知っておきたいビジネスカジュアルコーデのルール スタイリスト栃木雅広が伝授するメンズスタイリング術
ワークスタイルが多様化する中、ビジネスカジュアルが認められている会社も多い現在。ただ、その定義は難しく、ルールに合ったオシャレなスタイルが見つからないというビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。そこで今回はメンズスタイリストの栃木雅広さんが、きっちり目からオフにも転用できそうなスタイルまで4パターンをご紹介。ビジネスカジュアルのあるあるお悩みにも答えていただきました。
栃木雅広
2002年、スタイリスト森本美沙子氏より独立。日本や海外のファッション誌を中心にモノ誌、ゴルフ誌などの数多くの出版社と仕事をする。また広告、映画、タレントなど雑誌以外にも幅広いフィールドで活躍中。
高島豪志
爽やかなルックスと9頭身のスタイルでTVCMやファッションモデルとして活動中。最近では役者として、ドラマ、映画などでも幅広く活躍の場を広げている。
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スタイリング①:淡い色目のスーツで上品なカジュアルスタイル
1つ目のコーデは淡いグレーのスーツに表革のシューズという、最もきっちり目のスタイリング。社外の打ち合わせや、気合の入るプレゼンなどでも自信を持って臨めそう。
「スーツではあるのですが、表革のシューズで、しかもライト目のブラウンなので、グレーの中でも淡い色目のウールのスーツを合わせています。4つのコーデの中では一番オーソドックスで、シャツも白なのですが、ネクタイだけはボルドーにして少し華やかさも入れています。シューズとの相性を考えるとボルドーがベストかなと」
きっちりした印象を持たれるスーツですが、スーツとシューズの色味と色合わせが肝心だと言います。
「表革でシルエットもシャープな印象のシューズは、あまり濃いめの色のスーツだとギラギラした感じや夜の仕事のイメージになってしまうので、明るめのグレーのスーツにしています。ただ、シューズ自体は色味に少し遊び心があるので、ジャケット+パンツよりスーツぐらいの方がバランスが良いですね」
難易度が高そうに見える淡いグレーですが、シューズの色味とのバランスで上品かつ適度にカジュアルなスタイルに。それでいてスーツであることでビジネスカジュアルでも堂々とした態度を後押ししてくれそうです。
スタイリング②:王道スタイルにプラスでギンガムチェックのシャツを
「これが一番、みなさん、真似しやすいかなという気がしますね」と、栃木さんが組んだ2つ目のコーデはネイビーのジャケットにグレーのパンツ。
「“ジャケパン”はビジネスカジュアルの中でもオーソドックスなスタイルで、色合わせとしてもブルー系とブラウン系を合わせるのは王道なんですね。ただ、インもオーソドックスにしてしまうと、オフィス感はあるけれどカジュアル感がなくなるので、シャツをギンガムチェックにしたり、ネクタイをシューズのソールの色味に合わせたりして、カジュアルさを出しています。もしノータイにする場合でも、ポケットチーフをさすなど一工夫は欲しいですね」
オーソドックスなスタイルで大事になってくるのはサイズ感。ジャケットもパンツもジャストサイズで、パンツのシルエットはテーパードで細すぎないものがビジネスカジュアルでオシャレに見える秘訣だとか。
ブラックでもスエードで柔らかい素材で、シルエットも素直なシューズをチョイス。
「形は外ばねでステッチも効いていて、ブラウンのソールなので、スタイルとしてはスーツよりジャケパンなど、スタイリングはカジュアル寄りにした方が合いますね。素材感とソールがこのシューズの汎用性の高いところだと思います」
スタイリング③:パンツの丈感で決まるスリッポンコーデ
素足にスリッポン・スタイルは楽ちんだけれど、ビジネスカジュアルとして何を気にすればシックに決まるか、悩む人も多いのでは。
「ポイントはブルー系のワントーンで組んでいること。それもブルーシャツなのですが、スーツに合わせるブルーシャツより色目は濃く、シャンブレーっぽい素材なんです。これだとニットタイとの相性も良いので。パンツは遠目には無地にも見えるようなチェック柄で、落ち着いて見えるけれど、よく見るとデザイン性があるというのがポイントですね。このコーデが一番カジュアルなので、カーディガンを合わせたのですが、ネイビーのカーディガンは出勤時は肩掛けにして、オフィス内が寒かったり夜になれば着たりできるので、ポイントと実用を兼ねています」
もう1つ、ビジネスシーンで必須なのはシャツをパンツにインしてベルトマークすること。
「職業や仕事内容によってはノータイでも良いと思いますが、シャツはインして欲しいですね。シャツを出してしまうと分量のバランスもおかしいし、スタイルもよく見えないので」
そして素足にスリッポンをはく場合にオシャレに決まるパンツの丈感やソックスについては?
