持ってるスニーカーは60足以上!? 三遠・長谷川智伸選手「スニーカーはインテリア」<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.13>
SupremeのアウターにDIESELのデニム、黒スエードのエアフォースワン<AIR FORCE 1>と迷彩キャップの人を街で見かけたら……? ストリートファッション好きなら思わず振り向きそう! こんな“お手本コーディネート”で取材に来てくれたのは、三遠ネオフェニックスの長谷川智伸選手(28歳)。
今回は、福岡大学付属大濠高校から拓殖大学に進学し、卒業後に三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)に所属。2018年から三遠ネオフェニックス(愛知県豊橋市)でプレーしている長谷川智伸選手に話を聞きました。
Bリーガーは“薄い靴”が苦手!?
——今日は、『ナイキ(NIKE)』エアフォースワンの黒スエードです。これを選んだ理由は?
「僕はカジュアルな服装が多いので、このコーディネートに合うと思って。エアフォースは動きやすくて足が楽なので、練習や試合の後で足がしんどいときはいつもエアフォースです。少しカッコつけたいときは、ナイキでもジョーダン系を履きます」
——長谷川選手は鍛え上げたきれいな体格なので、ゴツいブーツも似合いそうです。
「『レッド ウイング(RED WING)』や『ティンバーランド(Timberland)』のブーツも履きますよ。逆に、『ニューバランス(NEW BALANCE)』や『リーボック(Reebok)』、『コンバース(CONVERSE)』とかは良いなと思うけれど、僕は“履かず嫌い”なんです。スニーカーが好きなので、何を履くか決めるところからコーディネートを考えるのですが、どうしてもニューバランスやコンバースとかを履いている自分を想像できない。ちょっと、“靴が薄い”感じがするんです」
——“靴が薄い”という言葉を、人生で初めて聞きました(笑)。どういうことですか?
「たとえば、手足が細長くてスキニーを履きこなす人がニューバランスやコンバースを履くのはわかる。でも、こんな筋肉もりもりの体型で、スキニーも履けないくらいに足の筋肉のある僕が、足元だけスリムなコーディネートをすると、『ちょっとちょっと!』って自分でツッコミを入れちゃうの(笑)。それよりは、エアフォースワンとかジョーダンみたいに、派手さもボリュームもあるスニーカーのほうが合わせやすい」
——生地もソールも厚くて、佇まいに存在感のあるスニーカーが好きなのですね。
「そうみたいです。なぜなのか分析してみると、僕たちは普段バッシュばかり履いているでしょう? バッシュはソールのクッション性が良いから履き慣れると、地面と足の接着面が短いソールの薄いスニーカーは居心地が悪く感じるのだと思う。僕は、サンダルもエアー入りのものを選んで履いています」
長谷川智伸選手「スニーカーはインテリアの一種です!」
——ここまで聞いて、長谷川選手はたくさんのスニーカーを持っている気がしています。スニーカーは何足お持ちですか?
「めちゃくちゃ持ってます。スニーカーにすごくハマった時期があって、1ヶ月に6足くらい買っていました。そのときは“鑑賞用”にも買って、インテリアの一部としてスニーカーを飾っていました(笑)。正確な数は分からないけれど、60足以上はあると思います」
——“これは自慢できる”というスニーカーはありますか?
「Supremeとナイキのコラボスニーカーかな。Supremeはいろんなブランドとコラボスニーカーを出すでしょう? そのたびに欲しくなる。僕は、欲しいと思ったスニーカーは徹夜で並んでもゲットしたい人なのですが、ずっと練習をしているので並べないの(笑)」
——今日は、アウターがSupreme、トップスがユニクロ、デニムがDIESELです。全部がブランドではなく、ユニクロで少しオフにしている感じがすてきです。
「Supremeはブランドの存在そのものがかっこよくて好きです。僕は体が大きいから、アメリカのブランドはサイズの規格が大きくて着やすい。今日はアウターとキャップ、時計を迷彩にしました。ユニクロも好きで、今日はヒートテックの極暖です。生地が分厚いから、インナーではなくてロングTシャツの感覚で着ています」
——時計はどこのブランドですか?
