「最近コンバースにハマって」横浜ビー・コルセアーズ・松崎裕樹選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.49>
Bリーグ×ファッション連載49回目は、横浜ビー・コルセアーズの松崎裕樹(まつざき・ひろき)選手が登場。長崎県生まれ、身長192cmの松崎選手は、福岡第一高校・東海大学とバスケットボールの名門校を経て、2022-23シーズン中盤に横浜ビー・コルセアーズとプロ契約を結びました。世代別の日本代表としても活躍してきた松崎選手は、これからのBリーグを盛り上げる注目選手の一人です。
横浜に来て、コンバースのカッコよさに気がついた
――今日はコンバースのスター&バーズを履いています。コンバースを選んだ理由は?
最近コンバースにハマって、スター&バーズ<STAR & BARS>とオールスター<ALL STAR>を買いました。今日履いてきたスター&バーズは、紐やラバーソールのヴィンテージ加工が可愛くてお気に入りです。アッパーにしっかりしたレザーが入っているので、全体の印象が締まって見えるのもいいなと思って履いてきました。
――コンバースにハマったきっかけは?
コンバースは小・中学校で履いていたけれど、高校生になって遠ざかっていました。大学生の時は店を回ることがあまりなくて、ネットで買い物をしていました。その頃はナイキのダンク<DUNK>が好きで集めていて、ダンクLOWなどをよく履いていたんです。
横浜に来たら店がたくさんあって、スニーカーを手に取る機会が増えました。実際に履いてみたら子どもの頃と印象が変わって、コンバースがカッコいいことに改めて気がつきました。
――服は上下ともSTUSSYですが、コーディネートのポイントは?
Tシャツは裏返したようなデザインで、ちょっと変わっています。STUSSYのセットアップで色を統一しつつ、トップスをくすんだ黒にして濃淡をつけました。靴下まで黒だと暗い雰囲気になると思って、足元は明るく白い靴下にしました。
――帽子も似合っています!
自分は頭が大きいんですけど、これは入るんで被ってきました。つばが上向きの帽子が似合わなくて、この形に落ち着いています。
――好きなブランドで、『NOAH』も挙げていました。
名古屋(ダイヤモンドドルフィンズ)の坂本聖芽(さかもと・せいが)さんが先輩なんですが、一緒に買い物に行ったときにNOAHのショップに連れていってくれました。NOAHの服がめちゃくちゃ可愛くて好きになって、原宿に行くときは直営店を見るようになったんです。
高校時代は「めっちゃ時々」買い物に行っていた
――高校時代を福岡県で過ごした松崎選手。バスケ好きの間で知られている福岡発のブランド『CRATE』はご存知ですか?
知ってます。CRATEをやってるYOHEIさんは知り合いです。(福岡)第一の頃から(河村)勇輝と一緒によくお店に行ってて、仲が良いです。8月に原宿でポップアップをやっていたので、自分は緑が好きなので緑と白のボーダーTシャツを買いました。そのときに「勇輝に渡して」と言われて預かっているTシャツがうちにあります(笑)。
――松崎選手は、高校時代からバスケの名門校で活躍する忙しい毎日だったと思います。ファッションに使う時間はありましたか?
(福岡)第一の時は、めっちゃ時々オフがあって。
――めっちゃ時々(笑)、どれぐらい時々ですか?
たいてい、県大会で(福岡大学附属)大濠(高校)に勝った後はオフでした。
(福岡)第一で同部屋だった古橋正義(ふるはし・せいぎ)(現富士通男子バスケットボール部)が服の好きな人で、いろいろファッションについて教えてもらいました。
福岡の天神や大名は歩いている人がオシャレで、大名の店は店員さんが怖いイメージがあって。てろんてろんの変な格好をして入店したら、冷たい目で見られて、かまってもらえないかもと思っていました(笑)。ちょっと服に気をつかわないといけないなと思ったのはその頃です。
――Bリーグの中でバッシュが気になる選手には、サンロッカーズ渋谷の田中大貴(たなか・だいき)選手を挙げました。
大貴さんは、コービー4<Kobe 4>などすごく珍しいバッシュを履いています。コービー系はプレ値が付くほどのバッシュなのですが、それを試合で履いていて「すげえ!」と思っていました。
往復60本のダッシュ&バックランで得たもの
――松崎選手は、身長192cmとサイズがありながら脚力も強い選手として注目されています。今までどんなトレーニングをしてきたのですか?