「素肌が見えた方が軽やかさが出るので、他のコーデより5ミリほど短くしています。これで丈が長くて裾がクチャっとしてしまうとだらしない印象になるので、丈は気にしたいですね。ソックスも重要で、素肌を見せる季節は靴から出ないようなショートソックスで、寒くなれば濃いめのネイビーかブラックが良いでしょう」
スタイリング④:ベージュのパンツ+茶系ジャケットで秋冬コーデ
最後はこっくりしたダークブラウンのスエードシューズに合わせた秋冬コーデ。
「全体を茶系のカラーで組んでみました。ジャケットは少し肉厚で、パンツは白なんですがベージュにして秋冬っぽさを出しています。これが真っ白のパンツだと春夏っぽくなってしまうので、そこは留意点ですね」
白っぽい色目のパンツは難易度が高く感じられますが、そこにはこんなコツが。
「ジャケットとシューズを同じ色味にして挟むと、そんなに浮いた感じにはならないです。白っぽいパンツをうまく履くにはトップスとシューズの合わせがキモだと思います。あとはサイズ感。他のパンツより全体的にスリムなタイプで、丈もジャストできれいに履くこと。ボリュームがあると悪目立ちしてしまうので。それでも難易度が高いと思う人はチノパンでも良いかもしれないですね」
さらに遊びが効いているのがシャツとネクタイ。
「白ベースにブルーとブラウンの2色が入ったシャツなので、遊び心はありつつ、ブラウンのジャケットに合わせやすいと思います。ネクタイもブラウンですが小紋柄のオーソドックスなものなのでよく合うと思います」
ビジネスカジュアルのポイントは?栃木さんにインタビュー
──ビジネスカジュアルの定義は難しいですが、栃木さんが考える「こういうところは最低限気をつけた方が良い」というアドバイスはありますか?
実際、会社によって様々で変わってくるかと思うんですが、カジュアルにやりすぎないこと──例えばやはりシャツはパンツにインするとか、ビジネスの基本色であるネイビー、グレー、時にはブラウンもあって良いんですが、あまりそこから逸脱しないことでしょうか。あまり何色も色を使いすぎるとまとまりもなくなりますし、見た目も派手になって仕事には向かない気がします。
──街でビジネスパーソンをご覧になって気になることはありますか?
パンツの丈感は気になることが多いですね。やはり長い方が多くて、あまり長すぎるとだらしなく見えてしまう。今だと少しクッションするぐらいが良いと思います。逆に短すぎるのもそれはそれでコスプレ感が出てしまうので避けたいですね。
ビジネスカジュアルはスーツもジャケットもパンツも結局サイジングだと思うんです。着ていてラクっていうのも一番なんですが、やはり仕事相手ありきなので、ラクなら良いではなく体にフィットしたものを選んで欲しいと思いますね。今はタイト目でもストレッチ素材のものもあるので。
──栃木さんが耳にするビジネスカジュアルのあるあるのお悩みと解決法は?
悩みというほどではないですが、シューズとベルトの色味が揃っているのがベストなのですが、ブラック系は揃っていても、ブラウン系が難しい、なんならブラウン系のシューズなのにベルトはブラックという方も。ブラウン系は濃淡があって何を選べば良いか難しいという場合は、シューズよりベルトを濃い色目にするのが良いと思います。
──コーデがマンネリになりがちな方が簡単に変化を持たせるTIPSはありますか?
大きなものを買うのは価格的にも大変だと思うので、Vゾーンを変えるのが一番簡単なのかなと。シャツやネクタイですね。中でもネクタイはほとんどの方がシルク系が多いと思うんですが、少し肉厚なウールのものも出ていて、そうした一点投入で他の人と差が出ると思いますよ。
──今回、コーデで使用していただいたシューズについて感想をお願いします。
スーツに合わせた表革のシューズはノーズの長さが少しあって、スーツにも似合うし、ステッチがあることでジャケパンにも行けると思いました。値段以上の高級感もありますね。スエードの柔らかめのシューズは外ばねでステッチも効いているので、カジュアル感が自然にプラスされると思います。フォルムも大きすぎず細すぎず、汎用性が高い。スリッポンは足入れも良さそうだし、全体的に足に当たる部分のクッション性があるので素足で履いても痛くなりにくいだろうなと思いました。また、ダークブラウンのスエードシューズはボリューム感があるので、細いパンツとの相性が良いですし、ソールの形でスタイルもよく見えると思います。
ABCマートがオススメするビジネスシューズ
ABC-MARTのビジネスシューズには、今回スタイリングで使用した表革のレースアップタイプなどきっちり目のストレートチップや、足入れがラクなスリッポンタイプ、スエードでもクラシカルなシルエットからステッチが軽快なデザインまで豊富にラインナップ。長時間歩いたり、移動の多い日に嬉しい機能を備えたシューズも手頃な価格帯で揃うのが嬉しい。
きっちり目のビジネスカジュアルシューズにオススメ
やわらかくて快適なビジネスカジュアルシューズ
紐なしで楽ちんなビジネスカジュアルシューズ
秋・冬にぴったりなビジネスカジュアルシューズ
ティンバーランド EK STORMBUCK PLAIN TOE OX アースキーパーズ ストームバック プレーントゥ オックスフォード 5550R F13 DARK BROWN
秋を前に、オフィスワークが多い日や、外回りがメインの日など週の中でもコーデのメリハリをつけたり、ご自身のワークスタイルに合うコーデを考えてみるのも楽しいもの。ABC-MARTの豊富なラインナップとともにアップデートしたビジネスカジュアルを楽しんでみては。
text by 石角友香
photo by まるやゆういち
hair&make 仲田須賀