「タイメックスです。ゴツい時計が好きでG-SHOCKも好きですが、これはタイメックスでも珍しいスクエアのかたちが気に入って買いました」
大人になってからの“真っ向勝負”は楽しい
——今日の試合では、『アシックス(asics)』のゲルバースト<GELBURST>を履いていました。ゲルバーストを選んでいる理由は?
「バッシュは性能の良さが一番大切なので、絶対にアシックスです。日本人の足に合わせて作ってあるし、壊れにくい。仕事としてバスケをはじめてから6年間、ずっとアシックスのゲルバーストかネイキッド<NAKED>を履いています。バスケ選手は足元の見た目も大切だと思うけれど、バッシュに関しては、まずは性能ありきで選びます。アウェーユニフォームは白なので白いバッシュにして、ホームユニフォームは赤なので、オレンジか黒のバッシュを履いています」
——B1リーグは18チームあって、チームごとにプレースタイルが違います。観るほうは各チームのスタイルがどうぶつかり合うのかを見るのがおもしろいのですが、選手からすると、対戦してイヤだと感じるチームはあるのですか?
「もちろん強いチームはイヤですよ(笑)。千葉ジェッツやアルバルク東京はやりづらいですね(※)。ずっと結果を残しているチームで、タレント性の高い選手が多くてチーム力がある。それはイコール強さであって、僕自身も“強いチームだ”と植えつけられたイメージがあるから、対戦するときに余計な力が入ってしまう」
——そんなチームと戦うときは、どんな心持ちでいるのですか?
「そこに立ち向かっていくのが楽しいんですよ! たとえば中学校や高校の部活では、“○○中学か……強いチームだな”と尻込みすることもあったけれど、この年齢になってから強い相手に真っ向勝負で立ち向かっていくなんて、めったに無いでしょう? そこで勝ったら本当にすごい爽快感が味わえるし、強い相手ほど試合のしがいがあるんです」
Bリーガーは、安泰ではないけれど
——長谷川選手は、Bリーグになる前は実業団チームに所属していました。三菱電機で会社員をしながら、バスケをしていたのですよね?
「三菱電機では営業職でした。午前中に仕事、午後はバスケという生活をしていて、チームには当時からプロ選手もいたので、チームが午前中にウェイトと基礎練習をやる場合は、僕は午後から練習に合流して、その後に残ってウェイトと基礎練習をして、仕事が残っていたらそこから残業に戻る毎日でした。練習が無い日は出張も入って、過酷な日々でした。Bリーグになったとき、会社員になるという手段もありましたが、ここまでバスケをしてきて途中でやめるという選択肢は僕にはなかった。もっとバスケでがんばりたいと思ったし、新しいリーグで“やってやろう”という気持ちが強かった」
——それでも、収入面の不安はありませんでしたか?
「もちろん、ありました。大企業なので福利厚生も良いし、そのまま会社員でいれば安泰だったのかもしれない。ただ、そんな選択をして人生が安泰のまま終わっても面白くないでしょう? やりたいことを選んで、もし潰れたら、そのときまた考えようと思っていました」
長谷川選手の服が好きな様子が伝わってくる取材でした。バスケ選手ならではの胸板の厚さと、鍛え上げた二の腕にまとったユニクロは、“これは、本当にみんなが着ている極暖と同じもの?”と思うほど、この日のコーディネートにフィットしていました。
現在、中地区で5位の三遠ネオフェニックスですが、順位ほど上位チームと差が開いていない状況です。シーズンも後半戦に入りましたが、まだまだプレーオフに進出するチームは分からず、今から応援をはじめても十分に楽しめます。ぜひ一度、近くの試合会場に足を運んでみてください。私服姿を見てみたくなるようなカッコいいBリーガーが見つかるはずです!
※千葉ジェッツは天皇杯3連覇中、2月時点で東地区1位。アルバルク東京は昨シーズンのチャンピオンチーム。両チームとも複数の日本代表選手を擁する強豪