冬〜春につかえるレザーシューズをオン&オフコーデ!ビジネスシーンでも着回せるポイントをプロのスタイリストが伝授
ビジネスカジュアルで欠かせないレザーシューズ。ビジネスシーンでカッコよく履きこなしたいのは当然として、オフでも兼用できれば嬉しいですよね。そこでキレイめカジュアルに定評のあるスタイリスト栃木雅広さんに3タイプのレザーシューズでそれぞれオン・オフ、トータル6つの着回しコーデを提案してもらいました。1足のシューズで楽しめるシチュエーションを広げるには? ポイントを押さえていきましょう。
栃木雅広
2002年、スタイリスト森本美沙子氏より独立。日本や海外のファッション誌を中心にモノ誌、ゴルフ誌などの数多くの出版社と仕事をする。また広告、映画、タレントなど雑誌以外にも幅広いフィールドで活躍中。
スタイリング①:オン、オフどちらでも黒のスエードシューズは万能選手
一つめのオンのコーデはビジネスカジュアルで取り入れやすいジャケット&パンツスタイル。
「オーソドックスなスタイルですが、今季トレンドのブラックの要素をウールのパンツに取り入れてみました。こういうコーデではグレーやネイビーにしがちなのですが、ブラックにすることで今年らしさをプラスしています。ジャケットはチェック柄ですが遠目には無地に近いので悪目立ちすることなく、オシャレな感じになるかと。そして普通のブルーシャツではなくシャンブレーの深みのあるブルーを合わせることで、今っぽいブラックに合うと思います」
一方オフのコーデも何気なくモックネックのインナーを合わせてトレンド感を出しているそう。
「今までだとシャツを合わせていたところがこれでカジュアルをバージョンアップできる感じですね。モックネックがハードルが高いと感じる人はもちろんシャツでもいいのですが、セーター1枚だと寂しいので、今年は何にしてもレイヤード感がある方がいいと思います。このセーターはシンプルなクルーネックですが、何種類かの糸で編まれているのでブルーでも深みがありますね。ミドルゲージかローゲージがオフにはいいでしょう。ハイゲージだと上品すぎるので。パンツの素材はチノっぽいんですが、シルエットはジョガーっぽいスポーティなものにしているのがポイントです」
ブラックのスエードシューズは合わせる色に悩むことがなく、そして冬の起毛感のある洋服にぴったりと栃木さん。冬の万能シューズと言えそうです。
スタイリング②:トラッドを意識したブラウンのローファー・コーデ
オンもオフもシューズがローファーなのでトラッドを意識したという2つのコーデ。
「オンの方はネイビーのジャケットにグレーのパンツでいわゆる“ジャケパン”なのですが、パンツのシルエットが腿のわたりに広くタックが入っていて、裾にむけてテーパードしているシルエットが今年らしいところです。パンツのシルエットでバージョンアップしています」
シューズに合わせたブラウンのカーディガンがとても効いているコーデにもなっています。また、ローファーがブラックだと制服っぽさが出てしまうところをブラウンで外しているところも◎。
オフは今回のコーデの中でも最もカジュアルな印象です。
「BDシャツのグレーのスエットを合わせた各々のアイテムはオーソドックスなコーデですが、これはシャツとスウェットの丈のバランスが命ですね。アイテムはみんなが持っているものなので、そのバランスで差がつくよ、と。ボトムはワンウォッシュぐらいのジーンズでシルエットはスリム・ストレート。これにスニーカーだと普通ですけど、ローファーだから新鮮なのかなと思います」
白シャツもグレーのスウェットもジーンズも誰もが一つは持っていそうなアイテムですが、例えばスウェットはヘヴィウエイトすぎない素材、ジーンズは冬なのであまり薄いブルーにしないなど、オーソドックスだからこそ、生地や色味に注意することが肝心。
スタイリング③:春先まで対応できる軽めのスーツやカーディガンジャケット
春先まで対応できるオンのスタイルはオーソドックスなスーツスタイル。
「ほぼ無地に見えるマイクロチェック柄なので、白シャツではなくストライプシャツを合わせました。このスーツはウールなんですが、起毛感はなく、夏以外の3シーズン着られると思います。ストレッチや形状記憶素材でもありシワになりにくいので、ビジネスに適していそうですね」
冬は風を通さないコートを羽織れば着用でき、暖かくなってくればクリーンなトーンのスーツで季節感を先取りできそう。
オフのスタイルはキレイめなレストランなどお出かけのイメージで組まれたそう。
「こちらもテーラードジャケットなのですが、カジュアルな素材で裏地や肩パッドがないので、カーディガンジャケットみたいな感じですね。これがカーディガンだと襟元がちょっと締まらないのであくまでのジャケットなのがいいと思います。インナーはカットソーなのですが、ちょっと肉厚な素材にしています。あまりツルッとした素材や襟のあきが広いとギラギラした印象になってしまうので生地はマットに、首のリブの部分も厚めのものがいいですね」
ちょうどいいカットソーがない場合、春先なら白っぽいコットンニットのクルーネックかタートルネックがオススメ。オフ感を出しながら、キレイめにまとめるのがコツと言えそうです。
また、パンツは表革のプレーントゥとのバランスを考えて、デニム素材のスラックスを合わせているのがポイント。ただ、オシャレ上級者的なアイテムなので、ネイビーのチノパンでもOK。ただし、シューズに合わせて濃いめの色、ブラックやネイビーがベストマッチです。
栃木さんにインタビュー!レザーシューズをオフで履くポイントはソックス
──オン、オフともに冬ならではのコーデが決まる秘訣はありますか?