走ることにフォーカスすれば、高校時代の練習が一番厳しかったです。(福岡)第一は走り勝つチームなので、練習メニューも練習後のランもめちゃくちゃきつかったです。
練習後に体育館のダッシュとバックラン(後ろ向きに走ること)の3往復を33秒で走る練習を20本、60往復していました。いま思い返すと、練習をこなせていたのが信じられませんが、おかげで第一の試合を見た人は、バスケを知らなくても攻防の展開が速くておもしろい競技だと感じてもらえたと思います。
――横浜ビー・コルセアーズでも、松崎選手のサイズと脚力に期待がかかっています。
自分は、高校のチームで一番足が速かったわけではないです。でも、身長190cm超でガードの選手と同じ量とスピードで走れる点が自分の最大の強みだと思いますし、Bリーグの舞台に上がれたのも走れることが評価されたからだと思います。
高校時代に、最後の本当にきついときに根性のようなもので走って乗り切る経験をしてきました。今は高校の頃から歳を重ねて、走る回数も少なくなっていますが、脚力と気持ちで乗り切ってきた経験はプロでも活かせると思います。
変わるビーコル、変わらない海賊感
――横浜ビー・コルセアーズ(ビーコル)はBリーグ開幕から3季連続で残留争いをしましたが、2022-23シーズンはチャンピオンシップでセミファイナルまで進みました。見ていて痛快になるほどのスケールです。
自分が見ていたビーコルも、ずっと下位にいたイメージです。その当時のBリーグの上位チームは、東地区の3チーム(アルバルク東京・宇都宮ブレックス・千葉ジェッツ)に、西地区の琉球(ゴールデンキングス)が食い込んでいく構図だったと思います。
(河村)勇輝が入ったこともそうですけど、青木さん(青木勇人ヘッドコーチ)がしっかり土台を作り、アシスタントコーチと一緒に練習と試合のクオリティを上げて、それに選手も応えていった。自分がビーコルに入ったときはコーチと選手のいい関係が見えていました。だからこそ、勢いのあるチームになったと思います。
――2023-24シーズンは、横浜ビー・コルセアーズの見られ方が変わりそうです。
今までのビーコルは、サプライズを起こすチームでした。昨季にベスト4までいったことで、今季はベスト4を超えなければいけないと思います。勝つべき試合、落としてはいけない試合がたくさん出てくる中で、当たり前に勝てるチームになれたら、リーグで強豪といわれるチームに食い込んでいけると思います。チームもそうですが、自分にとっても勝負のシーズンになると思っています。
――現在、横浜ビー・コルセアーズのゼネラルマネージャー(GM)を務める竹田謙(たけだ・けん)さんは、選手時代に当連載に出てくれました。49回の連載で唯一、水着で出演した選手として印象的ですが、「コルセアーズ」というの名前通りの海賊感が好ましくて。ビーコルのやんちゃな感じが好きなファンも多いと思います。
そこは変わらないと思います。だって、水着で出た人がGMですよ(笑)。ビーコルのいい部分は変わらずに紡いでいくと思います。
竹さん(竹田謙さん)はめちゃくちゃいい人です。自分がBリーグに入る前の勝手なGMのイメージは、選手を選んでチーム編成をする立場からすごく怖い人だと思っていました。竹さんは、そのイメージをガラッと覆してくれた人で、本当に気さくに話しかけてくれます。上の方にいる立場の人が、誰とでもフラットに接してくれると自分たちもプレーしやすい。ビーコルは、すごく環境のいいチームなんです。
取材・文:石川歩
写真:白松清之
取材協力:横浜ビー・コルセアーズ