「ルフィは元基さん・ゾロは大貴さん・憧れるのはロー」アルバルク東京・笹倉怜寿選手×ワンピース【Bリーガーと漫画VOL.6】
お気に入りの漫画についてとことん聞いて選手の個性にぐっと迫っていく『Bリーガーと漫画』。6回目はアルバルク東京の笹倉怜寿(ささくら・れいじゅ)選手が登場。語る漫画は『ワンピース(尾田栄一郎・集英社/ジャンプ・コミックス)』。今回は一部で『SLAM DUNK(井上雄彦・集英社/ジャンプ・コミックス)』も登場します。
笹倉選手は富山県出身、187cmのポイントガードとして2019年12月に特別指定でアルバルク東京に入団。2020-21シーズンは仙台89ERSに期限付移籍をして、今シーズンからアルバルク東京に復帰してB1リーグを戦っています。
アルバルク東京のチョッパーとルフィは?
――ワンピースを選んだ理由は?
「僕は8歳離れた姉がいて、小さいころ姉が読んでいたワンピースが家に6巻まであったんです。小学生で6巻まで読んで、中学生になったら続きが気になって7巻以降を読みはじめて、プロになるまでずっと読んでいました。プロになってからは勉強したり考えることが多くて漫画を読む時間がなくて、『ドレスローザ編』で止まっています。続きがめちゃくちゃ気になるのですが、漫画を読める時間には寝ちゃうことが多くて読めてないです」
――ルフィ・ゾロ・サンジ・ウソップ・チョッパーをアルバルク東京の選手に例えると誰でしょうか? ただ、チョッパーは半分トナカイなので、難しければ他のキャラクターでもOKです!
「チョッパーが一番最初に浮かびました(笑)。小酒部(泰暉/おさかべ・たいき)選手です。小酒部選手はちょっと小動物的な可愛さがあって、チョッパーと似ています。トナカイってバネみたいにぴょんぴょん走っているイメージがあるのですが、小酒部選手もすごく脚力があって動物が駆けるようにぴょんぴょん走るところも似ています」
――ルフィは?
「(小島)元基さんです。元基さんは普段は少年っぽい感じですが、戦いになると顔色が変わる。普段の元基さんと練習・試合の時の元基さんで180度変わる感じがルフィっぽいです。元基さんはポイントガードなのでコートではリーダーになるし、チームのためにハッスルして体を張るところもルフィとマッチしていると思います」
「ルフィには海賊王になるという目標がありますよね。そこが芯にあってブレないから、体を張って目標に向かえる。あと、ルフィは麦わらの一味の船長でリーダーだけど、何も考えずに自分が思った通りに突っ込んでいくことがある。それでもいろんな人に支えられて、不思議と仲間がついてきてくれる。そこがルフィのすごいところで、能力ではない力だと思います」
ゾロと大貴選手のギャップはチャーミング
――ゾロは?
「ゾロはかっこいい・クールなキャラクターで、チームのエースという側面がある。そことマッチするのは、(田中)大貴さんです。もちろん大貴さんにもギャップはあるのですが、誰が見てもかっこいい・クールな雰囲気を持っているし、バスケの実力もある人です」
――笹倉選手が考える大貴選手のギャップは何ですか?
「例えば、大貴さんは元基さんと一緒にいることが多いのですが、二人の絡みが面白いんです。あと大貴さんは意外とお笑いが好きで、吉井(裕鷹)選手とは芸人やお笑い番組の話をしています。クールな大貴さんがお笑い好きというのが僕の中でギャップを感じるところです。ゾロもクールで強いけど、かなりの方向音痴ですよね。大貴さんとゾロのギャップの種類も似ていると思います」
サンジの安心感・菊地選手の安心感
――サンジは?
「サンジはコックです。このチームで料理をする人を見たことが無いので難しいけれど、(菊地)祥平さんです。祥平さんはキャンプに行くから、料理もするのではないかという僕の予想です。それに、サンジは女性を大切にするキャラクターですが、祥平さんもすごく女性を大事に扱ってくれそうです。奥さんもいますし、紳士的な気がします」
「サンジはどんな戦いでも第一に女性を守ります。女性がピンチになるシーンもサンジがいると安心できますが、祥平さんにも”この人に任せておけば安心できる”という感覚があります。例えば、試合にいまメインで出ている選手たちの調子が上がってこなくても、祥平さんがバックにいるという安心感がある。祥平さんは普段は一緒にボケてくれるんですが、バスケになるとピリッと雰囲気が変わります。そういう切り替えを見ていると、僕もハッとして集中するし、『この人についていけばいい』と思えます」
ウソップとジョーダン・テイラー選手の共通点は?
――ウソップは?
