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華やかなスコアラーから、泥臭い職人へ。一周回って辿り着いた等身大「VANSオーセンティック」【『僕をつくった、あの1足。』】

2026.01.19

Bリーガーの「原点」となった1足にフォーカスする連載企画。今回登場するのは、群馬、神奈川、愛知を経て、2025-26シーズンから大阪エヴェッサの一員となった坂本聖芽選手。1999年生まれ、群馬県出身。中部大学第一高等学校から東海大学へ進み、インカレ準優勝などを経験。2021年より特別指定選手として名古屋ダイヤモンドドルフィンズに加入し、プロキャリアをスタート。持ち前のスピードと強度の高いディフェンスを武器に活躍し、2025-26シーズンより大阪エヴェッサへ移籍。新天地での更なる飛躍が期待される、26歳の司令塔。

今、彼に求められているのは、相手の司令塔に強烈なプレッシャーをかけ、自由を奪う「トーンセット(基準を作る)」の役割だ。かつては華やかな点取り屋だった男が、なぜ今、泥臭いディフェンスに生きる場所を見出したのか。そして、そんな彼が「一周回って選んだ」という足元の相棒について話を聞いた。

華やかなスコアラーから、泥臭い職人へ。一周回って辿り着いた等身大「VANSオーセンティック」【『僕をつくった、あの1足。』】

「生き残る」ために捨てたプレースタイル

高校時代(中部第一)、坂本選手はチームのエースとしてインターハイやウインターカップで活躍するバリバリのスコアラーだった。「1試合20〜30点は当たり前」というオフェンシブなスタイル。しかし、名門・東海大学への進学が転機となる。

「周りを見渡せば、先輩も同期も後輩も、自分より上手い選手ばかり。点取り屋としての『ナンバーワン』にはなれないと悟りました。じゃあ、自分が試合に出るために必要なピースは何だ?と考えた時に、残っていたのがディフェンスだったんです」

華やかなスコアラーから、泥臭い職人へ。一周回って辿り着いた等身大「VANSオーセンティック」【『僕をつくった、あの1足。』】

それは、自分の強みを冷静に分析し、生き残るためにスタイルを変貌させるという、リアリストとしての決断だった。「得点への執着」を捨て、ひたすら守備と走力に磨きをかけた4年間。その泥臭いプロセスがなければ、今のBリーガー・坂本聖芽は存在していなかったと彼は振り返る。

一周回っていま「VANS」がいい

そんな坂本選手が、今回紹介してくれる一足は『VANS(ヴァンズ)』オーセンティック<AUTHENTIC>。スニーカーシーンのド定番であり、VANSの歴史そのものでもある一足だ。

「昔はジョーダンシリーズをコレクションしていました。AJ1、3、4、5……レアなスニーカーを履くことがステータスだった時期もありました。でも、ここ最近は一周回って『こういうのでいい、いや、こういうのがいい』って思うようになったんです」

華やかなスコアラーから、泥臭い職人へ。一周回って辿り着いた等身大「VANSオーセンティック」【『僕をつくった、あの1足。』】

紐とソールだけの潔いデザイン。新品のパリッとした状態もいいが、履き潰して汚れてきても、それが「味」として成立するタフさ。

「最近、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler,TheCreator)のスタイルが好きでよく見ているんですが、彼もVANSを色鮮やかに履きこなしている。気合いを入れたお出かけにも、練習へ向かうラフなスタイルにも、オーセンティックなら不思議とハマるんです」

かつて自分を大きく見せるための「鎧」だったスニーカーは、今、自分らしくあるための「相棒」へと変わった。チノパンやバギーデニムに合わせ、肩肘張らずに履く。その等身大のスタイルが、今の坂本選手にはよく似合う。

華やかなスコアラーから、泥臭い職人へ。一周回って辿り着いた等身大「VANSオーセンティック」【『僕をつくった、あの1足。』】

成長に必要な「忍耐」「ディスプリン」

試合で負けた日や、うまくいかなかった日の帰り道、車の中で彼が流す曲がある。ラッパー・DAICHIYAMAMOTOの『なんとかなるさ』だ。

「歌詞の中に『成長には忍耐とディスプリン(規律)』というフレーズが出てくるんです。それがすごく自分に刺さって。大学時代の最初の2年間、全く試合に出られなかった時期を思い出させてくれるんですよね」

腐りそうになる心を奮い立たせ、空いた時間のすべてをバスケに費やした学生時代。華やかな結果の裏には、人知れず積み重ねた「忍耐」の時間があった。

「なんでもすぐに手に入る時代だからこそ、耐え抜いた経験や、ひとつのことをやり抜く姿勢が希少価値になる。この曲を聴くと、初心に帰れるというか、ポジティブな気持ちにリセットできるんです」

いい靴は、いい場所へ連れて行ってくれる

最後に、これから未来を切り開く10代へ、そしてかつての自分へメッセージをお願いした。

「奥さんに言われた言葉なんですけど、『いい靴を履けば、その靴が夢や描いた場所に導いてくれる』っていう話がすごく好きで。これは高い靴を買えっていう意味じゃなくて、自分が愛着を持てる靴、こだわりを持った靴を大切に履くということ。足元を大事にすることは、自分の未来を大事にすることに繋がると信じています」

華やかなスコアラーから、泥臭い職人へ。一周回って辿り着いた等身大「VANSオーセンティック」【『僕をつくった、あの1足。』】

スコアラーからディフェンダーへ。レアスニーカーからオーセンティックへ。変化を恐れず、しかし芯の部分にある「忍耐と規律」は曲げない。シンプルで飾らない黒いVANSは、そんな坂本聖芽という男の「現在地」を静かに物語っていた。

VANS

オーセンティック *SUEDE BLK/TRU

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