4人の男の子のパパ流ウエイトトレーニング。サンロッカーズ渋谷・山内盛久選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.29>
新型コロナウイルスの影響拡大で選手との対面取材がかなわない今、オンラインでなら話したい選手に会える! ということで、今回は反響の大きかった記事から、過去の取材で載せきれなかった写真とオンライン取材による特別編をお届け。
今回は、アクセス数で全体4位に入ったサンロッカーズ渋谷・山内盛久選手に、オンラインで沖縄とつないで話を聞きました(5月17日取材)。
4人の子どものパパ、山内盛久選手ならではのウエイトトレーニングは?
――いま、山内選手は沖縄に帰っているのですね。4人の子どもたちとの時間が、想定外に早くやってきましたね。
「次のシーズンに向けて体がなまらないように、家でできるウエイトトレーニングをしているのですが、4人の子どもの体重がいい感じにバラけているんですよ。一番下の子を持ってアップをして、次は2番目・3番目と体重を上げていって、最後に長男で追い込むトレーニングをしています(笑)」
――子どもたちを順番に持ち上げる山内選手……想像すると微笑ましいです! 子どもたちも喜びそうですね。
「楽しそうにウエイトになっています(笑)。僕はコンディショニングを保てるし、子どもたちは楽しそうで、トレーニングが、良い親子の時間になっています」
――他には何をしていますか? シーズン中も月に一度は沖縄に帰っていた山内選手なので、子どもといられる時間をめいいっぱいに楽しんでいそうです!
「子どもたちも学校が休みなので、ずっと一緒にいます。長男が今年から小学1年生なので、宿題を一緒にやったり、先日は鉄棒で逆上がりを教えました。僕は子どもの頃に逆上がりをした記憶が無いのですが、子どもの前ではちゃんと逆上がりができたのでホッとしました(笑)」
履きやすさで選ぶなら、リアクトビジョンとエクスプローラー・ストラーダ
――前回、履いてきてくれたのはナイキ・エアフォースワンのウィートヌバックでした。最近、山内選手が気になっているシューズを教えてください。
「5月に発売された『ナイキ(NIKE)』・リアクトビジョン<REACT VISION>の白です。東京にいた頃はおしゃれなシューズを選んでいたのですが、沖縄に帰って子どもといるようになってから動きやすさ重視で選ぶようになった。リアクトは前から履いていて、動きやすいです」
「最近、真っ白なシューズが欲しくてエクスプローラー・ストラーダ<EXPLORE STRADA>も買いました。ただ、いきなり子どもに自転車で踏まれて汚れました(笑)。やっぱり、白はやめておいたほうがいいみたいです」
――前回、試合中の足元ファッションの話が出ました。『ミニオンズのソックスにチャレンジしようかな』と言っていましたが、実現しましたか?
「ミニオンズのソックスを探したのですが、キッズかレディースサイズしかなくて。メンズサイズがあっても、くるぶし丈でバッシュを履くと見えない。メンズのミニオンズのソックスは需要がないのだな、ということが分かりました(笑)」
「今シーズンはクリスマスが試合だったので、赤いバッシュに緑のソックスでプレーしました。雪の模様の緑のソックスを見つけたので、急いで注文したんです(笑)」
バスケ人生の転機にいる伊佐勉ヘッドコーチ
――前回、伊佐勉ヘッドコーチとのご縁についても聞いていました。文字数の関係からカットしたので、改めて聞かせてください。山内選手が琉球ゴールデンキングスに入団するときも渋谷に移籍するときも、きっかけを作ったのは伊佐HCなのですね。
「僕が沖縄のアパレル会社で働いていた頃、クラブチームで週に2回バスケをしていたんです。そのクラブチームを作ったのがムーさん(伊佐HC)でした」
「アパレルの会社にいたけれど、やっぱりバスケがしたいと思ってムーさんにキングスに入るのが可能なのか聞いたところから、練習生の道がひらけました。お互いにキングスを退団して、ムーさんが渋谷のアシスタントコーチに決まったときも、僕は他のチームがほぼ決まっていて、サインをする直前までいってました。そのときムーさんから連絡がきて『渋谷にくる気はあるか?』と聞かれた。それで僕は渋谷に移籍したんです」
――プロになること、移籍して家族と離れること、山内選手の大きな決断のそばに伊佐HCがいます。伊佐HCはどんな人ですか?
「まずは、バスケどうこうよりも人として尊敬しています。長く一緒にいますが、ムーさんの口からは一度も人の悪口を聞いたことがないんです。ムーさんは人の良いところを見つけるのが得意で、そこを立てるのが上手。普段からそういうものの考え方をする人で、それがバスケにも生かされていると思います」
「たとえば僕は、身長で相手選手とのハンデがあります。それを僕に補わせるのではなく、身長の高いチームメイトを使って短所を消してくれる。長所と長所を掛け合わせて、お互いの短所を消すことが得意な人です。誰だって、短所を責められるよりも得意なところを伸ばしてもらえるほうがいいし、やりやすい。そういうところが、このコーチについていこうと思う理由です」
山内盛久選手から見た“強い渋谷”
――今シーズンの渋谷は開幕戦の千葉ジェッツ戦で2連勝して、天皇杯も優勝して、すごく勢いにのっていました。このままいけば、チャンピオンシップ(CS)進出の可能性は大きかった。そんな状況でのリーグ中止は選手にとってもキツかったのでは?
「たしかに、今シーズンは好調だったので悔いは残ります。ただ冷静に考えると、もしCSに行けたとしてもチャンピオンになれたかというと、まだ足りない部分が多かったと思う」
「天皇杯で優勝してそこで自信を持つのはいいけれど、自分たちの強さを過信してはいけない。リーグが中止になったとき、チームの完成度はまだまだだったと思います。今の状況は、こんなふうに冷静に自己分析する時間になりました」
――次のシーズンがどういうかたちでスタートするのか、まだ分かりません。この状況で長いオフ期間を迎えるわけですが、山内選手はどんなふうにバスケへのモチベーションを保っていきますか?
「キングスにいた時からそうですが、僕はベンチからスタートすることが多いです。これはイコール、常に最高のパフォーマンスをする準備をしておくということです。コート外の行動も同じで、すぐにリーグをスタートすると言われても最高の状態でプレーできるように、常に準備することを意識して過ごしていきます。来シーズンはもっと、僕のプレーで多くのファンにバスケで楽しんでもらいたいと思っています」
文:石川歩
写真:白松清之
取材・写真協力:サンロッカーズ渋谷