推して後悔しないのは“完璧な”寺嶋良選手?【Bリーグ広報のてまえみそ<京都ハンナリーズ編>】
日本を代表する観光地・京都市がホームタウンの『京都ハンナリーズ』。新撰組が着たといわれる浅葱色のだんだら模様の羽織をユニフォームのモチーフに採用し、ホームゲームも新撰組をテーマにするなど京都らしい演出が特徴です。
今シーズンのチームは開幕から4連敗し、その後もなかなか勝率が上がりませんでしたが、第14節のアウェーで強敵・川崎ブレイブサンダースに連勝、第22節のGAME2では強豪・宇都宮ブレックスに1点差まで迫るなど徐々にポテンシャルの高さを発揮中です。2021年1月8日には、運営会社のスポーツコミュニケーションKYOTO株式会社の代表取締役に森田鉄兵氏が就任。体制を変えて、チーム飛躍の一歩を踏み出したところです。今回は、昨シーズンからハンナリーズの広報職に就いている大木碧さんにオンラインで話を聞きました。
“完璧な”寺嶋良選手。広報から見た意外な素顔は?
――寺嶋良選手は今シーズンの全試合にスタメン出場中(※)で、平均プレータイムも20分超(※)と、一気にハンナリーズの中心選手になりました。寺嶋選手の飛躍がハンナリーズも押し上げているように感じます。(※2021年3月19日現在)
寺嶋選手は昨シーズンの途中から入団しましたが、今ではハンナリーズの中心選手です。寺嶋選手の入団からチームの流れが良いほうに変わって、ブースターさんの支持も期待値もどんどん上がっていきました。寺嶋選手の言動やプレーには、その期待に絶対に応え続けようという姿勢がよく出ていると思います。広報的にも、人としてしっかりした選手なので、推して後悔しない選手だと思います(笑)。
――大木さんは寺嶋選手を近くで見ていて、どんな選手だと感じていますか?
めちゃくちゃ真面目な人です。でも本人は自分に甘いと思っているらしく、自己啓発本を読んでモチベーションを上げないとダメだと思っているみたいです。昨日よりも今日の自分が成長していないのは嫌で、どんどん読書をしてどんどん知識を入れていくようにしていると話していて、私は「若い(24歳)のにすごい人だ」と思いながら聞いています(笑)。注目度が高いぶん取材も多いのですが、どれだけ多くの取材を入れても、たぶん疲れているのに嫌な顔は絶対にせず「僕はこういうの好きなので大丈夫ですよ」と言って快く引き受けてくれます。
――そこまで完璧だと、欠点を探したくなります!
そうなんですよ(笑)。欠点ではありませんが少し天然なところがあって、練習や試合に行くときはしっかりしているのに、帰りに忘れ物が多いんです。どこかに訪問をして帰りに送って別れた後に、座席に携帯電話が残っていたり、それが実はその日2回目の忘れ物だったり(笑)。先日も取材で事務所に来て、終わって帰宅したのにバッグを丸ごと忘れたと言って事務所に戻ってきました(笑)。自分がやることに集中していて、それが終わったら安心しちゃうのだと思います。
裏でひとり集中している #寺嶋良 選手。
そうです隠し撮りです |・`ω・)✨#京都ハンナリーズ pic.twitter.com/WlGzNzdqwi— 京都ハンナリーズ (@kyotohannaryz) December 13, 2020
広報が好きな永吉佑也選手の振る舞いは?
――今シーズンからキャプテンを務める永吉佑也選手はどんな人ですか?
