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「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

2021.05.28

お気に入りの漫画についてとことん聞いて、そこからBリーガーの個性にぐっと迫っていく『Bリーガーと漫画』。第1弾は京都ハンナリーズ細川一輝(ほそかわかずき)選手が登場! 岩手県立一関工業高校で本格的にバスケを始め、上武大学で2部リーグ昇格に貢献し、大学在学時にB2群馬クレインサンダーズに特別指定選手で入団、2020-21シーズンから京都ハンナリーズで戦っています。

語る漫画は『ドラゴンボール(鳥山明、集英社ジャンプ・コミックス)』。とんとん拍子にB1まで辿り着いた経歴と、マイペースなインタビューのギャップが魅力的な細川選手は、ドラゴンボールをどう読んだのか? 今回は、ドラゴンボールにも詳しい西村嘉展(にしむらよしのぶ)マネージャーも特別参加してくれました。 ※この記事は2020-21シーズン中に取材したものです

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

 

ほっぺにキスされたら気になっちゃう(笑)

 

――今回のインタビューで、細川選手がドラゴンボールを選んだ理由は?

細川一輝選手(以下細川):小学生の時、地元の岩手でよくお昼ごはんを食べにいったラーメン屋さんにドラゴンボールが置いてあったんです。そのお店で初めてドラゴンボールを読んで夢中になりました。今でもアニメを見るし、こんなにハマって手元に全巻置いているのはドラゴンボールだけなので選びました。

――細川選手的にドラゴンボールのキャラクター分析をしていただけますか。

細川:悟空はサイヤ人だけど地球で育って、小さい時から亀仙人の元で修行していてめちゃくちゃ強い。サイヤ人は戦闘民族で自分が強くなることを楽しんでいて、たとえば強敵のベジータをようやく倒せるって状況になったのに、弱っているベジータを殺そうとしたクリリンに逃してやるように頼む。戦闘がすごく好きで、自分が強くなることにストイックな人です。仲間思いで、仲間を守りたいって気持ちがとても強いキャラクターだと思います。

クリリンは、最初は強くなって女の子にモテたいって動機から修行を始めるけど、どんどん強くなってみんなを守っていく。何回も死んじゃうけれど、体を張ってみんなを守るところがかっこいい。最後は人造人間18号と結婚するところも良いです。

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

――クリリンは18号にほっぺにキスされたところから好きになって、人造人間を停止するリモコンを壊しちゃう。恋愛面はピュアなキャラクターだと思います。

細川:僕も、同じようにほっぺにキスされたら気になっちゃうと思います(笑)。人造人間っていうと改造されているイメージがあるけれど、それでもクリリンはずっと好きで結婚するんですよね。僕は18号みたいに自分より強い女性は怖いし、あまりタイプではないですけど、ショートカットは良いですね。

西村嘉展マネージャー(以下西村MG):(細川)一輝より強い女性っているのかな? 興味あります(笑)。

――細川選手ってすごく強そうだから、18号くらいがちょうど良いのかも(笑)。

細川:そうかなあ(笑)。ベジータとピッコロも戦うのが好きなキャラクターです。2人とも最初は悪いやつだけど、だんだん悟空側にいって一緒に敵と戦って体を張って地球を守ろうとする。フリーザは悪者ですけど、悟空と何回も戦っているのを見ると悟空と同じように戦いが好きで、結果的には悟空にとって良いライバルだったと思います。

西村MG:思ったよりも一輝がしっかり説明できていて安心しました(笑)。僕は、ベジータはとても人間味のあるキャラクターだと思っています。悟空に勝ちたくて勝ちたくて、すごく努力して悟空に追いついたと思ったらまた離されて。悔しくてすごく努力するんです。魔人ブウ編ではバビディにたぶらかされてしまうけれど、それでもひたすら悟空に勝つという目的のために必死に戦うとか、結婚したブルマと子どものトランクスのことを大切にしているところにすごく人間味を感じます。

 

「ピッコロは満田丈太郎さんで、クリリンは久保田義章」

 

――分析した5人(悟空・クリリン・ピッコロ・ベジータ・フリーザ)を、チーム内で例えるとそれぞれ誰でしょうか?

細川:うーん! めちゃくちゃ難しい質問ですね。初期のピッコロは悪いやつなのでそこを踏まえて例えるとアレなんですが……、ピッコロは(満田)丈太郎さん。丈太郎さんはディフェンス面でチームのために相手のエースを抑えることが多くて、ピッコロも体を張って地球を守るめちゃくちゃいいやつなので、そこを丈太郎さんに例えました。

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

クリリンは小さいですよね……、久保田(義章175cm)かな。クリリンは最初の頃はずる賢いというか、やんちゃなところもあるから、そこを久保田に例えました。

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

悟空は難しいなあ……。一番頼りになるキャラクターという視点でデイヴィッド(サイモン)。デイヴィッドはチームの大黒柱で、オフェンスが止まったときもボールを回せばどうにかしてくれる頼りになる選手です。ベジータは(レイヴォンテ)ライスです。ベジータは元から持っている戦闘力が高くて頼りになるし、悟空と力を合わせて地球のために戦う。京都(ハンナリーズ)では、デイヴィッドとライスのコンビで戦って最後にデイヴィッドが決めることが多いです。そういう試合中のシーンから例えました。

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

フリーザはけっこう悪者なんですよね。京都には悪い人がいないので迷うのですが……例えるなら富山(グラウジーズ)に移籍した(ジュリアン)マブンガ選手。バスケが上手くて、敵だと嫌な選手でした。面識がないのでイメージですが、すごくやられたのも含めてフリーザです(笑)。

――西村マネージャーに質問です。細川選手をドラゴンボールのキャラクターに例えると誰ですか?

