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ピンクスニーカーに合うファッションは? アルバルク東京 ザック・バランスキー選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.40>

2021.12.15

2017-18シーズンからスタートした当連載が40回目を迎えました! 今回は特別編として、ピンクリボン活動に賛同し、毎年10月にピンク色のバッシュを履いてピンクリボンの啓発活動をするアルバルク東京ザック・バランスキー選手に話を聞きました。ファッション面ではピンクスニーカーを取り入れるコーデ術を、ピンクリボン活動については社会的責任活動をするワケや外国籍選手と日本人選手の活動の捉え方の違いなど、普段はなかなか聞けないことを話してきました。

アメリカ出身のザック選手は栃木県生まれ、4~10歳までアメリカで過ごしたあと日本に在住しています。東海大学を経て2015年にトヨタ自動車アルバルク東京(現アルバルク東京)に入団、以来同チームで戦っています。

ピンクスニーカーに合うファッションは? アルバルク東京 ザック・バランスキー選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.40>

©ALVARK TOKYO

ピンクのスニーカーは履くだけでおしゃれになる

――今日は”ピンクスニーカーに合うファッション”とドレスコードを提示させていただきました!

「私服で履くピンクスニーカーは3足持っていて迷ったけれど、『アディダス(adidas)』のハーデン5<HARDEN VOL.5>を履いてきました。デニムはAmerican Eagleで、ブルゾンはAVIREXです。AVIREXは昔から好きなブランドで買っていたのですが、今シーズンからチームのスポンサーになってくれたんです! 一人でめちゃくちゃテンションが上がってたら、アレックス・カーク選手も好きみたいで『AVIREXがスポンサーになってくれたね!』って連絡がきました」

ピンクスニーカーに合うファッションは? アルバルク東京 ザック・バランスキー選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.40>

「僕の中では、今日の服装はシンプルです。でも、他の人から見たら派手だと思うのかな? 普通にはなかなかしない服装かもしれないけれど、僕は人とかぶらない服装をしたいんです。別に人とかぶるのが良い・悪いではなく、みんなが一緒だとつまらないって思うので。デニムをソックスの中にインするのも、僕はそうしたほうが落ち着くからやっています。人とは違うけれど自分の中での普通、それが僕はシンプルだと思います」

ピンクスニーカーに合うファッションは? アルバルク東京 ザック・バランスキー選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.40>

――ピンクのスニーカーはモノとして見ると可愛いのですが、ファッションに取り入れようとすると難しいです。

「ピンクのスニーカーって履くだけでおしゃれになると思うんです。例えば全身黒の服装って、誰でも迷わずに決められるし似合う。全身黒の服にしてピンクのスニーカーを履いたらおしゃれだと思います。セットアップの黒いスウェットでもいい、そういう服装こそピンクが生きる。スニーカーだけ見ると『この靴に合う服装は何だろう』と考えるかもしれないけれど、意外とみんなが持っている服のままで大丈夫だと思います」

――Tシャツのワンポイントもピンクですね。

「ピンクリボン活動でグッズ展開をしたTシャツで、ワンポイントは僕が初めてピンクバッシュを履いた時の靴がモデルです。足のサイズが32センチでなかなか合うピンクバッシュが見つからなかったのですが、自分でカスタマイズできるバッシュが見つかってピンクを作って履いたのがピンクリボン活動の始まりです」

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「僕は、子どもの頃にアメリカのバスケ・アメフト・野球などプロスポーツ選手がピンクシューズを履いているのを見てきました。スポーツ選手だけでなく、毎年10月はアメリカ全体でいろんな人が自分のフィールドでピンクリボン活動を広めようとしていました。幸せなことに、僕の周りに乳がんにかかった人はいません。でも、人生の中でお母さん・お姉ちゃん・奥さんなど大事な女性が多いから、乳がんになる前に検査をしてほしい、乳がんになってほしくないという思いからピンクのバッシュを履くようになりました」

田中大貴選手をうまく使わないといけないですね(笑)

――身近な人への思いが、ザック選手のピンクリボン活動の源になっているのですね。

「最初はチームとして何かやるのではなく、個人的にピンクバッシュを履いて、それを見た人がピンクリボンというものがあると知ってくれたらいいと思ったんです。本当に小さな思いです。だから最初は何も言わずにピンクのバッシュを履いていただけでした」

ピンクスニーカーに合うファッションは? アルバルク東京 ザック・バランスキー選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.40>

©ALVARK TOKYO

――周りの選手たちの反応はどうでしたか?

