【関連記事はこちら】
「“利きエアフォース”の時間が楽しい」宇都宮ブレックス・荒谷裕秀選手＜Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.38＞
0
「ブレックスが”見聞色”を身につけたら……」宇都宮ブレックス荒谷裕秀選手×ワンピース【Bリーガーと漫画VOL.5】
お気に入りの漫画についてとことん聞いて、そこからBリーガーの個性にぐっと迫っていく『Bリーガーと漫画』。5回目は宇都宮ブレックスの荒谷裕秀（あらや・ひろひで）選手が登場。先立って公開したスニーカー＆ファッションインタビューでは、好きなものをとことん突き詰めるマニアックな一面を見せてくれました。今回は、今までで一番ハマったという漫画『ワンピース（尾田栄一郎・集英社／ジャンプ・コミックス）』についてオンラインインタビューをしました。ワンピースは、海賊王を夢見る主人公モンキー・D・ルフィを船長にした”麦わらの一味”が、ひとつなぎの大秘宝（ワンピース）を探し求める冒険物語。
荒谷選手は第72回全日本大学バスケットボール選手権大会2020（インカレ）でチームを3位に導き、優秀選手賞に選ばれました。白鴎大学在学中の2020年に特別指定選手として宇都宮ブレックスに入団し、2021-22シーズンも同クラブでB1リーグを戦っています。
宇都宮ブレックスのルフィ・ゾロ・サンジ・ウソップ・チョッパーは誰？
――ワンピースを選んだ理由は？
「ワンピースを初めて読んだのが小学6年の頃で、最初にハマった漫画です。ワンピースは伏線がすごくて何度も読まないと深く理解できないし、読むたびに新しい発見があるすごい漫画です。今は様々なシーンの考察をしている動画を見比べながら、該当するシーンを読み直しています。いろんな人の考察を見て、”ここも伏線だったのか”と細かい描写に注目して、また読み返すのが楽しいです」
――ルフィを宇都宮ブレックスのメンバーに例えると誰ですか？
「ルフィはジョシュ（スコット）です。今シーズンの練習に入ってから、ジョシュの“みんなを引っ張っていこう”という意識を感じます。今シーズンはインサイドの選手が変わったので、ジョシュは昨シーズンからいる自分がチームを引っ張っていく意識があると思います。ルフィはいつも明るくて、自分では意識していなくても自然とみんなを引っ張っていくキャラクターで、常に明るいジョシュと似ています。それに、ルフィは元から持っている覇王色（※）がありますが、ジョシュもコート上で覇王色を発揮しています」
©TOCHIGI BREX INC.
――ロロノア・ゾロは誰ですか？
「（喜多川）修平さんです。修平さんもゾロも、表に立って活躍もするのですが、縁の下の力持ち的な動きもしっかりしているところが似ています。例えば、ウソップがゴーイングメリー号の廃船をめぐって、ルフィと意見が対立して麦わらの一味を離れたシーンがあります。もう一度ウソップが仲間に戻ってこようとするとき、頭を下げて来るまで一味に戻ることを認めないと言ってチームの筋を通しているのはゾロです。ゾロはチームの核になっている大事なところが分かっていて、チームがバラバラになりそうになった時に支えていると思います。陰ながらチームを支える仕事人という点が、ゾロと修平さんの共通点です」
©TOCHIGI BREX INC.
――サンジは誰ですか？
「サンジは遠藤（祐亮）さんです。遠藤さんはブレックスに長く所属していて、ブレックスメンタリティと呼ばれる部分を作り上げてきた選手です。それに、試合では決めるべきところで決めてくれる人です。サンジもずっと麦わらの一味の食を支えています。食はチームの基本になる部分だし、大事な部分で決めるという点で遠藤さんと共通点があると思います」
©TOCHIGI BREX INC.
――ウソップは誰ですか？
「ナベ（渡邉裕規）さんです。常に喋っていて、それでチームの雰囲気が良くなっているところや、チームのみんなに声掛けをしているところがウソップにそっくりだと思います。ゴーイングメリー号を廃船にするシーンなどを読むと、ウソップは我を通すというか自分の筋を通すところがあるのですが、根本は仲間のことを考えて行動しています。嘘をつき始めたのも病気のお母さんを喜ばせるためだし、兄を失ったルフィに対して、辛いときに一緒にいてやらなきゃ仲間じゃないと言ってルフィの気持ちを察している。ナベさんは自分が一緒にコートに出るときは声がけをしてくれるし、試合中もいつも声を出しています。ナベさんもウソップも、チームの状態を常に考えている人だと思います」
©TOCHIGI BREX INC.
――チョッパーは誰ですか？
「（テーブス）海です。チョッパーは半分トナカイですが……海はチームのマスコットというか、みんなに可愛がられていて、チョッパーのようなキャラクターだと思います。チョッパーは青い鼻でトナカイの仲間から孤立して、ヒトヒトの実を食べたことで人間からも疎外されて誰も信じられなくなります。でも、ルフィに出会ったおかげで打ち解けられるようになって、本来持っている素直さを取り戻していくのが良いです。チョッパーも海も、チームの末っ子っぽい感じが似ています」
©TOCHIGI BREX INC.
