サッカニー『ミュータント コレクション』の物語【サッカニー担当者がランニングシューズを語る】
シューズの数だけ物語がある。また、そのシューズを履く人のこだわりが加わると、さらに物語は奥行きあるものになります。
普段から多くのシューズに触れているABCマートの担当者に、お気に入りのシューズについて聞くと、思いがけないエピソードがこぼれてきました。珠玉のシューズ、今回は『サッカニー(SAUCONY)』のミュータント コレクションです。
今回は、株式会社エービーシー・マートの三重野雄介さんが、100年以上続くアメリカ最古のアスレチックブランドであるサッカニーの、ワイルドなルックスが斬新的な一足について語ってくれました。
株式会社エービーシー・マート
三重野雄介さん
選りすぐられたモデルのカラーパッケージ
――『ミュータント コレクション』には、どんなスニーカーがありますか?
サッカニーが誇る数多くの高機能ランニングシューズの中から、選りすぐられたモデルのカラーパッケージとして2020年秋冬シーズンに発売されるミュータント コレクション。
中でも注目すべきは、現在多くの話題を集めている厚底ランニングシューズ、エンドルフィン シフト<ENDORPHIN SHIFT>と、サッカニーの代名詞とも言える万能型トレーナーシューズ、キンバラ11<KINVARA 11>の2モデルです。
全てのランナーを速くしたい
――『エンドルフィン シフト』は、どんなスニーカーですか?
まず、エンドルフィン シフトは、サッカニー初の厚底シリーズである、エンドルフィン コレクションのコンフォートスタビリティモデルになります。
エンドルフィン コレクションは、「全てのランナーを速くしたい。」というシンプル且つ大胆なテーマを掲げ、プロダクトチームとサッカニーが契約するサッカニーアスリート双方が、実に18ヶ月にも及ぶトライアル&エラーを重ね、愚直な努力によって生み出されました。
・カーボンプレート搭載のエンドルフィン プロ<ENDORPHINE PRO>
・ナイロンプレート搭載のエンドルフィン スピード<ENDORPHINE SPEED>
・安定感に優れるコンフォートスタビリティモデルのエンドルフィン シフト<ENDORPHINE SHIFT>
上記3モデルで構成されており、ランナーの様々な用途に応じて、それぞれのモデルが対応するラインアップとなっています。中でも、エンドルフィン シフトは幅広いシーンで活用でき、エントリーランナーにもおすすめできるほど気軽に履けるモデルです。
エンドルフィン シフトの大きな特長は、コレクションの他2モデルと異なり、プレートを搭載していないという点です。その代わりに、ミッドソールにはクッショニング素材『パワーラン(PWRRUN)』を、厚みと硬さを少し増した状態で搭載しています。そうすることで、着地の際の衝撃を和らげつつも過度の沈み込みを抑え、抜群の安定感を与えるのです。
また、ヒールカウンターに採用されているTPU素材によって、ホールド感を高める仕様にすることで、エンドルフィン シフトならではのサポート性の高さを実現しています。そのため、速さを追求するプロとスピードに対し、シフトはデイリーランやトレーニング用としてはもちろん、トレーニングの合間のクールダウンを目的とした調整用として、あるいはイージーランからウォーキング用としても活用出来る多様性に優れた万能型シューズとなっています。
その一方で、着地から蹴り出しまでの動力を効率的に推進力へと変換するコレクション共通のスピードロールテクノロジーにより、一歩一歩に驚異的な推進力を与えるのも大きなポイントです。
今やプレートの搭載や厚底仕様が主流となり、多くのブランドがひしめき合う群雄割拠時代に突入したランニングシューズ業界において、今回サッカニーが投じた一石は、多くのランナーに対し大きな反響を与えました。
コレクションとしても、サッカニーとして初のカーボンプレート搭載モデルとなったエンドルフィン プロはものの数分での完売しました。エンドルフィンスピードにおいては、ランナーズワールド エディターズチョイス賞を受賞。私のようなファンランナーにも新しい『速さ』の感覚と履き心地を提供してくれるエンドルフィン シフトは、知り合いにもついついお勧めしてしまうほどの一足です。
履き心地も良く、軽くてスピードが出せるシューズ
――『キンバラ11』は、どんなスニーカーですか?
エンドルフィン コレクションが大きな反響を呼んでいる一方で、サッカニーのランニングシューズの代名詞ともいえるアイコンモデルであるキンバラも、ここにきて人気が再浮上しています。
そもそもキンバラ誕生のきっかけは、2008年のある日、サッカニーアスリートでトライアスロニストのリンジー・コービン(Linsey Corbin)が、当時のサッカニーのデザイナーであるクリス・マホニー(Chris Mahoney)に対し、「トライアスロンの長距離走で使える履き心地も良く、軽くてスピードが出せるシューズが欲しい。」とリクエストしたことでした。
試行錯誤の末、無駄なものが削ぎ落とされ洗練された軽量化デザインと、4mmオフセット(踵からつま先までの高低差が4mm) の先駆けモデルとして、2009年に初代キンバラが誕生しました。
その後もキンバラは年月を重ねるごとにアップデートされていき、今回で11代目となるキンバラ11より、新クッショニングシステム、パワーラン(PWRRUN)と、新フォームフィット(FORM FIT)を搭載し、更なる進化を遂げました。
用途や目的によってシューズを使い分け
――『エンドルフィン シフト』『キンバラ』どのように履き分けるのがオススメですか?
厚底シューズのエンドルフィン シフトと比較した際に明らかとなるキンバラ最大の特長は、自力を使ったナチュラルな走りを促すこと。つまり、トレーニング効果が高く反映されるということなのです。
厚めのソールにより、高いクッション性と反発性を生み出すエンドルフィン シフトは、サポート的な役割を果たすのに対し、キンバラ11は必要最低限の機能を用いたトレーナーモデルとしてのポテンシャルを有し、より効率的なトレーニングが期待できます。
両モデルともに汎用性に長けており、様々なシーンでの活用が可能ですが、癖が無くナチュラルな走りを好まれるランナーにはキンバラがしっくりくるのではないかと思います。
用途や目的によってシューズを使い分けることも大事ですね。
運動不足解消のためにもランニングを
――『エンドルフィン シフト』『キンバラ』のストーリーを教えてください。
世の中を取り巻く現状況下において、運動不足解消などの理由で走り始める方が非常に増えてきていますね。ランニングの理由や目的は人によって様々ですが、自力で走り筋力を鍛えることはこの夏の大きなポイントではないかと個人的には感じています。
自分自身も自粛期間中はなかなか運動が出来ずに筋力や体力がずいぶんと衰えてしまいました。その為、しばらくはトレーニング要素が高いキンバラで走ることで落ちてしまった筋力や体力を効率良く養っていきたいと思っています。
併せて、長距離のランにはエンドルフィン シフト、トレーニング効果を高めたいときにはキンバラ11というように、目的に応じたシューズで走ることで、それぞれの効果を楽しみながら日々取り組んでいきたいですね!