洋服の素材が冬ならではの起毛感のあるものに変わってくるんですが、そこでも全て無地にするより何気なくジャケットかパンツがうっすらチェックだったりするとオシャレだと思います。あとは今年のトレンドであるブラックを投入する場合、シルエットまでトレンドのものだとトゥーマッチなので、例えばパンツもこれまでよりは少し太いシルエットが出てきていますが、せめてタックが入っていて裾にかけてはテーパードしているものを選ぶとビジネスシーンでも浮くことはないでしょう。どの季節でも大前提としてビジネスシーンでは相手にどんな印象を持たれるかを考えた方がいいでしょうね。もちろん内勤で気心の知れている人だけに会うなら、カジュアルなコーデでも問題はないと思います。
──今回、3足の異なるシューズをオン、オフで着回すコーデを作っていただきましたが、レザーシューズをオフで履く時のNG事項はありますか?
まずオン、オフ兼用しやすいシューズと難しいシューズがあるので、シューズ自体を見た方がいいと思います。その中で、表革のプレーントゥはきっちりしたコーデには何でも合うので履きやすいんですが、カジュアルに合わせる時はビジネス用のホーズではなく肉厚なソックスに替えることですね。そうでないとちぐはぐな印象になってしまいます。色を投入して遊びを出すのもいいんですが、ちょっと恥ずかしいという人はグレーやネイビーなど、シューズの色に寄ったカジュアルなソックスを合わせるのがいいですね。
あとはかっちりしたレザーシューズでのカジュアルコーデはキレイめのレストランや、春のご家族でのオケージョンの場面にいいと思います。合わせるファッションはカジュアルすぎるものは避けた方がいいですね。
──逆に兼用してもOKなシューズというと?
冬という季節柄、スエード素材はオンでもオフでも考えすぎずに合わせやすいと思います。ブラックだと適度にシャープさもプラスされるので合わせやすいですね。ローファーもブラウンだと洋服がオーソドックスでも制服っぽさが抑えられるので、割と何にでも合わせやすいですね。これまでオフのスタイルにスニーカーを合わせていたところにレザーシューズを合わせるだけで印象も変わりますし、カジュアルなんだけど足元がちゃんとしていればきちんとした場所にも行けるのかなと。
──冬のスーツやジャケパンを春先まで長く着こなせるTIPSはありますか?
逆に冬に関しては例えば中にニットやカーディガン、薄手のインナーダウンを着て温度を調整する方がいいと思いますね。シャツ自体はスーツやジャケパンに合うものを選んでおけば、それ自体を替える必要はないと思います。
オン、オフに兼用できるABCマートオススメのレザーシューズ
コーディネートしやすいオールマイティなスエードから、ビジネスシーンやかっちりしたオケージョンまで対応できる表革のプレーントゥまで多彩なラインナップを手頃な価格で揃えるABC-MARTのレザーシューズ。
今回使用した『ホーキンス(HAWKINS)』の「HAYES PLAINS」は柔らかいスエードを使い、長時間の歩行でも疲れにくいカップインソールと軽量でクッション性の高いアウトソールを使用。
ホーキンス<ソフトローファー>はローファーの見た目はそのままにライニングに足当たりのいいメッシュを使用し履き心地を向上。ヒール上部分にはかかと抜け防止のスポンジを搭載。ソールにはクッション性に優れた軽量素材を使用し、さらに接地面を増やした意匠なので履き心地はスニーカーのよう。しかも軽量でウォッシャブル仕様。
『ステファノロッシ(STEFANO ROSSI)』の「プレーン」はヨーロピアンテイストのプレーントゥ。4穴でキレイめの外羽根タイプは足入れも良く、ビジネスカジュアルシーンで重宝する1足。
オフのシーンではスニーカーを履くことが多い人も、冬は足元をレザーシューズに変えて、着こなしをブラッシュアップしてみてはいかがでしょうか。オンでもオフでも使い勝手が良く、機能面でも履きやすいシューズを選んで、これまでの冬〜春シーズンとは違う新鮮な着こなしを楽しめるはず!
text by 石角友香
photo by Toyoshima Nozomu
hair&make by SUGA NAKATA