「知らない街で仲間と一緒に走る」から得られる「数えきれないメリット」
最近1~2年間のスポーツの実施について調べたところ、「ランニング・マラソン」が1位となりました。これは、マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した調査の結果で、2022年12月、全国47都道府県に在住する20~69歳の男女2,500人を対象に「スポーツに関する調査(2022年)」を行ったもの。「ランニング、マラソン」に続き、「ゴルフ」「フィットネス、ヨガ」「ハイキング、登山」などが上位にランクインしています。20~69歳の現在の現役世代において、走るということは非常に身近なものであることがうかがえます。
そんな結果を受けながら、「なぜ、私たちは走るのか」を考え、仙台国際ハーフマラソンを走ってきました。レース用として採用した、サッカニー(SAUCONY)『エンドルフィン エリート<ENDORPHIN ELITE>』も、良い仕事をしてくれました。
ランニングが勉強・仕事に与える好影響とは
筆者は男性フリーランス・ライターの一人。コロナを経て、打ち合わせ・取材といった日々の仕事の多くがオンライン化され、移動時間の短縮から可処分時間が増えました。会社員時代よりもフレキシブルな働き方ができていると思います。一方で、自身の時間の使い方について、メリハリある姿勢が求められることも。朝型体質ゆえに、集中力のピークは午前中に迎えます。ですので、惰性のままで過ごしていて、気づいたら夕方となっては、高いパフォーマンスが発揮できません。
そこで導入しているのが、前出の「ランニング・マラソン」。長い距離を速く走ることとは無縁ではあるのですが、毎日、コツコツ走ることを目指しています。1日の平均距離は4〜5km。仕事の前後や間に走っています。
ここで一つ、アメリカのある学校で導入されたランニングにまつわる成果をご紹介。脳と運動との関係を分析した専門書『脳を鍛えるには運動しかない』(ジョン J・レイティ、エリック・ヘイガーマン NHK出版)によると、イリノイ州のとある学区が、『0時間体育』を導入したのです。これは、授業開始前にランニングを実施するといったもの。
その始まりは朝の7時。グラウンドに集合した生徒らは、心拍数を計測しながら走り出します。設定は心拍数185以上。決して競争するわけでもなく、皆、自分の心拍数と向き合いながら走るのです。一般的に最大心拍数は、220から実年齢を引いたものと言われています。運動負荷を徐々に上げていき、もうこれ以上がんばれない時の心拍数ですね。
同書によると、学生たちは健康を手にいれるだけでなく、勉強面においても良い成果を得たと言います。脳に良い影響があったのです。授業前のランニングを導入したネーパーヴィル・セントラル高校では、学期の最後に行われたリテラシー力(読み書き)と理解力のテストでは、成績が17%向上したのです。普通の体育のみの参加の生徒も10.7%向上しているのですが、それ以上の効果が発揮されたのです。また、同校の生徒が世界の約23万人が参加するTIMSS(国際数学・理科教育動向調査)でも、数学で世界6位、理科では世界1位と好成績をおさめたのです。下記のように解説されています。
「近年の研究によって、運動が生物学的変化を引き起こし、脳のニューロンを結びつけることがわかったからだ。脳が学習するには、そうした結びつきが作られなければならない。逆に言えば、脳はそのように新しい結びつきを作れるからこそ、変化に対応できるのだ。神経科学者がこのプロセスについて探究するうちに、運動がなによりの刺激となって、脳は学習の準備をし、意欲をもち、その能力を高めることがわかってきた。とくに有酸素運動は『適応』に劇的な効果を及ぼす。」(書籍『脳を鍛えるには運動しかない』より)
「有酸素運動がダイエットに良い」、そのような話はいくつも聞いてきたものの、脳にも好影響を与える可能性があるのであれば、なおのことこの趣味を継続していきたいものです。
遠くの地域でレース参加することの意外なメリット
さて、今回は東京から仙台に場所を移して、仙台国際ハーフマラソンに出てきました。仙台在住の男友達と久しぶりに会い、一緒に走るのです。普段は東京のお気に入りのランニングコースを複数走り分けているのですが、初夏の仙台は緑が多く、非常に走りごたえあるロケーションでした。実は、「意図的に違った道を走る」ということは、これも脳に良い影響を与える可能性があるのです。
書籍『走れば脳は強くなる』では、ロンドンに住む一般市民とタクシー運転手の海馬を調べた結果が掲載されています。すると、一般市民よりも、タクシー運転手の方が海馬の神経細胞の数が多いことが判明。また、30年以上のベテラン運転手ともなると、一般市民よりも20%も多いというのです。
ロンドンという大きな街において、網の目のように張った道は、約2万4000以上とも言われています。その全てを覚え、お客さんの要望にあったルートをその都度、繋ぎ合わせる作業は、脳に刺激を与えるのです。毎日のように新しいことに挑戦する環境は、記憶や見当識のトレーニングになって海馬を刺激するんですね。今回は、ピンポイントで仙台でのランニングになりましたが、出張時にランニングシューズを持ち込んで、知らない街を走るのも良さそうですね。
ハーフマラソンでの記録更新を手伝ったシューズ
今回、仙台の街を一緒に走ってくれたシューズが、サッカニー『エンドルフィン エリート』です。2023年で記念すべきブランド創立125周年を迎える同メーカー。そんなサッカニーから、最も軽量かつ高速でエネルギー効率が高い最新の高機能シューズとして登場したものです。
搭載されているカーボンファイバープレートは、レースを前向きに引っ張ってくれます。着地時に跳ね返るカーボンにより、前へ、前へと足が自然と回転。スライドが伸びていることを実感できるでしょう。また、 “PWRRUN(パワーラン)HGミッドソール”を搭載で、バネ感を得ながら、足元はソフトに包まれている感覚も。さらに、メッシュ効果で足の熱を放出してくれるので、走ることだけに集中させてくれる頼もしい一足です。開発に約4年の歳月を費やしたというエピソードにも頷けます。
個人的には、タイムや距離といった数字に(過剰に)こだわらない走り方が合っているのですが、2019年に続く同レースへの出場。気づけばタイムもしっかり縮まっており、そうなると嬉しいもの。普段のランニングとは使い分け、こうやってレース用に持っておくことで、ランニングのモチベーションを継続できますね。ハレの日のシューズとして重宝しそうです。
海外からの参加者もおり、澄み渡った青空のように、とても気分の良いレースとなりました。
最後に、「飲み会を終えて元気になっていることがある」と語ったのは、書籍『人は話し方が9割』をはじめ、書籍累計発行部数385万部を超える永松茂久さん。書籍『男の条件』の中で、元気になる共通点を「“男”と飲むことができた時」と分析しています。つまり、同じ志をもって、前向きに歩んでいる者と飲んだ時というのです。
「うまく説明できないが、ただ大騒ぎして楽しいときとは違う、深い何かが共鳴し合ったときのうれしさは言葉では表現することができない。こんな男と過ごせる感動は、自分の中でずっと続く」(書籍『男の条件』より)
このご意見に頷けるのは、同じランナーとして、厳しいレースに挑むことで、“共鳴”を感じることができたのです。「無礼講だ!」と言って、羽目を外した酒の出来ではなく、当日のレースやお互いの日々を話すことで、想像以上のエネルギーを与えてもらえるのです。当然、ハーフマラソンを走った後ですので、身体は悲鳴を上げているものの、こうやって(男女問わず)同志と共鳴することの素晴らしさは、明日への活力になります。そういう意味では、なかなかランニングはやめられない。そんなシンプルな想いに立ち返った、今回の仙台国際ハーフマラソンでした。