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A・マーフィー、田渡凌入団。B1昇格“朱色軍団”のいま【Bリーグ広報のてまえみそ<広島ドラゴンフライズ編>】

2020.10.12

昨シーズンB2リーグ西地区で優勝し、今シーズンはB1リーグで戦っている広島ドラゴンフライズ。2013年のクラブ創設から7年でB1昇格を果たしました。今シーズンはアイザイア・マーフィー選手、田渡凌選手など、B1で爪痕を残す覚悟がみえるロスターが揃っています。広報から見た新生ドラゴンフライズはどんな雰囲気か? 今回は、広報3年目の白神香奈さんに話を聞きました。

A・マーフィー、田渡凌入団。B1昇格“朱色軍団”のいま【Bリーグ広報のてまえみそ<広島ドラゴンフライズ編>】

広島ドラゴンフライズ広報の白神香奈さん。今回はオンライン取材を行いました

アイザイア・マーフィー選手=しんちゃんの意外な素顔は?

――今シーズンのドラゴンフライズのビッグニュースは、アメリカで経験を積んだアイザイア・マーフィー(日本名:榎本新作)選手の入団です。白神さんから見て、マーフィー選手はどんな人ですか?

「私は“しんちゃん”と呼んでいるのですが、ギャップの塊のような選手です。スタイルが良くて、顔立ちもきれいで、いるだけで絵になる選手です。試合でも積極的にドライブでアタックしていく若さ溢れるプレーで、チームを元気にする。でも、コート外は本当に可愛い人なんです(笑)」

A・マーフィー、田渡凌入団。B1昇格“朱色軍団”のいま【Bリーグ広報のてまえみそ<広島ドラゴンフライズ編>】

©HIROSHIMADRAGONFLIES

選手の顔写真と名前が入った杓子キーホルダーがあるのですが、私がしんちゃんのキーホルダーを持っていたら、『可愛いな。欲しいよ』っていうんです。その様子が、もう何個でもあげるよって思えるくらい可愛くて、すぐにプレゼントしました(笑)。しんちゃんの素顔は、接していると親のような気持ちになるチャーミングな選手です。U-19の日本代表でも戦っているので以前からメディアの注目度は高かったと思うのですが、ドラゴンフライズの入団会見の前は『あー! 緊張する!』と繰り返していました」

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――自分のグッズを欲しがる選手、初めて聞きました(笑)。そして、“しんちゃん”と呼ばれていることにびっくりです!

「日本名が新作なのですが、“しん”とか“しんさく”と呼んでも反応しなくて、“しんちゃん”と呼ぶと振り向くんです。しんちゃんは既にドラゴンフライズのファンの心は掴んでいますが、これからカッコいいプレーと素のしんちゃんのギャップを知ってもらえれば、さらに多くのファンに好きになってもらえる選手だと思います」

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田渡凌選手と岡本飛竜選手の“男子な会話”

ーーオフシーズンのもう一つのニュースは、田渡凌選手の入団です。クラブの顔として定着していた横浜ビー・コルセアーズからの移籍はびっくりしました。

「私も、初めて田渡選手が来ると聞いたときびっくりしました。田渡選手はすごく大人の対応ができる人で、一つひとつのメディア対応を見ても、相手が求めていることを察知して回答する。私が勉強になるくらいしっかりしています。田渡選手が来てからドラゴンフライズのSNSフォロワーが増えて、移籍リリースは過去一番の反響でした」

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「意外な素顔といえば、田渡選手と同じ年(編註:1993年生まれ、27歳)の(岡本)飛竜さんとよく話していますが、話している内容が“男子!”なんです。『お前よりオレのほうが練習してる。オレのほうが練習休んでないし』とか(笑)、じゃれあっています」

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――岡本飛竜選手は170cmと身長が低いですが、アグレッシブなプレーは見ていて元気になる選手です。

