子どもと遊べる水着コーデ!横浜ビー・コルセアーズ 竹田謙選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.22>
笑顔で、どんな質問も気さくに答えてくれた横浜ビー・コルセアーズの竹田謙選手。チームでも家庭でも、きっと優しい選手でパパさんだろうと分かる雰囲気で、取材時間めいいっぱいにいろんな話をしてくれました。日本代表も務めた長いバスケ経験と、一度引退したからこそ話せるバスケの魅力とキツさの表現は、竹田選手ならでは。
今回は、2001年に東京海上ビッグブルーでバスケキャリアをスタートし、2009-10シーズンに栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)でリーグ優勝を経験。2014年に現役を引退し、女子バスケチームのアシスタントコーチを1年間経験したのちに、横浜ビー・コルセアーズで現役復帰した竹田謙選手(41歳)に話を聞きました。
この取材は、10月初旬の、まだまだ太陽が高い暑い日にインタビューしたことを、最初に補足しておきます!
横浜ビー・コルセアーズ竹田謙選手の“水着完璧説”
――今日の靴は、『リプロダクションオブファウンド』のミリタリートレーナーです。この靴を履いている人を見ると目で追っちゃうくらい、おしゃれな人が履いているイメージがあります!
「なんか、おしゃれハードル上がってるよ! 怖い怖い(笑)! パパさんBリーガーの企画ってことで、子どもと遊ぶときのスニーカーを履いてきました。防水で汚れないめちゃくちゃ便利な靴で、今年の梅雨は、ほぼ毎日履いていました」
――真っ白のロンハーマンのオリジナルカットソーが、リプロダクションに合っています。そして! パンツは、まさかのパタゴニアの水着。この連載に水着で来たのは、竹田選手が初めてです!
「水着はね、最初は子どもたちと川とか海に遊びに行くときにはいていたんだけど、だんだん普段も着るようになった。濡れても気にならないし、すぐ乾く。子どもと遊ぶのに動きやすくて、本当にいいっすよ。水着はファッションとしてアリなのか分かんないけれど、子どもと遊ぶ服としては完璧なの」
――リプロダクション以外だと、どんな靴を履きますか?
「普段からスニーカーが多いです。『アディダス(adidas)』のジョギングシューズとか『ニューバランス(NEW BALANCE)』、真っ白のスプリングコートは汚れたら同じものを買ってずっと履いています。奥さんからは『また同じようなものを買って……』って怒られるのですが(笑)」
――竹田選手は、自分で服を買うのですか?
「家族で買いに行きますが、最近は僕の意見がなくなってきましたね(笑)。僕が、これがいいって言っても『ちょっとおじさんくさいよ』って奥さんに言われて。彼女独特の表現で、『その服は砂埃っぽい』って言われるの。砂埃……僕はそうは思わないけどなー。自分が本当に欲しいものは買いますが、買い物に行くと、奥さんとけっこうバチバチしますね(笑)」
竹田謙選手に聞く、女子バスケの魅力は?
――竹田選手は、6歳・4歳の男の子、1歳の女の子のパパさんです。2014年に引退したときはお子さんがいたわけですが、奥さんは引退することについてどんな反応でしたか?
「自分のなかで引退を考えていたときに、『今年で終わりかなー』って何度か引退をにおわせておいて。奥さんは『やれるうちはやったら?』と言っていたけれど、いざ引退するときは特に反対もなく受け入れてくれました。金銭的にどうするかって怖さはあったけれど、2014年はやり切った感があったので、お金については後から考えよう、何とかなるだろうって考えていました。復帰したときも、『やればいいんじゃない』って言ってくれました。自由にやりたいことをやらせてもらって、奥さんには感謝しています」
――竹田選手は引退していた1年間、女子バスケチーム『デンソーアイリス』のアシスタントコーチをしていました。女子バスケはアジアカップで4連覇していて、世界に手が届く強さがあります。間近で女子バスケを見てきた竹田選手は、女子バスケの魅力をどう見ていますか?
「遂行力があること。男子よりも全員でチームをつくり上げる力があるし、全力でやり遂げる気持ちが男子よりも強いなって、すごく感じました。それがアジアで4連覇できた要因になっているし、僕は男子にもその遂行力が必要だと思った」
――女子バスケの、そのバスケに取り組む姿勢を見て、竹田選手は現役復帰を決断したんですね。
「僕は、選手時代にそういう姿勢でやっていなかったって気持ちがあって、もう一度プレーしたくなった。チームに対して自分ができる全てのことをやり切りたい。僕はどんどん体が動かなくなって、やれることが少なくなるなかでも、自分で考えて効率的に動くとか、遂行力を意識してプレーしています」
――女子バスケは、男子と比べるとスピードや高さはないけれど、高確率で決まるシュートとかコートにある熱量とか、まったく別のおもしろさがあります。
「彼女たちは、来年東京で行われる国際大会で真剣にメダルを取りにいこうとしている。それはとても価値があることだし、実際にアジアのトップレベルをキープし続けていて、純粋に競技として見ていておもしろい。メダルを取ろうっていう熱い気持ちは、Wリーグでも感じられると思うので、間近で彼女たちの“本当の本気”を見てほしいです」
ハーデン4の魅力と、負け続けても気持ちを上げる方法
――竹田選手は、試合ではアディダスのハーデンVol.4<HARDEN VOL.4>を履いています。このバッシュを選んでいる理由は?
