐を締める時は紐が緩んでいる段から締め始めます。必ずしも最前段から行う必要はありません。紐の締め方は紐穴の近くで靴紐をつまみます。足の中心から見て斜め45度上の方向にぐっと引っ張ると軽い力で靴を足にフィットさせることができます。最上段の穴まで行ったら靴紐を上方向に強くまっすぐに引っ張り上げます。こうすると一番力のかかる最上段がきゅっと締まって靴と足が一体化して安定します。最上段の紐が一番大事です。ほどけないように固く蝶結びをしてください

健やかな成長は靴教育の3つの柱を知ることから! 早いほどいい!我が子に教えたい正しい・靴の履き方・サイズの決め方・選び方【後編】

健やかな成長は靴教育の3つの柱を知ることから! 早いほどいい!我が子に教えたい正しい・靴の履き方・サイズの決め方・選び方【後編】

現在の子ども達はドアノブや電灯のスイッチや水道の蛇口など使いやすさを優先した製品が増えた関係で、指先を細やかに使って物を操作する機会が減ったと言われています。そのため昔のように園や学校で自然に行っていた蝶結びを経験していないのです。紐靴に替える時には、ぜひご家庭で蝶結びのやり方を丁寧に教えてあげてください。中学生になれば体育館シューズや部活の靴がほぼ100%紐靴に変わります。学校でやらなくなってしまった蝶結びを小学生の時にしっかり習得しておくことは不可欠です。縦結びなど間違った結び方を教えないようにも気を付けてください。自信のない方は結び方動画を調べるなど正しい結び方を確認しておけば安心です。紐靴に変えるのは小学校3~5年生頃が良いでしょう。中学校生活に向けて素早く脱ぎ履きができれば安心です。

履き方を覚えたら、今度は正しい靴選びを

シンプルな4つのポイント。靴の種類選びの条件と優先する機能を明確に

健やかな成長は靴教育の3つの柱を知ることから! 早いほどいい!我が子に教えたい正しい・靴の履き方・サイズの決め方・選び方【後編】

1)留め具がある靴
メリット:靴の中で足を正しい位置に固定でき、足がずれるのを止めてくれる

留め具(マジックベルトや靴紐)がついていれば、お子さんの足幅や甲の高さに合わせて調節でき、足を靴とフィットさせられます。通園通学・外遊びで元気に動き回る靴には機能性を優先します。そのためには留め具が不可欠です。ベルトの本数は1本より2本と、多いほど固定力が高まりますが、多くなればその分だけ手間も時間もかかりますお子さんが毎回きちんと留め外しができる発達段階なのかどうかも考慮して本数を決めると良いでしょう

2)踵部分が硬く、踵の幅に合っている靴
メリット:足のアライメント(足の関節や骨の連なり)を支え、バランスよく安定させてくれる。 

素材が硬い方が足の左右へのぐらつきを防いでくれる効果があります。

健やかな成長は靴教育の3つの柱を知ることから! 早いほどいい!我が子に教えたい正しい・靴の履き方・サイズの決め方・選び方【後編】

3)靴底が歩き方に合っている靴
メリット:ファーストシューズは安定性の向上、セカンドシューズ以降は可動性の向上

靴底の性質は発達段階によって変えてあげる必要があります。
ファーストシューズの時期は足首が不安定なため立っていてもぐらつきがあり足裏全体でペタペタと接地する歩き方。まだ、かかとから接地して、つま先で蹴り出すことはできません。そのため重心が揺れ動いた時の素早い復元性が大切です。どんな角度から接地しても短時間で重心が定まり安定させる力を持った靴底であることを重視します
セカンドシューズ以降は、かかと接地をして足裏全体で立ち、つま先離地を繰り返す歩行パターンに進化し、足の形状は常に変化を繰り返し続けます。この「踏み返し動作」を作りやすい設計が適しています。人間の足には、つま先から踵までの距離でみると前から3分の1ぐらいの位置にMTP関節があります。この関節が歩くたびに大きく曲がることが歩行時の推進力となってくれるので、ここがよく曲がり、楽に元に戻ることが重要です

