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超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

2019.03.30

今年8月に開催される、ワールドカップ中国大会の出場権を勝ち取ったバスケットボール男子日本代表。21年ぶりの自力での出場権獲得という快挙は、私たちに大きな幸せと楽しみをもたらしてくれました。

最終戦でワールドカップ出場を決めた日本代表選手たちは、プロバスケットボールリーグ『Bリーグ』のB1チームに所属しています。私たちの常識を超えた体格と身体能力がぶつかり合う国内最高峰の試合は、非日常体験が味わえる最高のエンターテイメント! 国内のバスケ熱があがるなか「さあ試合を観にいこうよ!」ということで、ワールドカップも楽しみなこの時期に、改めてBリーグの魅力を深掘りするため、チームを最もよく知る各チームの広報担当者にインタビューをしていきます。第1回は、日本を代表する都市・渋谷をチーム名に持つ『サンロッカーズ渋谷』の広報・西祐美子さんに話を聞きました。

誰からも愛される。ワールドカップ最終予選に初出場したベンドラメ礼生選手
超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

——ワールドカップアジア最終予選の最終戦カタール戦でサンロッカーズ渋谷のベンドラメ礼生(べんどらめ・れお)選手がエントリーメンバー入りしたときに、SNSでは「レオキター!」と、ざわつきました。

西祐美子さん(以下、西):ベンドラメは代表チームに帯同していましたがメンバー入りはしていなくて、ワールドカップ出場を決める大事な一戦で初選出されました。代わりにメンバーから落ちた選手もいたわけで、ネガテイブな発言が出てもおかしくない状況でしたが、みんなが「礼生がんばれ」と言ってくれた。試合ではきちんとシュートを打ち切って、彼の名前はその後twitterでトレンド入りしたんです!

——ワールドカップの帰国会見では、代表に選ばれなかった選手・メンバーに入れなかった選手を慮るスピーチが印象的でした。

西:彼はBリーグ初年度の新人王を獲ったときもとても良いスピーチをしましたし、新人王を獲ってもおごらずにプレーをし続けている。彼は本当に謙虚なんです。その人柄の良さに魅了されている人は多いです。たくさんの人に愛されている選手だと思います。

渋谷に、元ロサンゼルス・レイカーズの2選手がやってきた!

——他に、サンロッカーズ渋谷の注目選手を挙げるなら誰ですか?

西:元ロサンゼルス・レイカーズの#6ロバート・サクレと、#34ライアン・ケリーでしょうか。サクレはプロ意識がとても高い選手で、最適なタイミングでメンバーに良いアドバイスをするし、シュートが外れても、良いタイミングで放ったシュートには「good shoot!」と声をかけて、チームにいい空気を作ってくれます。彼はコート上で絶対に必要な存在です。

超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

西:たとえば、第23節の秋田戦GAME2の第3クォーター、50:54で負けているタイミングで秋田の成田選手にブザービーターを決められて、ファンも私も気持ちが沈んだんです。「今日は負けるのかも……」って。そうしたら、第4クォーターのスタートにサクレがファンに向かって「さあいこうぜ!」って応援を煽ったんです。あれでファンも選手も元気が出たと思います。最終的に69-62で渋谷が勝ちました。

——そのシーン、私も観ました! サクレ選手が大きな両腕を広げてブースターに向かって吠えるんですよね。ああいう選手のプレー外のパフォーマンスがあると、ブースターは盛り上がります。

西:彼は見た目は怖いですが(笑)、本当に誰に対しても垣根がないです。練習場に子どもが来ると、彼は「オース!」って挨拶するんです。子どもたちが「オース!」って返すと、もっと大きな声で「オース!」と言い返している(笑)。彼はチームのムードメーカーです。

——2018年7月には、サクレ選手と同じ時期にロサンゼルス・レイカーズでプレーしていたライアン・ケリー選手がチームにジョインしました。レイカーズで活躍していたケリー選手の獲得について、今だから言える裏話はありますか?

超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

西:チームがケリーに声をかけているときに、ケリーはサクレに意見を聞いていたそうです。外国籍選手は、バスケをする環境や、チームが求めるバスケの姿勢に合わない選手もいますが、サクレは「ケリーなら日本でやっていける」と話したようです。ケリーは211cmのビッグマンなのに、カットインもインサイドもできる。センタープレーだけでなく、アウトサイドシュートを打つといったオールラウンダーで献身的なプレーをする選手なので、相手チームでマッチアップする選手は大変だと思います。

一度会ったらみんなメロメロ。「本気で試合に出たい」マスコット・サンディー

——最初に渋谷のホーム戦を観たとき、渋谷のマスコット・サンディーが選手といっしょにウォーミングアップをしていて、選手たちも自然にサンディーとハイタッチをしている姿が、愛おしくてたまらなかった! サンディーを楽しみに来ているブースターも多そうです。