永吉選手は2017-18シーズンからハンナリーズで戦っていて、チームにすごく愛着を持ってくれているのが伝わってきます。ブースターさんや京都という地域、地元メディアさんに対して愛があるんです。本当は永吉選手から言わないでとお願いされているのでこれを言うと怒られちゃうかもしれないのですが、新型コロナウイルスが出現して世の中が大変なことになったときに、プロスポーツチームとして地域にできることをしよう、チャリティー活動をしようとチームに声を掛けてくれたのは永吉選手でした。
――永吉選手ってちょっと強面だし、実際に見ると198cmとすごく大きくて近寄りがたかったのですが、そんなエピソードを聞くとイメージが変わります。
実際には優しくてすごく情に厚い人なんです。私が個人的に永吉選手の好きだなと思う行動があって。試合後の会見はどの選手も「ありがとうございました」と言って会見場を出ますが、永吉選手は質問が終わると立ち上がってメディアの皆さんを見渡して「次もよろしくお願いします」と必ず伝えるんです。ブースターさんもメディアの皆さんも同じように接しているのは、応援してくれる人たち全員を大切にしたいという感情からだと思います。
最近、永吉選手は教員免許を取るために通信の大学に通いはじめました。練習ではバスケのことだけを考えて集中していますが、家に帰ったらストレッチやトレーニングの合間に勉強時間をつくっているみたいです。
「選手には悪いけれど(笑)、グッズの売上はニャリンが圧倒的NO.1です」
――大木さんの話を聞いていると、広報としての目線とファン目線の両方を持って選手に接しているように感じます。大木さんがハンナリーズの広報に就いたいきさつを教えてください。
私自身はスポーツが得意ではないのですが、学生時代からずっとスポーツに関わってきました。スポーツ観戦が好きですし、高校は陸上部のマネージャー、大学ではフィールドホッケーのトレーナーをしていて、就職も自然とプロスポーツチームのスタッフとして働きたいと思うようになりました。当時プロの興行として成り立っている主な競技は野球・サッカー・バスケで、バスケは特にBリーグが立ち上がって成長していく過程にありました。Bリーグのチームに絞って就職活動をするうちにハンナリーズとご縁をいただきました。
広報はもちろんお仕事としてやっているので、どうしたらもっとハンナリーズを好きになってもらえるかという基本の活動姿勢を守りつつ、ブースターさんにとってどんな発信ならグッとくるか、私がいちファンならこの情報はうれしいなという視点でも考えています。だから、毎日が楽しいんです(笑)。ハンナリーズの広報に就いてから一度もつまらないと思った時間は無いです。
――コロナが終息すれば、京都にはまたたくさんの観光客が訪れると思います。京都観光の一環にバスケ観戦を入れるとか、インバウンド需要を取り込むなど京都市がホームタウンというアドバンテージは大きいです。
はい。長い目で見て、観光客やインバウンドの取り込みはすごく可能性があります。新撰組モチーフのユニフォームや演出はハンナリーズだからできることだし、チームにはかっこいい選手が多いので羽織の演出も選手たちはさらりと着こなしてくれます。
あと、チームマスコットのはんニャリンがとっても可愛いので注目してください! 選手には悪いけれど(笑)、グッズの売上はニャリンが圧倒的NO.1です。ホームゲームでは、ニャリンから選手にちょっかいを出しにいくのが可愛かったのですが、コロナの影響で接触禁止になってちょっと可哀想です(笑)。今はおでかけが出来ないので、SNSでがんばってくれています。
\\ ニャリンの縄跳びダンス💕 //
みなさん見てください‼️#はんニャリン による縄跳びダンスです🌈
かわいいすぎる…🥺🥺🥺#NiziU#京都ハンナリーズ pic.twitter.com/0ztu3s0EtO— 京都ハンナリーズ (@kyotohannaryz) January 25, 2021
コロナの感染拡大の影響で昨シーズンが途中で中止になったのは、私の中でも大きな出来事でした。お客さまの前でプレーをしてそれを発信するのが大前提の仕事だったはずなのに、それが突然無くなった。それでも、会場で見てもらえない状況下でも多くの人がチームを支えてくださっていることを実感して、恩返しじゃないですけど、そういった想いに応えていきたいし応えなきゃいけないとより思うようになりました。スポーツ観戦には日常生活では得られない興奮や喜怒哀楽、ブースターさんやチームとの共感体験があって、それは何ものにも変えられないものです。さらに多くの人とこんな体験ができるように、これからも広報活動をしていきます!
取材・文:石川歩
取材・写真協力:京都ハンナリーズ