宇都宮ブレックス遠藤祐亮選手、エアジョーダン1争奪戦にも勝つ。<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.32>
新型コロナウイルスの影響拡大で選手との対面取材がかなわない今、オンラインでなら話したい選手に会える! ということで、反響の大きかった記事から、過去の取材で載せられなかった写真とオンライン取材による特別編をお届け。
今回は、これまで公開した記事のなかで、最もアクセス数が多かった宇都宮ブレックスの遠藤祐亮(えんどうゆうすけ)選手に、オンラインで話を聞きました(6月25日取材)。
遠藤祐亮選手、引き続きエアジョーダン愛が止まらない
――画面で見えている真っ白のTシャツが爽やかで、すてきです! 遠藤選手は今回、エアジョーダン1のロイヤルトゥ<Air Jordan1 Royal Toe>を履いてきてくれました。前回のエアジョーダン4に引き続き、エアジョーダン好きが続いていますね。
「TシャツはPRO CLUBで、パンツはROTHCOというブランドのカーゴパンツを履いてきました。僕はずっとジョーダン1が好きで、今日持ってきたロイヤルトゥが出るって知ってすごく欲しかったんです。けっこう争奪戦でしたが、抽選で当たって嬉しくて履いてきました。エアジョーダン1は、どんな色でも新しいモデルが出るとテンションが上がります」
――先日、鵤誠司選手に話を聞いたら、自粛中にジョーダンを5足大人買いしたと言っていました。
「誠司は最近ジョーダンにハマりだして、『あのシューズが買えた』『次はあれが出るね』とか情報交換をしていて、自粛中に誠司から『エアジョーダンが買えました』とLINEがきました。5足というのは、たまたま抽選が続けて当たっちゃったみたいです。こういうふうに、まとまって買えちゃうときがあるんですよ。僕は6月がそういう時期で、ジョーダン6と13、エアマックスの迷彩が当たりました」
――ジョーダンがどんどん増えていますね(笑)。Bリーガーに話を聞いていると、多くなりすぎると奥さんからクレームがくるという話も出てきます。
「僕は、基本的に買う前に奥さんの許可をもらうんですが、当たっちゃうとね。“当たっちゃったから買わざるを得ないよね”という空気に持っていって買います(笑)。他にスニーカー仲間は、ブレックスだと田臥(勇太)さんがスニーカー好きです。あと、喜多川(修平)選手が『マイケル・ジョーダン ラストダンス(2020年4月公開)』を見てジョーダンのシューズが欲しくなったみたいでいろいろ話しました」
――『ラストダンス』は、マイケルジョーダンの主にシカゴブルズ最終シーズンにフォーカスしたドキュメンタリーですが、遠藤選手はプロバスケ選手としてこの作品をどう見たのですか?
「選手としての考え方はプレーを見ているだけでは分からないので、世界のトップ選手がプレー中に何を考えていたのか、どんなメンタルでやっていたのかを知れてすごく面白かったし、勉強になりました。勝ちたいという気持ちとか、練習への取り組み方は共感できる部分があったけれど、話のスケールが大きすぎて自分ごとのようにはピンとこない部分も多かったです」
怪我をした遠藤祐亮選手が、バッシュについて考え直したこと
――この連載の第20回で出てくれた小野龍猛選手が、『遠藤選手のバッシュに注目している』と話していました。龍猛選手からそんな視線は感じていましたか?
「僕は、けっこうBリーガーのみんなが履かないバッシュに手を出すことが多いので、それで見てくれたのかなと思います。小野選手には、試合のときに『一番履きやすいのは何?』って聞かれた記憶があります。そのときは、ナイキ・コービー1を履いていたと思うんですが、『これ履きやすいっすよ』って答えました」
――遠藤選手が、どんなバッシュを履いているか気になるBリーガーはいますか?
「(サンロッカーズ渋谷)ベンドラメ(礼生)選手かな。あとは、(千葉ジェッツ)コー・フリッピン選手はジョーダンのレトロなシューズを履いているイメージがあります。日本人選手でそういうシューズを試合で履く人はいないので、履きやすいのかな? と思って見ています。僕はジョーダンのレトロなシューズは外履きでしか履かないので、それを試合で履くのはかっこいいなって思いますね」
――2020-21シーズンも、遠藤選手のバッシュには注目ですね。
「日本人選手は、外靴のイメージがあるシューズを試合ではあまり履かないので、今シーズンはちょっと履いてみようかなと思います。でも、やっぱりやめたって履かなかったらすみません(笑)」
「今までは、レブロン・ジェームズのモデルが好きで履いていたんですが、昨シーズンそれを履いていたときに捻挫してしまいました。僕は、基本的に見た目の好みでバッシュを選ぶことが多かったのですが、怪我をしてからは軽さと自分の足にフィットしているかどうかを優先して選ぶようになりました。今はカイリー6<KYRIE 6>を履いていて、今のところ調子がいいです」
――中学からバスケを本格的に始めた遠藤選手に質問です。歴代で一番好きなモデルはなんですか?
