千葉ジェッツ:西村文男選手、“ファッションアイコン賞受賞”を語る<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.5>
2年目のBリーグで準優勝を飾った千葉ジェッツ。1年目に続き、2年目の2017-2018シーズンも平均入場者数ランキングで全チーム中NO.1という人気のチームです。今回の『Bリーグ×ファッションの密な関係』は、千葉ジェッツのポイントガード西村文男選手が登場。コート上の西村選手は、その周りだけ温度が低いようにも感じるとても冷静なゲームメイクをする選手。どんな試合展開でも、そのクレバーなプレーで勝利に導いてくれそうな信頼感があり、ぐっとファンの心を掴んでいます。
本人は、「バスケットボールの話より、ファッションの話のほうがテンションが上がる」というほどの服好き。2017-2018シーズンで最もオシャレなBリーガーにおくられる『ファッションアイコン賞』受賞の西村選手に話を聞きました。
ユルいシルエットでも、“ストリート感”を出さないようにする
——今日の靴はクリスチャン・ディオールです。ディオールを選んだ理由は?
「ディオールの靴は細めのシルエットが好きで、スニーカーを何足か持っています。今日はレザーで、ちょっとローファーっぽい雰囲気があるスニーカーを選びました。バスケットボール選手だからスポーティーなスニーカーを選ぶ選手が多いと思うので、他の選手と差をつけたくて」
——“他の選手が選ばない靴”がポイントですね。服はどこのものですか?
「服も、“バスケ選手が着ない服”がテーマです。TシャツはKAZUYUKI KUMAGAIのラウンドモチーフ、パンツはVICTIM、アウターはトラサルディです。僕は無地の服が好きなので、着たときのシルエットや服のかたちで他の人と差を付けたいんです。Tシャツのラウンドの裾を外に出して、パンツのベルトを下に垂らして、オーバーサイズ感を楽しんでいます。アウターも1~2サイズ大きめにして、あえて上下ともボリュームのあるシルエットにしました」
——確かに、これまではスポーツ選手の引き締まった体を生かした、細身のパンツを履く選手が多かったです。
「僕も普段はスキニーパンツを履くことが多いのですが、他の選手のコーディネートは、トップスにボリュームを出してスキニーを履くことが多いと思って、“ちょっと変わっているぞ”と思われるコーディネートにしました」
——バスケ選手は体が大きいから、上下ともボリュームを出すと“ストリート感”が出てしまうのが嫌だという選手もいました。
「そうなんです。バスケ選手の体型で、今回の僕のような格好をするとストリート感が出るんです。それを嫌って、きれいめのパンツに、トップスをシンプルにまとめる選手が多いと思います。僕も体の太さや肩幅の広さにはコンプレックスがあるので、服のかたちにこだわります。きちんとしたコーディネートをするときは、肩幅の広さをカバーするために時間をかけてジャストサイズのシャツを選ぶようにしています」
キレイなコーディネートで、バスケのモチベーションを上げる
——ここまで聞いただけでも、西村選手は本当に服が好きなんだなと感じます。Bリーガーでもっともオシャレな選手に贈られる『ファッションアイコン賞』を受賞したとき、どんな気持ちでしたか?
「正直に言うと、『そうだよね』と思いました(笑)。イベントで自分がデザインしたTシャツを売ったり、友だちの展示会に行ったら全身コーディネートをSNSに投稿していたので、オシャレかどうかは別として、服好きということはバスケファンには知ってもらっていたのかなと。この賞がある限りは、選ばれ続けたいですね」
——そのうち殿堂入りしそうです(笑)。Bリーガーは練習に来るときはジャージが多いようですが、西村選手はどんな服装で練習入りするのですか?
「僕は私服にランク付けをしていて、バスケをしに行くときのランクが一番低いの(笑)。でも、どんなときでもジャージやスウェットで外に出るのは嫌で、ZARA・H&Mなどのファストファッションか、ハイブランドで数年前のコレクションのアイテムを着て練習に行きます」
——まさかの、バスケをしに行くときの服が最低ランク(笑)! では、一番テンションを上げてコーディネートするのは、どんなときですか?
「買い物に行くときと、男ばかりで集まるときは気合いを入れますね。たとえば買い物に行くとき、ハイブランドのアイテムを入れておくと『この人は買うんじゃないか?』って店員の態度が変わるでしょう? あの感じが好きで、ちょっと癖のあるコーディネートをします」
——西村選手は、すごい量の服と靴を持っていそうです。好きな靴のブランドはなんですか?
「ディオール以外だとイタリアのジュゼッペ・ザノッティ、最近買ったのは、COACHとD SQUARED2です。雨の日に活躍してくれているDannerは、ABCマートで買いましたよ。持っている服の数は、Bリーガーの中ではダントツだと思います。靴は30~40足くらいですね」
プライベートではバッシュを履かない! 肌見せ防止!? で黒タイツを履く
——西村選手が試合で履いているのは、『アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)』のニホンです。これを選んでいる理由は?
「私服と違って、バスケに関するものの判断基準は機能性だけです。ニホンは、今のところ一番履き心地がよくて、自分に合っているシューズです。同じシューズだけど練習用と試合用で変えていて、練習用はだいたい2~3か月で変えます」
——西村選手は、ユニフォームからすらっと伸びる長い足に、黒タイツを履いた姿がとってもセクシーです! ユニフォームの着こなしで気をつけていることはありますか?
「バスケをするときは、格好は全く気にしません。冬は、試合が始まる前は選手でも寒いんですよ。僕は寒がりだから、ロングタイツを履いています。あと、ユニフォームはノースリーブにハーフパンツで、露出が多いでしょう? あんまり肌を見せたくないから、タイツで隠しているの(笑)」
——まさか、タイツが肌見せ防止対策とは(笑)。西村選手は、プライベートではバッシュを履きますか?
「履かないです。プライベートはバスケと境界線を引きたいので、ファッションでもバスケ要素を入れたくないです。僕は着飾るのが一つのストレス発散になっているので、オフのときにバッシュを履くと発散にならない。もともと、たとえば『ナイキ(NIKE)』のエアフォースワン<AIR FORCE 1>とか『アディダス(adidas)』のスタンスミス<STAN SMITH>とか、定番といわれるスニーカーは履かないです」
——バッシュのボリュームを生かした上手なコーディネートをする女性が増えていますが、プロバスケ選手として、バッシュを履いた女性をどう思いますか?
「僕は、プライベートではバスケ要素を無くしたいので(笑)、スカート&ヒール派です。ただ、服にこだわりがあったり、安全なほうに置きにいかずに攻めている服装をしている女性がいると、サイン会でも『服がすてきですね』って話しかけますね」
プロバスケットボール選手とは思えないくらい、豊富な知識でファッションの話題が出てくる西村選手。今回は晩夏のコーディネートでしたが、春夏秋冬4シーズンの服装を見てみたくなるくらい、本当にオシャレ選手でした!
昨シーズンは惜しくもチャンピオン決定戦に敗れて2位になった千葉ジェッツ。「最後のチャンピオン決定戦以外は良い成績を出し続けられたので、3年目のBリーグで取るのはチャンピオンだけ。僕はもうベテランなので、期待されているプレッシャーを感じて、それを力に変えていくバスケをしていきます」と西村選手。
バスケットボールを見たことがない人でも、西村選手のクレバーなプレーを見れば、“この人は本当にバスケが上手いのだなあ……”と感じるシーンに出会うはず。2018年10月に開幕する3年目のBリーグに、一度足を運んでみてはいかが。
INTERVIEW / TEXT:石川歩
PHOTO:野呂美帆