オールスター×厚底、そして軽い。定番なのに新鮮で、コーデのスパイスに。『SURGETRAINER』の物語【コンバース担当者がスニーカーを語る】
仕事で日々スニーカーに向き合い、肥えた視点をもつメーカー担当は、あのモデルをどう見ているのか。今回ピックアップするのは、『コンバース(CONVERSE)』のSURGETRAINER<サージトレーナー>。若い世代を中心にブームが巻き起こっている厚底ソールとオールスターのオーソドックスさを掛け合わせた、普遍性とトレンド感を両立したモデルです。
オールスターらしさはそのままに、新鮮なエッセンスが詰め込まれた一足。モデルを立ち上げた経緯やその魅力について、コンバースジャパン株式会社PRの山口さんが語ってくれました。
オールスターのオーソドックスな魅力にトレンドの厚底ソールを融合
――サージトレーナーは復刻版などではなく、全く新しく生み出されたモデルですよね?
そうなんです。『サージトレーナー』は、今年の9月にデビューしたモデル。今回ご紹介するのは11月から展開する新色で、キャンバス素材を採用したエクリュとブラック/ブラック、ヌバック素材を採用したブラックモノクロームとなります。
9月にデビューしたモデルは、同じホワイト&ブラックでもスタンダードなオールスターのデザインを彷彿とさせる象徴的なデザインに仕上がっています。プラスして90年代を意識したビビットなライトターコイズを発売しました。発売から2ヵ月ほど経ちましたが、おかげさまで反響をいただいています。
9月には同時に、ABCマート限定色のブラウンも発売。ブラウンに淡いピンクのステッチがポイント。女性はもちろん、男性でもおしゃれに履いていただけると思います。
――厚底にすることで、時代の流行りも取り入れているんですね。
100年以上の歴史をもつ「オールスター」らしいクラシックなシルエットを大切にしつつ、ファッションの流れの中で浮上してきている「厚底ソール」を掛け合わせたモデルが好評です。
2年前に登場したTREKWAVE<トレックウエーブ>も、その一つ。これまでもバリエーション豊かな厚底ソールのモデルを展開しており、今回新しいデザインの『サージトレーナー』を登場させるにいたりました。
――厚底でも履きにくくないように、工夫したポイントは?
「REACT2.0(リアクトニーテンゼロ)」というコンバースオリジナルのクッション性の高いカップインソールを使っていて、履きやすさも考慮。また、ボリュームを持たせながらもアッパーにラバーの仮底をつけない設計にすることで軽量化を図りました(※1)。実際に履いていただき、体感してみてください!
※1
『サージトレーナー HI』の重さは、24㎝=片足約470g /27㎝=片足約580g。(編集部調べ)
『サージトレーナー HI』のヒールの高さは、24㎝=約6.5cm、27㎝=約7cm (編集部調べ)
――『サージトレーナー』を企画するにあたり苦労した点は?
オールスターは、基本的に全て手作業で製作しています。スタンダードなモデルでは、基本的にソールラインは床と平行になるように作られているのですが、トレーニングシューズをベースにしている『サージトレーナー』ではトレーニングシューズの雰囲気を表現するため、ソールラインが少しつま先に向かって傾斜しているんです。ソールラインに角度をつける絶妙な調整が、結構難しかったですね。
マニアックですけどね(笑)。もしかしたら男性の方とか、こういったポイントを追っていただくのが好きな方も、多いのかもしれません。さらにオールスターらしいつま先の「トウガード」やソールの「フォクシングテープ」はあえて使用せず、ミニマルな雰囲気に仕上げています。
――なるほど、トレーニングシューズがベンチマークなんですね。
もとは、オールスターはバスケットボールシューズが起源です。その後、バドミントン、ランニング、野球など、さまざまなスポーツシューズとしてのモデルが誕生しています。今回の『サージトレーナー』は、トレーニングシューズをベースにしました。特徴でもある流線的な厚底ソールはさまざまなモデルのパターンをかけあわせたデザインとなっています。
タウンに、オフィスに、スポーツに。いろんな顔をもつという魅力
――どういったシーンで履くのを想像して作られましたか。
合わせるスタイリングによって、カジュアルにもモードにも振れるので、さまざまなシーンでぜひ。スポーティミックスみたいな感じもいいですよね。ハイカットは、ブーツのような感覚で履いていただけると思います。『トレックウエーブ』とは、またちょっと違ったファッションテイストで、楽しんでみてください。
――今度出るカラーはエクリュ&ブラックと、使えそうな予感。
秋冬に出るものなので、モノトーンを意識しました。エクリュは、よく見るといろんなトーンのホワイトのかけあわせで、ホワイト一色でいながらも複数色で構成されているという、絶妙な色加減です。だからこそ、いろいろなスタイリングになじみやすいと思います。ブラックは、ステッチやシューレースに、ホワイトを差しているのがポイントです。
――『サージトレーナー』の一番の特徴はやっぱり厚底?
厚底が特徴的ですが、じつはコンバースでは、さまざまな厚底モデルを発売しているんです。なので、それぞれの違う個性を楽しんでいただきたいです。実際に履いてみると、その雰囲気の違いを実感していただきたいです。
とくに『サージトレーナー』は、コンバースのアイコン的存在であるALL STAR<オールスター>のデザインだからこそ、ソールで少しボリューム感を出したり、アレンジ要素を加えても、オーソドックスからかけ離れすぎない。これまでの歴史があってこその魅力があります。
――山口さんが感じる『サージトレーナー』の魅力は?
男性の方にも厚底を履いていただきやすいようなデザインになっているので、ぜひ、気軽に履いていただけたらと思います。横から見るとボリューミーですが、上から見ると、つま先がシュッとしているんですよね。くびれがあるフォルムも手伝って、カジュアル感がありつつも、モードにもぴったりハマると思います。
合わせるなら、スーツやジャケットスタイルのときのスラックスとかもいい感じ。女性なら、今っぽい韓国テイストのスタイルにもハマるんじゃないでしょうか。幅広い人に愛されるモデルになれば、と思います。
何十年後かには、ヴィンテージに。長く愛されるのも楽しみ
――コンバースはヴィンテージなどで長く愛されるものも多いという印象があります。また、過去モデルのアーカイブなども多く出ていると思いますが、山口さんが感じることは?
ブームが一周しているんですよね。『サージトレーナー』に関しても、90年代のトレンドを意識して作っていますね。だからこそ懐かしさを感じていただける方もいらっしゃると思いますし、逆にちょっと新しく感じていただける方もいらっしゃるのではないでしょうか。世代問わず、いろんな方に刺さるデザインだと思います。
――何十年後には、ヴィンテージとして愛されそうですね!
本当にそう思います。そこが、よさ。加水分解しない製法で作られているので、長い間大切に履いていただけるモデルになっていると思います。何十年後かに、『サージトレーナー』がヴィンテージとして出回るのも、今から楽しみですね。