「飛竜さんは幅広い年代のファンに好かれています。子どもから見たらあの身長で活躍している良いお手本だと思うんです。大きな選手にドライブで切り込んでシュートを決めるし、タイトなディフェンスでターンオーバーを狙って得点する。ヒーローのような分かりやすいプレーをする選手です。性格はすごくアツい人で、体育館の予約表を見ると、チーム練習の前に『9〜10時:岡本様』って書いてあるんです。一人だけ体育館を先に借りて、二部練しているんですよね」

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――白神さんが知っている飛竜選手の意外な素顔を教えてください。

「私生活とのギャップでしょうか。プレーはすごいのですが片付けが苦手で、『あれってどこにある?』『これはどうすればいい?』といつも誰かに聞いています。そういう行動が嫌味じゃなくて、性格が人懐こいからみんなお世話をしちゃうんです。おそらくファンにはそういう一面がバレていて、女子心をくすぐっていると思います」

――白神さんのお話を聞いていると、選手たちがフロントスタッフの皆さんにすごく心を許している様子が伝わります。

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「チームによってはフロントがチーム練習に行きづらいという話も聞きますが、ドラゴンフライズはヘッドコーチや選手たちがフロントありきで考えて、どんな時もきちんと受け入れてくれます。昨シーズン40勝7敗という成績を残して昇格した背景には、選手たちの日々の努力があります。私は彼らのプロ意識の高さをいつも身近に見ていました。彼らから勉強させてもらうことは多いです」

広島を、バスケの渦に巻き込みたい

――今シーズン、ドラゴンフライズは初めてB1で戦います。いまチームはどんな雰囲気ですか?

「選手たちはすごく気合いが入っています。B1を経験したことがない選手が多いので、どれだけやれるか楽しみだとよく話しています。最初から全てがうまくいくことはないと思っているので、今シーズンはB1で基盤を築く1年という意識です。ただその中でも、ドラゴンフライズがリーグをかき回すような存在になれたらと思っています」

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――白神さんから見て、B1でも負けていないドラゴンフライズの強みはなんですか?

メディア露出の多さはどのクラブにも負けていないです。広島のメディアは、ドラゴンフライズ創設時から多くの情報を取り上げてくれて、昇格が決まったときすごく喜んでくれました。このクラブは本当に地域に支えられているのだなと実感したんです。今シーズンは、県内メディアの協力でさらに多くの人をバスケという渦に巻き込んでいきたいです」

A・マーフィー、田渡凌入団。B1昇格“朱色軍団”のいま【Bリーグ広報のてまえみそ<広島ドラゴンフライズ編>】

市内を走る路面電車の中に『広島ドラゴンフライズラッピング電車』がある。今シーズンは電車内のアナウンスも選手が手掛け、ゲーム前からドラゴンフライズの世界観を楽しめる ©HIROSHIMADRAGONFLIES

「広島といえばカープが有名です。カープの試合がある日は、赤いユニフォームを来たファンで駅が埋め尽くされるんです。そんなふうに、ドラゴンフライズのゲームデーには朱色のユニフォームを着た人たちで溢れるような景色になればいいなと思います」

A・マーフィー、田渡凌入団。B1昇格“朱色軍団”のいま【Bリーグ広報のてまえみそ<広島ドラゴンフライズ編>】

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――広島東洋カープやサンフレッチェ広島など、県内には名門のプロスポーツチームがあります。競技が違うとライバルというよりは共存するイメージなのでしょうか?

「広島は野球とサッカー以外にも自転車ロードレースのヴィクトワール広島、バレーボールのJTサンダーズ広島など、プロスポーツチームが多いです。その特徴を生かして県内のスポーツチーム全体でスポーツシーンを盛り上げていきたいです。昼にカープを応援して、夜はドラゴンフライズの試合を見にいくというように、ファンが競技の垣根を越えて流動的に動いて、スポーツ観戦を楽しむ文化がもっと広がれば良いと思っています」

取材・文:石川歩
取材・写真協力:広島ドラゴンフライズ

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