プレーも私服も”モリザネセクシー” サンロッカーズ渋谷・盛實海翔選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.41>
Bリーグ×ファッション連載41回目は、サンロッカーズ渋谷の盛實海翔(もりざね・かいと)選手が登場。人目を惹くプレースタイルから『モリザネセクシー』というキャッチコピーが付いている盛實選手。187cmの身長で着こなすオレンジのトレーナーとチェックパンツの装いは、パッと目をひく華やかさでした。今回は『モリザネセクシー』から父親特製のバッシュ、サンロッカーズ渋谷のチームメイトのこと、チームに馴染むコツなど広がりのあるインタビューになりました!
プロバスケ選手だからできるファッションを
――今日は、ナイキブレーザー ロー’77ジャンボのホワイト/オレンジを履いてきてくれました。
普段からよく履いている『ナイキ(NIKE)』エアフォースワン<AIR FORCE 1>の白と迷いましたが、オレンジのトップスにしたのでオレンジが入っているブレーザー<BLAZER>にしました。ブレーザーはもう1足、ハイカットでペンキのデザイン(スプラッターグラフィック)も持っています。エアフォースワンは履きやすいし、見た目のスマートさが好きです。黒も持っているけれど、エアフォースワンはやっぱり白です。
――今日の服装のこだわりは?
ブレーザーのオレンジとトレーナーのオレンジが合っていたら、なんか良い感じになるかなと思って、感覚で選びました。トレーナーもパンツもH&Mです。僕はあまり高価な服を買うタイプではないです。パンツはダボっとしたシルエットと迷いましたが、せっかく撮ってもらうし記事は残るので、少しでも足が長く写りたいと思って(笑)、スリムなパンツにしました。
――今日のファッションでサングラスと髭……まるでモデルです。
サングラスは、知り合いの美容師が「似合うと思うからかけてみたら」と言ってくれて、それから気に入ってかけています。MOSCOTのサングラスが好きで、何個か持っています。髭は深い意味はないのですが、僕はもみあげからアゴまで生えるので伸ばしてみようと思って。大学を卒業して企業に就職していたら生やせないと思うし、せっかくならプロバスケ選手という職業だからできるスタイルをしようと思っています。
父親がペイントする盛實海翔オリジナルバッシュ
――Bリーグにいる選手で、バッシュで何を履いているか気になる選手はいますか?
(サンロッカーズ)渋谷のチームメイトだと、ライアン・ケリー選手のバッシュはよく見ます。まず足のサイズが34cmで大きいから目に入ってくるし、コービー・ブライアントのバッシュを履いているイメージが強くてかっこいいです。コービーはプレーヤーとしてもすごく人気があったし、最近は価格が上がっていて入手しづらいモデルなんです。ケリーは元NBA選手なので、入手ルートがあるのかもしれません。普段のバッシュにコービーを履いているのはすごいと思って見ています。
――盛實選手は、ユニフォームの色にバッシュの色を合わせていると聞きました。
父親が、バッシュにペイントをしてくれるんです。父親に履きたいバッシュを渡すと、父親が好きなようにペイントしてくれます。色や柄は父親のセンスに任せています。ペイントするようになったキッカケは、父親が提案してくれて、僕も面白そうだと思ったから。どんなデザインのバッシュがきても履いています。派手だったら目立って良いなと思うし、これはイヤというのは無いです。
昨シーズンのバッシュはポールジョージ5<PG5>を履いていて、今シーズンはPG6を履くかどうか迷っています。バッシュは、見た目がゴツくなくてシュッとしているのが良いです。今のバッシュは機能的に劣っているものは無いので、機能面より見た目のカッコ良さで選びます。
――お父様に、バスケのアドバイスを求めることはありますか?
昨シーズンはシュートが入らない時期があって、父親に「手首が使えていない」「もっと肘を上げて打ったほうがいい」と言われて、そこから調子が上がりました。僕が最初にバスケットを教わったのは父親です。そこからずっと見てくれていて僕のことを分かっているので、シュートの調子が良くない時は話をします。シュートは少し意識を変えるだけで成功率が変わってくるので、父親の言葉は助かります。
“人をよく見る”という能力
――盛實選手は特別指定選手として渋谷で2シーズン過ごし、今季でプロ契約3シーズン目です。特別指定の時からとてもチームに馴染んでいるように見えました。集団にうまくフィットするコツは何ですか?
チームの先輩たちが本当に優しいので、馴染みやすいんです。フィットするコツは……僕は人のことをよく見ているほうだと思います。よく見ていると、「今あの人は、こう思っているだろう」と想像がつく。機嫌が悪そうだから今はそっとしておこうとか、調子が良さそうだから自分から絡みにいってみようとか、人との距離感をうまく測れていると思います。それぞれの人をよく見て、気づいたら行動を繰り返すことで馴染みやすくなると思います。
――バスケは裏をかく競技の側面もあります。人をよく見る能力は、バスケにも生きてきそうです。
生きていると思います。チームメイトだと「ちょっとフラストレーションが溜まっているからボールを集めよう」とか、対戦相手も何を考えているのかよく見て、プレーで表現することができます。
――盛實選手のキャッチコピーについて聞きたいです。どんな思いで『モリザネセクシー』を見ていますか?
初めて聞いたのは大学2年の時です。大学バスケのSNSがあって、僕のプレーを取り上げてくれたのが始まりです。最初は「えっ? 何だこれ?」と思いました。でも、キャッチコピーがあることで自分の名前が広まるのは悪いことではない。そのあと周りから「セクシー」と言われることが増えて、プロ選手になっても定着しているのはありがたいです。愛称があると、たくさんいるBリーグの選手に埋もれなくて良いと思っています。
受け流して、深く考えないことも大切
――渋谷はプレータイムシェアが徹底しています。一方で、大学時代の盛實選手は出場時間もボールを持つ時間も長くて、勝負どころは1on1で挑んでいくスタイルだった。真逆のスタイルにどうフィットしたのですか?
確かに、大学の時の僕のスタイルと渋谷のスタイルは合っていないです。ただ、いま自分がいるチームに合わせられるのがプロフェッショナルだし、コーチから求められることをするのが自分たちの仕事です。その仕事の中で、自分の力をどれだけ出せるか考えるのが大事だと思います。一人でもっと得点したいという選手は渋谷には合わない、このあたりを理解しないと試合に出て活躍できないと思います。
――自我と求められることのギャップを埋めるときに、ストレスはありませんか?
僕は比較的、求められることに合わせられるタイプです。そこにストレスも無いです。性格がけっこう適当なので、目の前にストレスがきても受け流していける。時には、受け流す・深く考えないって大事かもしれません。真剣になりすぎると、全てを受け止めて真面目に考えすぎてしまう。それって、結構しんどいですよね。
取材・文:石川歩
写真:高橋マナミ
取材協力:サンロッカーズ渋谷