4)カップインソール(中敷き)が取り出せる靴
メリット:靴の中を衛生的に保て、足の成長と買い替えのタイミングがわかる

カップインソールとは足の踵に合わせて後部分がカップ状に設計された中敷きのことです。機能性を考えた子ども靴では取り外しができるカップインソールを採用することがトレンドになっています。靴の中は足から出る汗に加えて皮脂や垢が混じり全身の中で最も汚れがたまる部位です。そのため悪臭や細菌が繁殖し皮膚トラブルが起きる元にもなります。中敷きが取り出せれば手軽に汚れだけを部分洗いで清潔に保てます。また靴と服では使われている部材が全く異なるため洗い方を変える必要があります。靴には水に弱い部材が含まれているため、靴ごと丸洗いする際には、洗濯液に漬ける時間が長いほど内部の部材が濡れることでもろくなり靴の寿命が短くなってしまいます。それに対し、中敷きを取り出して部分洗いすれば丸洗いより乾きも早く、靴の傷みも軽減できる利点があります。靴内の蒸れや臭いが気になったら中敷きをサッと取り出して靴の上に置いて一晩乾かしましょう。さらにマジックベルトや靴紐を外して履き口を広げておきます。風通しを良く管理することで靴内の湿度と温度が下がって乾燥し、細菌の繁殖や悪臭を軽減することができます

健やかな成長は靴教育の3つの柱を知ることから! 早いほどいい!我が子に教えたい正しい・靴の履き方・サイズの決め方・選び方【後編】

もう一つの利点は足とのサイズ確認が簡単にできることです。試し履きの時にお子さんに靴の上から指先部分を押して「どう?」と聞いていませんか?幼い子どもには経験も知識もないため、サイズが合っているかどうか判断ができません。言われてみれば当たり前ですが、ついつい聞いてみても正しくは答えられないのです
臨床現場で靴の指導もされている足の外科の専門医の先生のお話をお聞きすると、足に痛みを訴えて受診するお子さんの中に、靴がきつくなったことを大人に伝えられるケースはほとんどないそうです。考えてみれば毎日同じ靴を履いて過ごすなか、じわじわと足が窮屈になっていくのですから言えないのも無理はありません。きつくなった靴はダイレクトに足先を圧迫するため、足指の痛みや爪トラブルなどの原因になりかねないそうです。この問題を解決するのに中敷きは役立ちます。靴から取り出した中敷きの上に靴下を履いた状態で立たせましょう。踵の位置を揃えて立つのがポイントです。中敷きの先端と指先の位置の差を見てください。差が5ミリ程度かそれ以下になったらワンサイズ(5ミリ)上のサイズに替えましょう。親指で靴の上から押すよりも、直接足先を目で見て替え時を確認する方が正確で安心です。最近では中敷きの先端に色を付けて足を乗せれば靴のサイズ交換時期がわかる工夫をしている製品も増えてきています。

家族みんなで正しい靴選びと履き方を身に付けよう!

ここまでお子さんの靴の履き方や選び方を紹介してきました。実は手本となり教育をしてほしい大人自身が、正しい履き方ができていないのが現状です。お子さんは保護者の方の靴の履き方を日頃からよく見て真似をしています。かかとを踏んでいるお子さんを見つけたら、親御さんがかかとを踏んだ靴で園にお迎えに来ていた。そんな場面によく出会います。なぜ手を使わないで足だけで靴を脱ぎ履きする人が多いのでしょうか?その原因の一つには日本の靴文化の歴史の問題があります。靴が一般化・日常化した第二次世界大戦後から今に至るまで、日本の消費者に靴の知識を持ってもらうことの重要性に気づいた研究者がいなかったことにあります。誰もこの問題に切り込んでこなかったのです。平成から研究を続けている私がその草分けなのです。
昭和時代から義務教育の教科書に載ることもなく、靴を使って授業を行う体育でも、衣服など身につけるものの基礎知識を習う家庭科でも、靴の分野は教えられてきませんでした。そのため、足に合う靴がなかなか見つからない悩みや原因がわからない足のトラブルや足の疲れを抱えていても、なぜそれが起きるのか?どうすれば解決できるか?を誰も教えてくれなかったので、多くの人の困りごとは解決せず我慢を強いられてきたのです。
これからの未来を担う大切なお子さんが同じ轍を踏まずにすむよう、今回このコラムで詳しくお話しをしました。まずは“正しい靴の履き方”を毎日の習慣にしましょう。そうすることが、お子さんの将来への大きなプレゼントになるでしょう。

正しい履き方がわかるとびっくりするほど足が疲れにくくなり歩くのが楽しくなると思います。ぜひ親子で一緒に新しい履き方をして、お出かけやスポーツを思い切り楽しんでください。

靴の履き方や選び方を家族みんなで見直して、外遊びやスポーツを思い切り楽しめる足元づくりをしてみませんか? 健康や安全は足元から。今日から始められる第一歩が、“正しい靴の履き方”をすることです。履き方が変われば、次は足に合った靴を探しに行きたくなり足の環境がどんどん改善されていきます。靴の基礎知識と使い方の実際を、このコラムを読んで、ぜひ身につけてください。

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