【街に馴染むあの頃の定番スニーカー】スリムで洗練されたフォルム・アディダス『サンバ』
例えば、1990年代ごろの、その昔。僕たち私たちを魅了してやまなかった、あのブランドのあのモデルのスニーカー。カッコよくって光輝いていて、手に入れるために必死に頑張ったっけ。
……と、エモな思い出が蘇ってくる世代も、当時はまだ幼かった若者世代も。
あの頃のスニーカーには、どこか特別な意味がある。だから今もなお愛され、リバイバルするのだろう。
本特集では、そんなスニーカーを愛用している、“kicksラバー”にインタビュー。愛してやまない“あのモデル”について、たっぷりと話を聞きました。
あの頃の定番スニーカー・アディダス『サンバ』の魅力
今回話を聞いたのは、『アディダス(adidas)』サンバ<SAMBA>を愛用している@_icchang_さん。
――生活においてスニーカーとどのようにかかわっていますか?
豪雪地帯の山奥在住のグラフィックデザイナーです。一児の母でもあります。
職業柄、比較的服装は自由なのと、車が必須の地域に住んでいるため、冠婚葬祭以外は猛暑でも台風でも吹雪でもほぼスニーカーを履いています。
――購入した理由やキッカケは?
「ヒートテック事件」という事件があり、それをきっかけに服の系統が変わったからです。
以前までは、上下オーバーサイズのストリートファッションが好きで、仕事もそのストリートファッションで行っていました(笑)。さすがにパンツはスキニーでしたが。
しかし、真冬のある日、仕事のトラブルで急遽大手新聞社に行かなくてはならなくなった時がありまして。しかし!! そのカジュアルな服装で新聞社に行く勇気は当然なく。結果、猛吹雪の中、着ていたスウェットを脱ぎ、唯一ジャストサイズで着ていたヒートテック1枚のみになり新聞社へ行くという暴挙に出ました。
その時に、自分の着たいものを着つつTPOをわきまえ、イレギュラーに対応できるようになりたいと思ったのです。
ちょうどその時期にラコステやフレッドペリーにハマり、それらに合うスニーカーが欲しいなとなって。真っ先に候補に挙がったのがサンバでした。人気がありすぎるのと、田舎ではサンバは入荷すらせず、通販しか選択肢がなかったので、なかなか買うのが大変でした。サンバって実は存在しないのでは? とすら思ったことがあります(笑)。
――お気に入りのポイントは?
とにかくスリムで洗練されたフォルムなところ!!
ずっとボリュームがあるスニーカーを好んで履いてきていたため、初めてサンバを見た時に思ったのが「カンフーシューズみたい」でした(笑)。しかし、履いてみたら、そんなカンフーシューズのイメージが吹っ飛びました。カジュアルにもモードにも、どんなコーディネートに合います。
そして、私自身、それなりの年齢でもありますので、このサンバを履くだけで落ち着きのある印象になるのもお気に入りのポイントです。
――履く際のコーディネートやスタイリングでこだわっていることは?
ボトムスの丈と靴下とスニーカーのバランスを取ることです。
特に靴下に関しては、私自身靴下が大好きなのもあり、「靴下で自分らしさを出したいな」と日々思っております。
最近TPO問わず履けるオールラウンダーなスニーカーが増えてきていますが、オールラウンダーだから何でも合うって訳ではないと思うんです。
私が所持しているサンバに対しても、バランスが難しいボトムスと靴下があります。トップスは? となるかと思いますが、トップスよりボトムスやスニーカーの方が、持ち服との相性を考えたりして色が限局的になる傾向があると思うので、足回りの丈やフォルム、靴下の色などがよりバランスを取る上で大事なのかなと。
だからこそ、その日その日でボトムスの丈、履くソックスのバランスを大事にしています。
――kicksラバーになったキッカケは?
高校1年の時、高校の近くにあったスニーカー好きの溜まり場のスニーカーショップでNIKEのエアクキニに出会ったのがきっかけでした。それから、VANSの赤チェッカーのスリッポンやエアフォース1、ダンク、adidasだとコンコルドなどを履いてました。もしかしたら今よりスニーカーのチョイスレベルが高かったかもしれません。その時のスニーカー遍歴が今のファッションのベースを作ったと思ってます。履きたいなと思うスニーカーは高校時代と似ているなと。そして、当時欲しくても買えなかったスニーカーが近年復刻されてゲットするのもひとつの流れです。
ちなみに中学生の息子は、現在復刻したエアクキニを愛用しています。
――あなたにとってスニーカーとは?
私にとってのスニーカーは、ズバリ、メガネと同じ立ち位置です。
私は視力が悪いので基本メガネ(たまにコンタクト)なのですが、メガネが生活する上で必要なのと同じで、スニーカーもメガネと同じだと思ってます。履き物がないと外は出れないですしね。そして、メガネもスニーカーも個々のこだわりが垣間見えるので、そこからコミュニケーションに繋がるきっかけにもなったりして、面白いなって思います。
――90年代のファッションやスニーカーへの思いを教えてください
90年代ファッションはまさに自分にとっての原点でもあるので、見ていて楽しいのと懐かしさもありつつ、進化も凄いなって思ってます。
例えるならNIKEのエアマックスシリーズにしても今は沢山出てますし、ひとえにこれは90年代当時のファッション好きな方々が、スニーカーを創り上げる立場になって更なる進化を遂げたってことでもあると思います。
今の若い世代の人たちが次のサイクルが回ってきた時に、90年代リバイバルの更なる進化を遂げた「2020年代ファッション」を築いていくんだろうなって思います!!
あの頃の定番スニーカー・アディダス『サンバ』とは
1950年にサッカーシューズとして誕生して以来、ピッチから街へ、ファッションやサブカルチャーまで、幅広い世代に愛され続けている名作。『サンバ』という名前は、同年のFIFAワールドカップ開催国であったブラジルの伝統的音楽『サンバ』が由来。