※覇王色：ワンピースに出てくる覇気という概念の一つ。覇王色・武装色・見聞色があり、覇王色は練習で培うものではなく選ばれた素質を持つ者のみが発揮する能力。覇王色を使いこなすようになると威圧で敵を倒せるようになる
荒谷選手が好きなキャラクターは？
――好きなキャラクターをしいて挙げるならサンジということですが、理由は？
「サンジは仲間を思うシーンで尊敬することが多いです。ホールケーキアイランド編で、無意識に麦わらの一味の好物が詰まったお弁当を作ってしまったりして。そういう仲間思いなところがカッコいいです。命の恩人ゼフに対する恩返しの思いを自分の中に留めていて、周りには最後まで知らせなかった。表立って感情を表していないところにも憧れます」
©TOCHIGI BREX INC.
――好きな女性のキャラクターを挙げるなら誰ですか？
「アラバスタ王国のビビです。国を守るために無謀だと分かっていても国を飛び出してバロックワークスに入って、アラバスタで戦いが始まっても、少しでも良い方に向かうようにずっと頑張って争いを止めようとする。自分の目標を果たすためにずっと努力するところがカッコいいです。麦わらの一味はみんな目標を果たすために頑張っています。自分もバスケットボールはずっと努力してきたので、目標に向かっている人には自然と目が向くし、応援したくなります」
©TOCHIGI BREX INC.
――ワンピースで痛快なのは、夢を大きく口に出して、叶えるために進んでいく姿です。現実には、大きな夢を語るのが難しい……バカにされたら嫌だし、叶わないと思ってしまうような情報も入ってきます。
「自分の場合は、高校を選ぶ時は国体のメンバーに入りたいという目標を言って、大学を選ぶ時はレベルの高い大学でプレーしたいと言って、大学で活躍できたらプロになりたいと言って……進路選択のたびに目の前の夢や目標を口に出して、それを一つずつこなしてきました。中学生でプロになると言っていたら無理だとバカにされたかもしれないけれど、現実的な目の前にある夢を語ってきたから周りは常に応援してくれました。
自分が思うのは、大きな夢は心の中にとどめておいて、叶えていく段階で目の前の目標を発信していくことが大事だと思います。何を言われても気にならない人ならいいと思いますが、やっぱり日本のカルチャーとして、誰もがオープンに夢を語るのが難しい部分がある。でも、大きな夢を心の中に持っておくのは大事だと思います。それに、日本の良い方のカルチャーがあって、届きそうな目標を口にするとすごく応援してくれます」
©TOCHIGI BREX INC.
辛い時は、ジンベエの言葉を思い出す
――荒谷選手は、負けた時や苦しい時にワンピースで読み返すシーンはありますか？
「自分が辛い時に思い出すのは、頂上戦争でエースを失ってルフィが落ち込みまくっている時のジンベエのセリフです。『無いものは無い。お前にまだ残っているものは何だ（※）』というセリフがすごく好きです。自分の場合だとインカレで勝てなかった時にこのセリフを思い出して、”負けたけど、あれは出来た”、”得意なプレーは出来た”、“あのプレーは通用した”とか、負けても自分に残っているものを思い返していました」
――宇都宮ブレックスのジンベエは誰ですか？
「（安齋）竜三さんです。ジンベエは麦わらの一味に入って操舵手としてチームを率いているし、精神的にもみんなを支えています。監督もチームの指揮をとっているし、ジンベエみたいにかっこいい人です」
©TOCHIGI BREX INC.
――ワンピースには覇気の概念があります。荒谷選手が身につけるならどの覇気ですか？
「見聞色です。見聞色があったらディフェンスがめちゃくちゃ楽です。声を出さなくてもチームの意思疎通がスムーズになってコミュニケーションが取りやすくなるから、ターンオーバーが減ると思います。ブレックスみんなが見聞色を身につけたら、さらにすごいチームになると思います（笑）」
※『今は辛かろうがルフィ…‼︎ それらを押し殺せ!!! 失った物ばかり数えるな!!! 無いものは無い!!! 確認せい!! お前にまだ残っておるものは何じゃ!!!』（ジャンプ・コミックス／ワンピース60巻・第590話）
©TOCHIGI BREX INC.
最近の荒谷選手のスニーカー事情
――荒谷選手が最近買ったスニーカーで、お気に入りは？
「ナイキ エア ジョーダン1LOWのTravis Scott x Fragmentです。毎朝のルーティン抽選をしたスニーカーで、絶対に当たらないと思っていたら当たってめちゃくちゃ嬉しかったです。自分は基本的にデザインが好きだったら全て抽選に参加しています。今回のトラヴィスはカッコいいというより、かわいいデザインが好きです。抽選してみたら当たって、うれしくて届いたら速攻で履きました（笑）。Propperのテーパードの黒いカーゴパンツに、だぼっとしたカーハートのエンジ色のTシャツを着て、服は渋めでスニーカーが映えるコーディネートをしています」
取材・文：石川歩
取材・写真協力：宇都宮ブレックス
