スラムダンクは読んだけど、Bリーグはまだ観ていなかった女子【川崎ブレイブサンダース観戦】
連載終了から20年以上経った今も色あせない、バスケットボール漫画の金字塔『スラムダンク』。男性のみならず女性人気も高く、個性豊かな登場人物たちがひたむきに汗を流すその姿に、胸をときめかせた女子も多いでしょう。Bリーグ観戦記、第2回目の今回は、そんな俗物的な目線を含んだ女性筆者がリポートします。
結果的に、残り1秒で勝敗が決まるという、漫画さながらの劇的な瞬間を目の当たりにすることができました……。バスケって、Bリーグって、アツすぎます。
スラダンにも登場、聖地・平塚総合体育館へ
今回観戦したのは、11月11日(土)に神奈川県平塚市の『トッケイセキュリティ平塚総合体育館』で行われた川崎のホームゲームです。
平塚総合体育館といえば、湘南を舞台にしたスラムダンクにも登場したまさに聖地。あっ、この特徴的な建物、マンガで見たことある! 試合前から気分も上がります。
物語では、この体育館で神奈川県大会決勝リーグ湘北vs陵南が、全国大会出場の最後の椅子をめぐり、激戦を繰り広げました。仙道vs流川のライバル対決や、メガネ君の劇的シュートがここで……。体育館の特徴的な外観は、17巻や21巻などで確認できます。中にスラムダンクコーナーもあり、井上雄彦先生の貴重な色紙も展示されていました。
“あきらめない戦士”川崎ブレイブサンダース
うっかり体育館の外観だけで興奮してしまいました。今回のメイン・川崎ブレイブサンダースについてご説明しましょう。
『ブレイブサンダース(BRAVE THUNDERS)』とは、最後まであきらめず勇敢に戦っている戦士を意味しています。スラダン最大の名台詞「あきらめたら、そこで試合終了ですよ……?」まさに安西先生の教えがそこにあります。
創部は1950年で、前身は東芝のバスケットボール部。昨年は、中地区のレギュラーシーズンを49勝11敗、18クラブ中勝率1位でチャンピオンシップに進出したものの、ファイナルで激闘の末、東地区代表の栃木ブレックスに敗れ、惜しくも2位でシーズンを終えました。
今年から強豪ぞろいの東地区に移った川崎。この日の相手は、昨シーズン優勝を争った栃木ブレックスなので、重要な一戦になることは間違いありません。
対する栃木ブレックスは、主力選手の移籍がありましたが、NBAを経験した日本バスケ界のカリスマ、主将の田臥勇太選手が変わらずチームをけん引しています。前ヘッドコーチが退任し、アシスタントコーチを務めていた安齋竜三新ヘッドコーチの初陣ということで、栃木にとっても負けられない戦いです。
川崎の注目選手は?
この日も、多くの女性ファンが来場し、選手個人への声援も聞こえてきました。ということで、川崎の注目選手について“要チェックや!”。
最も注目すべきは、主将の#7篠山竜青(しのやま・りゅうせい)選手。日本代表にも選出された、川崎の絶対的司令塔です。コートはもちろん、ベンチでも仲間を盛り上げ、精神的支柱として重要な役割を担っています。実力はさることながら、イケメンも相まって、女性人気ナンバーワン。
#22ニック・ファジーカス選手は、昨季のMVPにして得点王。毎試合、得点を量産し、観戦翌日の11月12日にBリーグ最速の通算2,000得点を達成しました。
“バスケ界のお祭り男”#14辻直人選手は、学生時代から何度も日本一を経験している不動のエース。試合を重ねるごとに調子を上げており、得点力の高い選手です。
真っ赤に染まるアリーナ…熱気のなか、TIP OFF!
Bリーグの試合時間について解説しておきましょう。試合は4クォーター制で、1Qの試合時間は10分。クォーター間に休憩やハーフタイムがあります。サッカーのようにロスタイムはありませんが、タイムアウトやファウル、得点が入ったときもタイムが止まるので、試合全体は2時間弱かかります。
この日のチケットは前売りの段階で完売し、入場者は2820名。多くの立ち見が出るほど超満員でした。赤がチームカラーの川崎のホームゲームということで、“THIS IS OUR HOME”と書かれた真っ赤なTシャツと、赤く光るリストバンド型LEDライトが入場者に配られ、アリーナが“サンダースレッド”に染まりました。
そして、いよいよ試合開始。TIP OFF!
まずは川崎が試合を引っ張ります。点取り屋の#22ファジーカスがやはり好調を見せ、シュートがヒョイヒョイ入ります。一方、栃木は川崎の好ディフェンスに阻まれ、なかなか得点が決められないまま、第1Qは20-12とリードを広げて終了。
第2Qも#00ジョシュ・デービスを始めとした川崎のディフェンスは好調。第3Qでは栃木が反撃を始め、67-62と点差は縮まったものの、このまま川崎の勝利かという空気でした。
しかし、第4Qでは流れが逆転。栃木のボールが#0田臥を中心に、みるみる回るようになります。ついに、残り1分を切った55.9秒で田臥のシュートが決まり、83-83の同点に……!
うっわーー!嘘でしょ!? 取材を忘れ、会場の熱気に身をゆだねる筆者…。
このままで終われない川崎の反撃。残り4.3秒で#00デービスのシュートが決まり、85-83に。川崎ファンの安堵にも似た歓声があがります。
ほっとしたのも束の間、なんと残り1.1秒で、栃木の#32ロシターの3ポイントシュートが入った! 数としては少ないはずの栃木ファンの大歓声に包まれるアリーナ。
そのまま試合終了となり、最大17点差でリードしていた川崎が、85-86の逆転負けを喫してしまいました。
試合後の会見で川崎の主将・篠山選手は「第3Qで引き離すべきだったが、第4Qで追いつかれてしまった。栃木に勝利をプレゼントしてしまったようなもの」と悔しさをにじませました。
一方、この日が初陣の栃木・安齋HCは「内容はダメな試合。ディフェンスからの粘り強さは川崎さんが勝っていた」と厳しく振り返りました。
結果的に、この試合では栃木の選手たち、ファンの応援ともに諦めない心が勝利しました。スラムダンクでは、残り時間わずかで勝敗が決まると、目頭が熱くなりつつも『マンガだから……』なんて思うこともありましたが、普段のリーグ戦でも、こんなに劇的な瞬間に立ち会うことができるんですね。
川崎に、Bリーグに……今後も大注目!
筆者は川崎のベンチ近くで観戦したところ、チームワークの良さを感じることができました。試合前の選手のワチャワチャぶりには、乙女心がキュン……。試合中はコート上の仲間が良いプレイをしたりシュートを決めると、ベンチの選手が立ち上がったり、こぶしを挙げたり、チームを奮起させていました。そんなところも、川崎の見どころに挙げたいです。
今回、アリーナにいたのは3千人にも満たない人数。だからこそ一体感に包まれ、特別な空間のように感じました。Bリーグは何と言っても観戦エリアがコートに近く、1階はもちろん、2階でも充分楽しめます。
試合前やクォーター間にはチアのパフォーマンスや、ファン参加型のイベントも盛りだくさん。試合を盛り上げるファンやチーム関係者の熱い想いが感じられました。
Bリーグのシーズンは来年5月ごろまで続くので、まだまだこれから。ぜひ一度、アリーナの熱気を生で感じてみてください。