豪快ダンクが待ちきれない! 新生エヴェッサの展望【Bリーグ広報のてまえみそ<大阪エヴェッサ編>】
オフシーズンに積極的な選手補強をした大阪エヴェッサ。若く、個性豊かなメンバーが揃い、どんなバスケットボールを展開するのか楽しみなチームにスケールアップしました。
今回は、大阪エヴェッサの広報として4シーズン目をむかえる田中美紗紀さんにオンラインで話を聞きました。
今シーズンの大阪エヴェッサは「若くて、走れて、爆発力がある」
――今シーズン、大阪エヴェッサはがらりとメンバーが入れ替わりました。田中さんから見て、どんなチームになりそうですか?
「他チームのこれからのメンバー発表にもよりますが、今のところB1では、エヴェッサが最も平均年齢が若いです。おそらく平均身長も一番高くて、体重もトップクラス。走力があって躍動感と爆発力を持ったチームになりそうです。今シーズンはほとんどのメンバーが、ダンクシュートができます。試合では、パワフルで豪快なプレーが見られると思います」
――開幕に向けて各チームが発表するチームビジュアルがオフシーズンの楽しみの一つです。今シーズンのエヴェッサはカッコいい選手が多いので、クールだけど、大阪っぽいユーモアのあるイメージを期待しています。
「若いチームなのでフレッシュなイメージを出しつつ、豪快さとかっこよさが混ざり合ったビジュアルになるかなと思っています」
「エヴェッサは社内にデザイン部があって、ビジュアルを内製できます。私はこれがエヴェッサの強みだと思っていて、デザイナーが練習場に来て、選手に直接『こんな企画やりたいねんけど協力してくれへん?』と伝えます。フロントと選手は一つのチームで仲間という感覚があって、なんでも恐れずにスピード感を持ってアウトプットできる。全力でボケにいったり、大変そうなことにもチャレンジしたり、ネガティブなことをポジティブな方向に持っていけるのは、エヴェッサ全員が仲間でやっているという意識が大きいと思います」
――選手の鍛え上げた肉体美を堪能(?)できる上半身裸のビジュアルや、ホワイトデーの壁ドン動画、何らかの理由でボツになって世の中に出なかったデザインを限定公開した『大阪没物語』など、他チームではやらなさそうなこともエヴェッサならアリというか……、関東圏から“大阪っぽいな”と思って好ましく見ています!
「ありがとうございます(笑)。上半身裸のビジュアルは年末に出しているのですが、毎年恒例になるくらい反響の大きな企画になりました。『大阪没物語』は新型コロナウイルスの影響拡大でリーグが中止になったときに私たちのアウトプットまで自粛するのではなく、どうポジティブに方向転換しようか話し合ったところから生まれた企画です」
悪いニュースをどう扱うか?
――大阪エヴェッサは4月2日、選手に新型コロナウイルスの陽性反応が出たと公表しました。その後、他選手やチーム関係者にも感染が判明し、全員の退院・自宅療養解除のリリースが4月27日でした。悪いニュースをどう扱うのか、広報として気をつかうところだと思います。約1ヶ月のあいだ、田中さんが最も意識していたことはなんですか?
「プライバシーを重視したこと以外は包み隠さず真摯に発信することを心がけていました。また、今はSNSでなんでも拡散されるので、とにかく発信するスピードを重視していました。長いシーズンを戦っていれば、ネガティブなことは必ず起きます。今回のコロナウイルスに関しては本当にたくさんの方に心配とご迷惑をかけてしまったのですが、この経験を糧にエヴェッサらしくどうポジティブにもっていくか、今シーズン突き詰めていく部分です」
いつでも「最高です!」の合田選手、意外な素顔は?
――今シーズンのキャプテンに決まった合田怜(ごうだれい)選手は、コートに立つと会場が沸く人気選手です。田中さんから見て、合田選手はどんな人ですか?
「合田選手は2月初旬に怪我をして、それ以降試合に出ないままリーグが中止になりました。彼自身、すごく悔しさの残る昨シーズンだったと思います。今は、その悔しさを糧にリハビリと練習に取り組んでいるのがよく分かります。昨シーズンのチームでは年上の先輩が多くて弟っぽい存在だったのですが、今シーズンはアイラ・ブラウン選手を除いて日本人選手では最年長です。合田選手が後輩を従えている感を出していて(笑)、それがすごく新鮮です。先輩感が面白い……と言ったら合田選手に怒られますが(笑)、昨シーズンとは雰囲気が全然違うんです」
「合田選手は『最高です!』という決め台詞があるのですが、ファンのみなさんはそういうコートでの合田選手を見て、明るくて面白くて口が達者な“THE 大阪人”というイメージを持っていると思います。ただ、練習中は本当に真面目でストイックな人です。自主練も遅くまで寡黙にシュートを撃ち続けている。そこのギャップは、合田選手の意外な素顔かもしれません」
本場のバスケを知る角野亮伍選手はどんな人?
――新加入の選手で、今シーズン注目の選手は誰ですか?
「みんな個性豊かで選びきれませんが、ファンの皆さんの反応が大きかったのは、角野亮伍(すみのりょうご)選手ですね。高校卒業後にアメリカへ渡って5年間、本場のバスケを経験してきた選手です。日本で、しかも大阪で角野選手のプレーが見られるという喜びの声は多かったです」
「角野選手は、会って話すまではクールで人見知りする選手かなと思っていたのですが、実は全然違って、突っ込むとノッてきてくれるし、聞けば何でも話してくれる。意外と人懐こい選手です。挨拶動画を撮るときも、『大阪だから面白くしないとだめですか?』と聞いてくれる選手で(笑)、素直な人だなと感じました」
エンタメの宝庫で、大阪エヴェッサは
――大阪には圧倒的に人気のプロスポーツチームとして阪神タイガースがいるし、他にもオリックス・バファローズ、セレッソ大阪、バレーでもパナソニックパンサーズなど人気チームが多いです。この中で大阪エヴェッサはどんなふうに存在感を出していこうとしていますか?
「大阪はスポーツに限らずエンターテインメントに溢れていて、ユニバーサルスタジオも吉本興業の劇場もあります。その中でエンタメのトップに立つのは難しいですが、きっかけはなんであれエヴェッサを知って好きになってくれたらいいと思っています」
「バスケの試合は2時間しかなくて、その2時間のために私たちのホームがある舞洲まで来てもらうのはハードルが高いんですね。であれば、試合の日は1日中エヴェッサで楽しめればいい。私たちは、試合の2時間をピークとして、試合の前後もエンタメの一つとして演出をしています。アーティストを呼んで試合直前までライブを楽しめるようにしたり、舞洲に拠点を置くオリックス・バファローズとのコラボ企画をしたり、試合ごとにコンセプトを決めて楽しんでもらえる工夫をしています。野球やサッカーなど関西圏のスポーツチームは本当に大きな存在ですが、まずはエヴェッサそのもののエンタメ性を増していって、他競技のスポーツチームと同じ土俵に立つところからやっていければいいと思っています」
取材・文:石川歩
取材協力・写真提供:大阪エヴェッサ