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「履くたびに味が出てカッコいい」カルチャーに影響を残す『オールドスクール』の物語【ヴァンズ担当者がスニーカーを語る】

2025.03.21

仕事で日々スニーカーに向き合い、肥えた視点をもつメーカー担当は、あのモデルをどう見ているのか。今回ピックアップするのは、『ヴァンズ(VANS)』オールドスクール<OLD SKOOL>。ブランドのアイコン的な存在で、もはや知らない人はいないといっても過言ではないモデル。デビューから50年近く経った今もなお、幅広く愛される理由とは?

その魅力について、ヴァンズジャパン マーケティング部の古谷さんが語ってくれました。

「履くたびに味が出てカッコいい」カルチャーに影響を残す『オールドスクール』の物語【ヴァンズ担当者がスニーカーを語る】

スケート、音楽、ファッション。カルチャーの変遷を辿る

――前身のモデルが1977年に『スタイル36』としてデビューし、1978年に『オールドスクール』として誕生。47年という長い歴史があるモデルですがどのように誕生したのでしょうか。

『オールドスクール』が市民権を得たのは、当時のスケーターに支持されたことがきっかけであるのは間違いないと思います。当時のカリフォルニアでスケボーが生まれ、映画『ロード・オブ・ドッグタウン』のZ-BOYSたちが『オーセンティック』を履きはじめて、「ヴァンズ=スケートボード」というイメージができあがりました。それに耐久性を加え、よりスケートボードファインチューンする流れで開発されたのが『エラ』。まもなくして、『オールドスクール』がデビューしました。今のスケシューと比べると機能はミニマルですが、当時のスケートシーンに求められる機能はしっかりと搭載されたモデルです。

――スケートシーンからユースカルチャーへと広がったきっかけは何かあったのでしょうか。

ちょうど『オールドスクール』が誕生した1970年代後半から、主に西海岸でハードコアやパンクが流行ったという音楽のムーブメントがありました。そんななか「マイナー・スレット」や「ブラック・フラッグ」といったハードコアバンドのメンバーが頻繁にオールドスクールを履いていて。マイナー・スレットのボーカル、イアン・マッケイはラストライブでも履いていましたね。それが、音楽シーンに広がる大きなきっかけになったとは思います。実際に僕も、彼らの写真を見て『オールドスクール』がカッコいいと思いましたし。ヴァンズがスポンサードを務めたアメリカの音楽フェス「Vans Warped Tour」に出るバンドも『オールドスクール』を履いているメンバーが多くて、その流れからパンク・ハードコアのようなロックシーンに認知されて、その流れが2000年ぐらいまで続いていたんだと思います。

――そうしてファッションへ流れていくわけですね。

スケートボードサーフィン、ハードコアやパンクといった、いわゆる西海岸っぽいカルチャーとのリンクが多かったんですけど、2010年ごろにヒップホップ集団「Odd Future」を代表する「タイラー・ザ・クリエイター」とコラボしたモデルが出たことで、ヒップホップ×『オールドスクール』という意匠を強く世に知らしめました。個人的に、ヒップホップカルチャーは、よりファッションに距離感が近いと思っていて。それをきっかけに、さらにストリートファッション方面へと浸透したというのもあるかもしれないですよね。

――彼らの音楽をルーツにしたポップアーティストが履き、そこからさらに浸透していったわけですね。

スケートボードにとどまらず、さまざまなカルチャーと共鳴してきた『オールドスクール』。半世紀近く変わらないシルエットですが、いまも多くの人を魅了し続ける「新しい何か」が詰まっているのでしょうね。

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VANS

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半世紀近く変わらないシルエット、そして変わらない魅力

――半世紀近く変わらないって、すごいことです。

最近では、定番よりも薄いソールでロープロファイルな仕上がりの『オールドスクール ロープロ』、ヴィンテージライクなデザインと履き心地を追求した『プレミアム オールドスクール』、スウェードとGORE-TEX®の素材をミックスした『オールドスクール ゴアテックス』なども登場しています。とはいえ、基本的な意匠は変わらないのは、すごいですよね。

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オールドスクール ロープロ

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オールドスクール ゴアテックス

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――色や柄、コラボモデルなど、ラインナップもかなり豊富。

何種類あるかは、多分世界中で誰もわかる人はいないだろう……くらいありますよね(笑)。

――記憶に残っているコラボはなんですか?

個人的にバンドとのコラボが好きで、特に「DESCENDENTS」というバンドとのコラボ商品には思い入れがあります。音楽との関わりが強いからこそヴァンズが好きだったというところもあったので、これはうれしかったです。

ボロボロでも、カッコいい。そんな靴って、ほかにはない

――今の時代、『オールドスクール』はこう履く!というような、新鮮なスタイリングは?

引き続き、ワイドシルエットがブーム。だからこそ、クラシックながらも程よいボリュームがある『オールドスクール』でまとめるのもカッコいいと思います。パンツの裾からジャズストライプがちらりと主張することで、オーバーサイズの服を着ても負けない存在感を出せる。今っぽいストリートファッションにもハマると思います。スニーカーのブーム的に、過度に装飾がされていないミニマルなシルエットの人気が、継続するんじゃないですかね。

「履くたびに味が出てカッコいい」カルチャーに影響を残す『オールドスクール』の物語【ヴァンズ担当者がスニーカーを語る】

――履き方のオススメとかありますか?

ぜひ、ボロボロになるまで履いてください!それでもカッコいい靴って、珍しいですよね。僕がヴァンズを好きになったのは、海外のバンドマンがボロボロの『オールドスクール』を履いていて「カッコいいな」と思ったというのもあった。ボロボロが似合う靴って、そんなにないじゃないですか。普通みっともないですけど、『オールドスクール』は違う。履き潰してもカッコいいのは、大きな魅力だと思うんですよね。

「履くたびに味が出てカッコいい」カルチャーに影響を残す『オールドスクール』の物語【ヴァンズ担当者がスニーカーを語る】

――『オールドスクール』は、気軽に買えるという安心感もありますよね。

いろいろなモデルを履きましたが、結局『オールドスクール』の黒をよく履いていて、黒だけでもこれまでに何十足も買ったと思います。手に入りやすいのも、親近感のあるヴァンズというブランドっぽくていいなと。スケーターコミュニティや音楽シーンなと、ユーザーとの距離が近いところに常にあるからこそです。ヴァンズの理念として「人を大事にしよう」というポール・ヴァン・ドーレンの言葉があるんですが、コミュニティを大事にすることでブランドも成長するし、ビジネスとしても持続可能になる。創業当時から続く「コミュニティや人をサポートしたい」というDNAがあるからこそ、ユーザーとの距離が近いブランドなのだと思います。

――これからもずっと、愛され続けるんでしょうね。

カルチャーと強く結びついている部分にブランドとしての魅力を感じてもらったり、音楽やファッションなどのカルチャー繋がりで「また久しぶりにヴァンズを履いてみようかな」という気持ちになってもらえたらうれしいです。

また、ヴァンズでは『オールドスクール』と一緒に歩んできた音楽とスケートボードとの深い絆を新しい世代に届けるために、今後ライブやワークショップなどのイベントも予定しています。ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

――変わらない定番がありつつ、新しいインフォメーションも続々!ますますヴァンズから目が離せないですね。

常にカルチャーとリンクしてきたブランドであるというのが、ヴァンズの魅力。そういったストーリーをまだ知らない若い世代が、カルチャーの変遷と紐づいているからこそのヴァンズのカッコよさに惹かれて「履いてみよう」と思ってくれたら、最高ですね。

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