超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

西:サンディーは選手なので、試合に出るために真剣にウォーミングアップしています。なので、ハイタッチで除け者にされると悔しがっています。でも、すぐに飽きて対戦相手の選手に絡みにいっちゃう(笑)。相手チームのホワイトボードに選手の似顔絵を描いて逃げてくるとか、ジャージのにおいを嗅いで“クサイクサイ”って仕草をしたり。サンディーを見ているといつの間にか引き込まれて、写真や動画を撮ってSNSで投稿してくれるファンがたくさんいて、ホーム戦の後は『#サンディー』のハッシュタグが盛り上がります。私が出会った中で、間違いなくNo.1のマスコットですね。

超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

——サンディーはお茶目なだけでなくダンスもとても上手で、サンディーが踊っていると思わず見入っちゃうんです。あと、ホスピタリティマインドがすごいですよね。試合中も会場をくまなく回って、2階席のファンまで飽きさせない。

西:タイムアウト中に、『サンディー・ミーツ・ファン』というファンを巻き込んだレクレーションをするのですが、これに参加するファンは試合前にサンディーが、ホーム・アウェー関係なく呼ぶんです。参加したファンにとっては本当にサプライズで、サンディーのサービスは、会場に来た“バスケファン”に向かっているのがすごいところです。勝負の世界なので2分の1の確率でどちらかのチームが負けるわけですが、渋谷のホーム戦に来てくれた対戦チームの皆さんにも、「楽しかった」「来てよかった」と思ってもらえる存在がサンディーだと思います。

一期一会の出会いからはじまった、渋谷とバスケの幸せな関係

——サンロッカーズ渋谷は、もともと『日立サンロッカーズ東京』として千葉県柏市を拠点に活動していました。Bリーグ開幕にあわせてホームタウンを渋谷に移して、ホームアリーナを青山学院大学の体育館にしたわけですが、開幕までには、思わずガッツポーズが出るようなストーリーがあるんですよね。

超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

西:今だから言えることですが、Bリーグ最初のホーム戦当日に、青山学院大学の体育館で試合をしてもいいという最終OKが出ました。もしかしたら開幕できないかも!? シビれる状況でしたが、本当にいろんな人に関わってもらって実現した開幕戦でした。

Bリーグ開幕前に柏からホームタウンを移す構想が出て、バスケの街のイメージがある渋谷区と交渉をスタートしました。渋谷区には快諾してもらいましたが、渋谷区内ではBリーグの規定にある5,000人規模のアリーナ確保ができない。困っていたときにアリーナスポーツ協議会から「青山学院の体育館なら5,000人が入る」と教えてもらって、話をしに行きました。はじめ大学側は、プロスポーツを大学の体育館でできるの!? という反応でしたが、それはそうですよね。おそらく大学の体育館をプロのホームアリーナにするのは初だと思います。協議を重ね、渋谷区の後押しもあってホームアリーナに決まりました。Bリーグのホームアリーナの発表が2016年の4月にあったのですが、この時点ではサンロッカーズはホームアリーナを発表できませんでした。最終的に5月末の記者会見で発表したんです。それぐらい、ぎりぎりで進んだホーム移転でした。

超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

——渋谷区長の長谷部健さんが試合会場に足を運んだり、サンディーが渋谷区の特別住民票を取得したりと、サンロッカーズ渋谷は地域と良好な関係を築いているように感じます。

西:ホームの最前列のシート売上でボールを購入して区内の小学校に寄贈したり、選手が子どもたちにバスケットボールを教えるクリニックの開催やチアのキッズダンス教室など、日ごろバスケでお世話になっている渋谷区の皆さんとお互いの得意分野で還元しあえています。サンロッカーズ渋谷の試合やオフコートの活動で、渋谷区や青山学院大学がこんなこともしているのだと多くの人に知ってもらえるし、渋谷区のスポーツ推進計画『する・見る・支える・つながる』にも貢献しているのかなと思います。

超都心・表参道でバスケ観戦できる喜び 【Bリーグ広報のてまえみそ<サンロッカーズ渋谷編>】

サンロッカーズ渋谷広報・西祐美子さん

Bリーグのチームのなかで、もっとも都心で観戦できるのが渋谷のホーム戦です。“スポーツ観戦”と構えずに、家族で、友だちどうしで、一人でも、ショッピングに行くように気軽にバスケを楽しめる立地は渋谷ならでは。国内最高峰のBリーガーたちがぶつかり合う試合は、きっと心を動かされる瞬間があるはずです。バスケに興味があるけれど、どのチームを見に行ったらわからないという方は、まずは渋谷のホーム戦に足を運んでみてはいかが?

サンロッカーズ渋谷
サンディーInstagram

文:石川歩

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