「前はハーデンVol.2を履いていたのですが、最近Vol.4が出たのでそれを履いています。僕は10年くらい前からアディダスを履いています。ハーデンVol.4はかかとに厚みがあって、この厚みでグッと止まれるのがいい。Vol.2から軽くなったし、このローカット具合も足首が動きやすくて好きですね」
――今シーズンの横浜は、主力をはっていた川村卓也選手・細谷将司選手が移籍して、若いチームに変わりました。41歳の竹田選手は、このチームのなかでどんな役割を担っていますか?
「キャプテンの(田渡)凌は本当にリーダーシップがあるし、英語ができるのでチームメイト全員と話せる。年上に対してもどんどん来てくれる人懐っこいやつなので、凌がやりたいことをできるようにサポートしています。年下のチームメイトは、年上の僕にはものを言いづらいと思うから、意見を言いやすい環境にしていますね。僕にも他の選手と同じように意見を言ってと言葉で伝えているし、振る舞いも気をつけている。せっかく若い選手が入ってきたのだから、彼らの意見を元にチームをつくっていけるほうが絶対にいい。その中で僕の意見があれば言うし、みんなに任せてどんどん良くなるなら、それが一番いいでしょう?」
――横浜は、Bリーグ初年度から3年連続で残留争いをしています。チームが低迷し、試合に負け続けるなかで毎週試合をするのは、かなりキツそうです。負け試合が続くなかで、どんなふうに気持ちを上げていましたか?
「後ろを向いても仕方がないから、目の前のことに最善を尽くす、それしかない。良い意味で負けたことを忘れて、次・次・次と思ってやっていました。毎週試合があるリーグ戦のなかでは、変えられることと変えられないことがあって、変えられるものを次の試合から実践していく、その繰り返しですね」
「ただ、昨シーズンの最後、残留するか降格するかの時期に、朝起きて呂律がまわらなくなった日があった。手の感覚が消えちゃって、これはまじでヤバイと思って、脳神経外科に行きました。結局、ストレスが原因だったのですが。あのときは、チームメイトみんながそんなストレスを抱えていたし、それは優勝を狙う上位チームの選手にもあると思う。プロ選手をやっている以上は、仕方ないですね。そういう中で結果が出たときの喜びは、一度味わっちゃうと忘れられないし、あの気持ちをもう一度味わいたいっていうのが、前を向くモチベーションにもなります」
竹田謙選手に聞く、バスケの魅力とは?
――今までの人生の長い時間を、バスケに捧げてきた竹田選手に質問です! バスケの魅力はなんですか?
「んー、魅力はいろいろあるけれど。チームメイトみんなで準備してきたこと……立てた作戦とか、練習してきたシュートが、かたちになって、勝ちという成果が出ること。それが、僕がバスケをしていておもしろいと感じるところです。分かりづらいかな……うまく表現できなくて申し訳ないのだけれど」
――1人でやったらできることも、5人になると個性がぶつかり合って難しい。でも、練習で意識をすり合わせて5人の能力がバチっと合ったときのパワーはすごい。“チームケミストリー”の一言になっちゃう部分かもしれないですが、私たちが試合で見たいのも、コートの5人の“バチッ”の瞬間なんだと思います。最後に、お子さんたちがプロ選手になりたいと言ったら、竹田選手はどうしますか?
「本当にプロになりたいと思っているなら否定はしない。ただ、決断する前にプロの厳しさは伝えると思います。できれば違うスポーツをやってほしいですけどね。僕がずっと体育館で暮らしてきたので、屋外スポーツを観に行くと気持ちいいんですよ(笑)。でも、子どもたちは横浜の試合をよく見に来てくれるし、チームメイトたちに遊んでもらっているので、でっかい人たちへの免疫力は、どんどん付いてきていますね」
――竹田選手の思いとは裏腹に、バスケのエリート教育を受けちゃってる(笑)。
「長男はプロバスケ選手になりたいって言ってます。いま、家のなかに小さいリングがあって、練習から帰ると長男と次男に『試合をやろう』って言われて、家で3人で試合をしてるんです。リングが小さくてゴムボールだから、僕は入れるのが難しくて。やつらは慣れてきてけっこうゴールするから、真剣にやっても僕が負けるの。今日もね、帰ったらすぐに『試合やろう』って言われますよ(笑)」
トップス:ロンハーマン
パンツ:パタゴニア
シューズ:リプロダクションオブファウンド ミリタリートレーナー
チーム内の世代交代がうまくいくのか? 2019-20シーズンのスタートに注目が集まった横浜ビー・コルセアーズですが、11月13日時点で中地区の2位につけています。常勝チーム・千葉ジェッツから移籍してきたアキ・チェンバースを中心に、タフなディフェンスをするチームにガラッと変わった横浜。竹田選手がコートに入ったときのチームの落ち着きかたや、ぐっと強度の上がるディフェンスは、ぜひ一度、アリーナで見てほしい!
4年目が開幕したBリーグは、昨シーズンの準優勝チーム・千葉ジェッツと名門・シーホース三河が下位発進という大混戦。全国で毎週末開催されているBリーグの試合は、一度、生観戦したらクセになるおもしろさがあります。好きなチームと選手を見つけて、元気になれる豊かな週末を過ごしてみてください!
文:石川歩
写真:吉田一之
写真協力:横浜ビー・コルセアーズ