「高校のときに履いていた、『ナイキ(NIKE)』のズームフライト5<ZOOM FLIGHT 5>かな。それまではアシックスとか日本のバッシュしか履いたことがなくて、初めて履いたナイキのクッション性にびっくりしたのがズームフライト5でした。それから高校時代はずっとフライト5を履いていましたね」
宇都宮ブレックス、ダイエット事情
――Bリーグはコロナの影響で2019-20シーズンが中止になり、思いもよらないかたちでシーズンが終了しました。遠藤選手はこの長いオフシーズンをどんなふうに過ごしますか?
「自粛でけっこう休んだので、これからチームが始動するまでに体をつくりたいと思っています。個人的にこのオフシーズンで取り組もうと思っているのは、点を取るバリエーションを増やすこと。これまでは偏ったプレーで点を取っているイメージがあったので、バリエーションを増やせるように自粛明けから意識して練習しています。あと、実は昨シーズンが始まるときに体重が増えていて、体が重くて思うように動かなくて、それで怪我もしたので、今シーズンは体重管理をしっかりしていきたいと思っています」
――最近の遠藤選手は、朝食にオートミールを取り入れているという記事を拝見しました! あと、鵤選手は夜ごはんに炭水化物を抜く『OL風ダイエット』をしていると言っていました。
「朝ごはんをオートミールにしたら体重が減ると思っていたんですけど、そんなに減らなかったです(笑)。昨シーズンに怪我をしてから運動量が減ったというのもあって、僕も夜はほとんど炭水化物を食べていないです。子どもたちが残したごはんを食べるくらい。でも、誠司の方法はリバウンドする痩せ方なんで(笑)、僕は普通に食べて体をつくっていければいいと思っています」
「すべて田臥さんのおかげなんです」
――遠藤選手は、自主練を始めたと聞きました。自粛生活が明けて初めてバスケの練習をしたときは嬉しくなるものですか?
「うーん、そんなに『やったー! バスケができる!』という感じでもなかったですね(笑)。それよりも、『やっと体を動かせるな』という感じ。自粛中も自宅でバスケ以外のトレーニングはしていたので、思っていた以上に動けるなという感触でした。シュート感覚がそこまで鈍っていなくて、変化を感じたのは心肺機能くらい。自主練をはじめたころは、すぐに息が切れていましたね」
――前回のインタビューで印象に残っているのが、「ブレックスは本当に仲が良いからこそ、何でも言い合えるチーム」という言葉です。どんな組織も仲が良くなるほど“なあなあの関係”になる部分があって、ピリッと緊張感を持ちつつ、本当に仲がいい組織を保つのは難しい。この良質な関係がブレックスの強さに関わってきていると思いますが、遠藤選手はメンバーとして振る舞いに気をつけていることはありますか?
「ブレックスのそういう空気をつくってくれているのは田臥さんと渡邉(裕規)さんで、そこにみんなが乗っかって、年上の人に対しても意見を言える雰囲気になっています。ブレックスには、そもそもそんな空気をつくってくれている人がいるんですよ。田臥さん以下のメンバーはそれに乗っかるというか……すべて田臥さんのおかげなんです。」
「僕は人の意見を聞きつつ、自分の意見を軽く言うくらいのポジションがいいと思っています。ブレックスは2年前にメンバーが変わって、僕は副キャプテンになって、それをきっかけに意見を言うようになった。最初の頃は、副キャプテンでもみんなに何かを言う行動がしっくり来ていなかったんです。でも、立場上言わないといけないと思って行動しているうちに、自然に発言するようになっていきました」
――今回、対面取材ができないあいだの企画として、反響が大きかった過去の記事をアクセス数順にカウントダウンしてきました。遠藤選手がアクセス数1位で、これは多くのブレックスファンが読んでくれた結果です。最後に、遠藤選手がブレックスファンの底力を感じたエピソードを教えてください。
「2月に川崎(ブレイブサンダース)とのホーム2連戦の2戦目で勝ったときですね。開幕で川崎に2連敗して、前日の試合も負けて、本当に悔しくて絶対に勝ちたかった。2戦目はファンの皆さんも僕たちと同じ気持ちで試合に挑んでくれて、最初から最後まですごい声援をおくっていただいた。あの試合は本当にタフでしたが、ファンの皆さんの声援があったからこそ最後に力を振り絞ることができました。相手チームからしたらずっと嫌だと感じる雰囲気だったと思うし、ファンの皆さんがいたからこそ勝てた試合だったと思います」
文:石川歩
写真:白松清之
取材・写真協力:宇都宮ブレックス