「『なんでピンク履いてるの?』『派手だな』『ユニフォームと色が合わないよ』とか、僕が子どもの頃にアメリカでピンクリボン活動をする選手に対して感じた疑問を持っていました。その中でも外国籍選手はピンクリボン活動を理解している人が多くて、『良い活動だよね』と言ってくれた選手が多かったです」

――ピンクリボン活動は近年日本での認知度が高まってきたところだし乳がんは女性に多い病気でもあるので、知らない日本人選手が多いのは仕方ないかもしれません。あと、外国籍選手は社会的責任活動について元々『やるものだ』という意識を持っている気がします。

「僕が個人的にアメリカと日本で違うと感じちゃうのは、アメリカのいわゆるスター選手は自分から社会活動をやって積極的に発信するのですが、日本のスター選手が積極的に活動するのかというとあまり想像がつかないですね。日本でも影響力のあるスター選手がやり始めたら一気に変わっていくのかなとは思います」

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「僕はリーグ内でそんなに影響力があるわけではないから、すごく影響力のある田中(大貴)選手をうまく使わないといけないですね(笑)。今年はピンクリボン活動に興味を持って『一緒に写真を撮ろう』と言ってくれてSNSにも上げてくれました。まずは身近な仲間からどんどんプッシュしていこう。田中選手にはこの後すぐに『やろうよ』と言っておきます(笑)。ピンクリボンじゃなくてもいい、彼が好きな活動で何かやってもらえたら嬉しいなと思います」

「純粋に活動のやり方が分からない選手もいるかもしれません。僕もフロントスタッフの方に手伝ってもらっています。選手がチームと一緒にやるのはすごく良いと思うんです。それを自分がどうプロデュースしていくか? チームがメインでやってそこに選手が協力するか、選手がメインにやってチームが後押しをしてくれるのかで活動の密度は全く変わってくると思います」

社会的責任活動で大事にしていること

――2018-19シーズンから始めてザック選手のピンクリボン活動は4シーズン目です。手応えはありますか?

「今シーズンは小島元基選手やジョーダン・テイラー選手など、チームメイトがピンクバッシュを履いて一緒に試合に出てくれました。他チームだと同期の晴山ケビン選手(富山グラウジーズ)、千葉ジェッツの佐藤卓磨選手も履いていました。例年よりもみんなが一緒になって活動を広げてくれた感覚があります。
ただ、うーん……”手応えがある”という言い方は違うかもしれない。もともと自分の大切な人たちへの思いから始まった小さな活動でこんな大きな形になるとは思っていなくて、今とても嬉しいんです。でもこれからも、固くなりすぎず自分らしくラフに発信していけたらいいと思っています」

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©ALVARK TOKYO

――例えば、Bリーグ全体でピンクリボン月間に一斉に選手がピンクバッシュを履いたら社会的インパクトになると思うんです。でも、ザック選手が描くピンクリボン活動の未来はそういうことではない?

「悩ましいです。個人的にはリーグ全体でやったらいろんなところまで広がると思う一方で、きっと実現までに時間がかかるだろうとも思います。知り合いの選手に声をかけて一緒にやろうと言ったほうが、結果的に早くいろんなチームに広がるかもしれないですね。それに、大きく広げるって大事だけれど、もし全体でやるからただピンクを履く選手がいたらメッセージ性が薄まる気もしますし。想いをこめてやるほうが、届く人には届くのかなと思います。そう考えると、乳がんは女性がかかる確率が高いので、Wリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)と一緒にやるのもいいかもしれないですね」

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――ザック選手が大事にしているのは、“個人の思いがのっているかどうか”なのですね。

「自分が興味を持っていること、好きなことをどう社会に返していけるか。ピンクリボンは自分の周りの大切な女性を守りたいからだし、ザックサンタ(※)は個人的にクリスマスが大好きだから自分が好きな日に子どもの笑顔がひとつでも増えたらいいと思って始めました。『何かやらなきゃいけない』ではなくて、自分の好きなことをどう社会的責任活動に変えていけるか考えるのが一番やりやすいと思います。誰でも、自分の好きなことを話したり、発信したりするのは楽ですよね」

――そうですね。とても同意する一方で、日本人の価値観として『言わないかっこよさ』『実はやっていたかっこよさ』ってありませんか?

「そうですね……思っていても口にしないことはありますね。僕はもっとみんなが思っていることを発信していけばいいと思います。僕もSNSでかっこいい写真を載せたいけれど……かっこいいところだけ見せようとする人が多いのかな……? SNSは自己満足の世界で自分の好きなものをアップできる場所だから、周りの目を気にせず発信したいことを言った方が見てくれている人も楽しんでもらえるんじゃないか。昔から、全体的にみんながいろんなことを発信していけたらいいなとは思っています」

ピンクスニーカーに合うファッションは? アルバルク東京 ザック・バランスキー選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.40>

「僕は、単純にバスケット選手で終わりたくないという思いがあります。せっかくBリーグという多くの人が見てくれる舞台にいるから、バスケット選手だけではもったいない。僕自身、小さい頃にいろんなプロ選手を見て憧れていました。アスリートってけっこうヒーロー的な存在になれると思うと、影響力も発信力もあるなかで社会活動をするのは良いと思います。プロ選手は応援してくれる人がいないと成り立たない職種なので、社会活動をすることが自分の価値を上げる側面もあります。それに、活動をすることで個人的な価値観も広がると思うんです」

※ザックサンタ 2020年のクリスマスにザック選手が行った活動。立川市ひとり親家庭福祉会『立川みらい』の子どもたちに、ザック選手からクリスマスプレゼントが寄贈された

ピンクスニーカーに合うファッションは? アルバルク東京 ザック・バランスキー選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.40>


トップス:AVIREX
インナー:アルバルク東京ピンクリボンチャリティーTシャツ
パンツ:American Eagle
シューズ:adidas

取材・文:石川歩
写真:白松清之
取材協力:アルバルク東京

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