「ウソップはアニメも含めるとウケるシーンが多いイメージがあります。ココヤシ村では、ウソと輪ゴムで魚人と戦ったりして見ていて面白い。麦わらの一味のムードメーカー的な存在と考えると、ジョーダン(テイラー)です。ジョーダンは陽気な選手で、みんなで食事をしている時に奥から笑い声が聞こえて振り向くとジョーダンが中心にいることが多いです。ジョーダンがいると場がぱっと明るくなるし、壁が無いので関わりやすくて元気をもらえます」
「ジョーダンは経験豊富な選手で、僕と同じポジションということもあって、細かい技術を教えてくれます。練習の合間とか試合のハーフタイムに、『さっきはこういうことだよ』『ああいうシーンの強度はこれくらい』とか本当に細かいところまでアドバイスをくれます」
トラファルガー・ローみたいなポイントガードになる
――笹倉選手が好きなキャラクターはトラファルガー・ローです。理由は?
「ローは賢くて冷静なリーダーです。そこを見習いたいというか……。僕はポイントガードなので冷静なリーダーでいる必要があると思っていて、ローにはそういう側面があってすごく好きです。例えば、パンクハザード編でローはルフィに同盟を持ちかけたり、心臓を駆け引きに使ってうまく立ち回って自分の思いを叶えていく。ローはルフィと共闘することを選んで、僕はそれがベストな選択だったと思うんです。僕はローみたいな、アツさと冷静さをもって駆け引きをしたり、正しい選択を遂行して成功するといったリーダーシップが良いなと思う。
僕自身で言うと、他のポイントガードにはスピードがあるけど僕には高さがある。それに、試合のリズムを変えていくのが得意なので、他の選手とは違う戦い方ができます。ポイントガードには、ローのようなオリジナリティを持つことが大事だと思います」
「でも、難しいですね。『笹倉って、なんかローっぽくない?』って言われてもちょっと『うん?』ってなりますね。ルカ(パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチに、『ローみたいなポイントガードになる』って言っても意味が分からないですよね(笑)」
挫折した笹倉怜寿選手を支えたのは『SLAM DUNK』
――笹倉選手のバスケ人生の中で、辛い時に読み返すシーンや思い出すセリフはありますか?
「中学の時、何回もバスケをやめたいと思ったことがあります。ちょうどその時に読んでいたのが『SLAM DUNK』で、今でも辛い時はSLAM DUNKを読んでいます。インターハイ予選の海南戦で、桜木花道がゴリ(赤木剛憲)と間違えて海南の高砂にパスを出してしまって負けたシーンです。花道はすごく責任を感じて坊主にして、そこから自分に必要なことを練習して一枚も二枚も皮がむけて成長していく部分は、特に挫折していた時にすごく響いていました」
――なぜ、中学でバスケをやめようと思ったのですか?
「3年生で新チームになって、推薦されてキャプテンになりました。当時の僕はキャプテンが何をしたらいいのか分からなくて余計なことを考えて、周りのことに集中してしまったんです。自分のプレーが出せずに思っているバスケットができなくなって、練習も試合も良いパフォーマンスができず怒られてばかりになって。バスケがつまらない・やめたいと思っていました」
――結果を見ると、富山市立奥田中3年時に全国大会に初出場して準優勝しました。同じチームにはNBAワシントン・ウィザーズの八村塁選手もいます。
「塁は2年生の半ばから自信をもってバスケをやるようになりました。リーダーシップというよりはプレーで引っ張るタイプでした。塁はカテゴリーの代表を経験しはじめてからチームを引っ張るような存在になってくれたので、最初からキャプテンをやる感じはなかったように思います。結局僕はキャプテンをやめて、そこからプレーに集中できるようになりました」
「ちょうど挫折してた時、家のトイレにSLAM DUNKの漫画が置いてあったんです。トイレに行きたくないんですが、あの個室の静かな空間に座ってずっとSLAM DUNKを読んでいた時期がありました。トイレはしてないんですが、換気扇の”フワ~”っていう音を聞きながら静かに花道が成長していくシーンを読んで元気をもらっていました(笑)」
最近、エアフォースワンを買い直したところ』
――笹倉選手が最近買ったスニーカーは何ですか?
「2足あって、まずはナイキ・エアフォースワンの真っ白です。エアフォースワンはどの季節でも、どんな服装にも合うと思います。今まで持っていたのが汚れてきたので、新しく買い直しました。エアフォースワンは全身を黒い服にして足元だけ真っ白というきれいめのコーディネートにすることが多いです。もう1足は、薄いオレンジ色のジョーダン1です。これは秋らしいスニーカーが欲しくて買いました。僕はプレミアものは履くのがもったいないと思うタイプなので、普通にお店で買えるスニーカーです。黒い服が好きなので、オーバーサイズの黒のトップスに合わせることが多いです」
取材・文:石川歩
取材・写真協力:アルバルク東京