きれいめコーデにナイキSBスリッポンを採用! 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ・中東泰斗選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.27>
2月8日、10連勝中の千葉ジェッツのホームに名古屋ダイヤモンドドルフィンズがのりこんだBリーグ第22節。スタートから名古屋Dが8-0のランで先行、その後じわじわと千葉が追い上げると、高確率の3Pで名古屋Dがリードするという拮抗した面白い試合を展開しました。
残り3分、53-58と5点ビハインドからの名古屋Dの必死のディフェンスに、ぐっと感情移入したファンは多かったのでは? この試合を通じて気合の入ったディフェンスを続けた名古屋Dが、61-59というロースコアの試合を制しました。会場に詰めかけた5,961人のほとんどが千葉ファンという“どアウェー”で、10連勝中の千葉を破った大金星は、ファンにとっても痛快な試合だったはず。
「あの試合は、チームでやりたいディフェンスができた。あの千葉を59点におさえられたのは、自分たちのディフェンス力を見せられた結果だと思う。今シーズンは怪我人が多くて、彼らが戻ってきてからチームが噛み合うまでのプロセスが必要だったので、負けがこんでいても落ち込むことはなかった。みんなの意識が合えば、絶対に上がっていける、それは信じていました」
年末から天皇杯明けで9連敗するなど、リーグ中盤は波に乗れなかった名古屋D。千葉戦以降は少しずつ勝ち星を増やしていましたが、新型コロナウイルスの影響でリーグが中止。西地区5位でシーズンを終了しました。
今回はリーグが中止する前、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの中東泰斗選手に、靴と服、子どもとバスケのことについて話を聞きました。
グレージャケット、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ・中東選手のお手本コーデ
――今日は、ナイキSB STEFAN JANOSKIのスリッポンを履いてきてくれました。この靴を選んだ理由は?
「服を最初に決めて、このファッションに合うローカットの靴にしました。子どもと出かけることが多いので、動きやすい靴がいい。これはクッション性がよくて、足が疲れないのがいいです」
――今日の中東選手の私服は個性があって、すてきです。“ジャケットをラフに着る”っていうコーディネートのお手本みたいです。
「ありがとうございます。このチェックのパンツが好きで、これを履くためにトップスを選びました。パンツはBEAMS、トップスはGAP、インナーはZARAです」
――事前に聞いたアンケートでは、好きなブランドにルイ・ヴィトンも挙げていました。
「ヴィトンは財布と鞄を使っています。本当はヴィトンの服も着たいけれど、今は子どものものを買うことが多くて、自分は安くていいかなって思う。結婚する前までは良い服も買っていたけれど、今は子どもが優先です」
子どもが生まれて、バスケへの意識が変わった
――中東選手は、1歳6ヶ月の男の子のパパさんです。遠征で子どもと離れるときは、どんなふうに家族のコミュニケーションをとっていますか?
「遠征先から頻繁に連絡を取ります。離れると言っても1週間くらいなので、そんなに辛くはない。ホームの試合は見にきてくれていて、僕が選手だと理解しています。NBAの試合を見ていると、画面を指しながら『パパ・パパ』って言うの。可愛いんっすよ」
――お子さんが生まれて、バスケへの意識は変わりましたか?
「変わりました。守るものが増えて、自分一人じゃないって思いが生まれて、その思いがバスケにも反映されています。自分よりも、チームがどうなるかをすごく意識するようになった。これは僕にとってすごい学びでした」
――もしも将来、お子さんがバスケ選手になりたいと言ったら、中東選手はどうしますか?
「それはうれしいです! 子どもと一緒にバスケができるし、教えてあげられる。僕は小学2年からずっとバスケをしてきて、プロになりました。僕の人生にとって、バスケは本当に大きな存在です」
「バスケはチームスポーツで、みんなが仲良くないと強くなれない。僕は、他人を敬う大切さをバスケから学んだし、そこで人間的にも成長できた。そこには自信があるから、息子もバスケを通じて立派な人間になってほしいと思う。息子にはバスケをしてほしいなと思います」
中東泰斗選手、オンとオフの靴事情
――中東選手は、プライベートで思い入れのある靴はありますか?