西村MG:一輝のポテンシャルの高さ的に孫悟飯です。悟飯は心が優しくて市民を救うけれど、表には出たくなくて『グレートサイヤマン』っていう正義のヒーローに変装します。一輝も全面的に表情や態度には感情を出さないけれど、優しさや勝ちたい気持ちは伝わってくるし、ドラゴンボールの中で潜在的に最も戦闘力が高いのは悟飯という設定なので、そこも一輝に例えられると思いました。

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

 

細川一輝選手とクリリンの共通点は?

 

――細川選手の一番好きなキャラクターはクリリンと聞きました。クリリンを選んだ理由は?

細川:クリリンは地球人なんですけど、悟空と一緒に修行をしてかめはめ波を撃てるようになったりして、どんどん強くなっていく。戦闘民族でナチュラルな才能を持つサイヤ人とは違うのに、イチから修行して強くなるんです。修行の時間、努力の時間でカバーしているところが好きです。ベジータが敵としてやってくる回で仲間たちが殺されて、クリリンも死にそうになった時に悟空が助けに来るシーンがあります。その時にクリリンが『悟空よ…いつもおまえひとりに運命をまかせてわるいな……ぜったいに死ぬなよ 親友……!(※)』って言うんです。このセリフがすごく好きです。

――「努力の時間でカバーする部分が好き」という言葉に、細川選手が学生時代から積み重ねてきた努力の時間がクリリンに共感する部分なのかなと思いました。

細川:自分もいろいろありましたからね(笑)。バスケの強豪校にいたわけでもなく、高校で全国大会に出たこともないし、大学は3部リーグからのスタートで恵まれた環境では無かったです。ただ、ずっとバスケが上手くなりたいと思っていたし、本当にバスケが好きだったので努力は続けてきました。特に大学3年の時はどうしても1部に上がりたくて、それまで以上に頑張ったと思います。結果として2部に上がったのですが、シンプルに1部のチーム・選手たちと戦いたいって思いがあったから頑張れました。

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

――実際に2部に上がって、どう感じたのでしょうか?

細川:どこまで通用するか分からなかったので、思い切ってやると決めて戦っていました。通用する部分もしない部分もありましたが、4年生で1部から下がってきたチームと対戦した時はディフェンスが全く違うと感じました。

――その後、群馬に特別指定で入って、今季は京都に入団してシーズン中盤からは先発に定着してプレータイムも安定しました。細川選手は、ご自身は課題を持ちつつもトントンとキャリアアップしているように感じます。

細川:Bリーグにいると周りは強度の高い選手たちばかりで、自分が劣っている部分がよく分かります。群馬でも自分はディフェンスで劣ると感じて、ディフェンス面を学びました。京都に入団してからもディフェンスはかなり意識してやっています。今はディフェンスの課題を少しずつ修正できていると思っています。

――裏を返せば、オフェンスはBリーグでも通用したということですか?

うーん……そういうわけでもないけど、Bリーグはディフェンスができないとプレータイムがもらえないと分かったので。まあ、大学では点を取るのが自分の仕事だったので、オフェンスは自信があります。子どもの頃にスキーやサッカーもやったのですが、僕はすごく負けず嫌いでどのスポーツでも負けたら泣くっていうのを繰り返していました。そこで培ったメンタルがオフェンスに出ているのかもしれないです。

西村MG:一輝はバスケットボールが大好きで、試合を待ち遠しく思っているのが伝わってきます。今季は相手にやられてプレータイムが短い試合もありましたが、モチベーションが下がる様子はなかったです。すごく悔しがっているのが分かるのですが、それに対して自分なりに足りないところを見つけて補おうとしているのが見えていた。おそらく本人はそこまで深く考えていないでしょうが(笑)、試合に出るために考えて動ける選手だと思います。

※DRAGON BALL 19巻 (鳥山明、集英社ジャンプ・コミックス、1989年)

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

 

試合中の足元は目立ちたい!

 

――細川選手が試合で履いているバッシュは『ナイキ(NIKE)』PG2 PLAYSTATION、ちょっとレアなシューズですよね?!

細川:はい! PGとプレステのコラボモデルです。先輩が良いアプリを教えてくれて、海外から取り寄せました。フィット感が良くて、すごく動きやすいバッシュです。僕は、足元は派手なのが好きで目立ちたくて、他の選手が履いていないバッシュを探してけっこう買っちゃいます。

――最近、プライベートで買ったスニーカーはありますか?

細川:サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手とナイキがコラボしたAir Force 1 Low CR7 By Youを注文しました。でも、まだ届いてないんです。大庭(岳輝)選手や松井(啓十郎)選手とは『次はあれが出るね』とか、スニーカーの話をします。僕はエアジョーダン1 Hyper Royalが欲しいのですが、これも人気でなかなか手に入らないです。最近は朝早く起きて抽選もするんですが、全然当たらないです。あれはもう、かなり運が良い人じゃないと当たらないです。

――最後にひとつ。細川選手がドラゴンボールで叶えるなら、どんな願いですか?

細川:『コロナをなくしてくれ』ですね。最近は悲しいニュースばかりだから、もうそろそろ明るいニュースを聞きたいです。

「一輝はグレートサイヤマン」京都ハンナリーズ細川一輝選手×ドラゴンボール【Bリーガーと漫画VOL.1】

写真提供:京都ハンナリーズ

取材・文:石川歩
取材・写真協力:京都ハンナリーズ

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