「『ナイキ(NIKE)』のヴェイパーマックス<VAPORMAX>はお気に入りです。アメリカで発表された当初は日本で売っていなくて、ずっと欲しいと思っていたんです。アメリカにワークアウトに行ったときに、たまたまヴェイパーマックスを売っていて、即買いしました。あと、sacaiとUGGのコラボブーツを雑誌で見て一目惚れして、どうしても欲しかったんです。初回発売では買えなくて、追加販売情報を待って買いました」
「普段から履くのはナイキが多くて、コルテッツ<CORTEZ>は奥さんと色違いのお揃いを履いています。結婚するとき奥さんに『靴箱が多すぎて収納できないから売って』と言われて、泣く泣く売りに行ったんです(笑)。だから、今はあまりたくさんの靴は持っていないです。奥さんには……もう逆らえないっす。しょうがない(笑)」
――中東選手は、試合ではナイキのズームフリーク1を履いています。このバッシュを選んでいる理由は?
「僕の足は日本人ぽくなくて、幅が狭いんです。ナイキのバッシュはEP(アジア人向けに幅広の型で作られたシューズ)が多いのですが、ズームフリーク<ZOOM FREAK>は幅が細いので僕の足に合う。新しいバッシュを試し履きすると、練習ができないくらい足の裏が痛くなるんですが、ズームフリークは最初からフィットしたんです。色にはこだわりがなくて、なんでも履きます」
「インソールは大事で、今はシダスというブランドのインソールを使っています。足型をとってオリジナルのインソールを作るのですが、バッシュの中で足がずれないようにピタッと僕の足に合わせてくれます。バスケ選手で、このインソールを使っている人は多いと思います」
「どんな試合も、楽しいなって思いながらやっています」
――千葉に勝った次の試合で、名古屋Dはジャスティン・バーレル選手がテクニカルファウルで退場しました。あの退場がなければ、もしかしたら2連勝できたのでは……と思う試合でした。試合を見ていると、レフェリーの判断にカッとなる心境も分かる気がします。中東選手は表情を崩さないイメージがありますが、コートではどんなふうに感情をコントロールしていますか?
「思わぬレフェリーの笛とか、自分のやりたいことがうまくいかないときはムカついてますよ(笑)。でも、バスケは切り替えの早いスポーツだし、一度吹かれた笛は取り消されないので『まあ、いっか』って考えます。僕は楽観的なので、自分のプレーがうまくいかなかった試合も、次の日には忘れるようにしています。これ、本当はダメなことかもしれないけれど(笑)」
「ダメなところを思い出して落ち込むよりも、次の試合で取り返すために何をすればいいか考える。終わったことは、もう取り返しがつかないじゃないですか。それでも、ダメだったことを引きずっちゃう人もいると思うんですけど、僕は『次だ、次!』って考えられます」
――7歳からずっとバスケをしている中東選手に質問です。こんなに長いあいだ、バスケを続けられている理由はなんですか?
「点がたくさん入るのって、やってるほうも楽しいんです。見てるだけだと分からないと思うけど、すごく細かいチームルールがあって、戦術を元にした一瞬の判断が常に求められる。その判断を間違えばミスだし、判断がハマると得点につながる。その一瞬の駆け引きが楽しい。バスケの楽しさは、その瞬間に尽きます。僕はもう、そこが楽しくて楽しくてやめられない。どんな試合も、楽しいなって思いながらやっていますよ」
アウター:GAP
インナー:ZARA
パンツ:BEAMS
シューズ:NIKE
中東選手の話を聞いていると、どんな状況も楽しいと思えることが才能なのだと思います。Bリーグの試合が中止になって考えるのは、バスケの試合会場はそこに集まった人たちの「楽しい」と「好き」が詰まった空間だったということ。
来シーズンのBリーグは、20チーム・東西2地区制で10月開幕が発表されています。今は先の見えない不安な状況が続きますが、ポジティブな感情が原動力になっているものごとには、底力があるはず。20チームが揃って次シーズンをむかえ、みんなであの「楽しい」が詰まった会場に行ける日まで、心身ともにパワーチャージしておきましょう。
取材・文:石川歩
撮影:藤原萌
協力:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
※この記事は、2月に取材したものです