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「嫌われても構わない」横浜ビー・コルセアーズキャプテン生原秀将選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.36>

2021.01.22

筑波大学卒業後に栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)に入団してBリーグ初年度チャンピオンを経験、シーホース三河で1シーズン戦い、2019-20シーズンから横浜ビー・コルセアーズに所属している生原秀将(いくはらしゅうすけ)選手。

「買い物が唯一のリフレッシュ方法」という生原選手の話からは、買い物とバスケ選手の意外なつながりが見えてきました。話を聞いた日は取材が詰まっていて、練習後も多忙だった生原選手。「本当に普段着」での登場からまさかのオチまで、終始楽しかったインタビューの模様を届けます!

「嫌われても構わない」横浜ビー・コルセアーズキャプテン生原秀将選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.36>

 

生原秀将選手、“本当の普段着”で登場

 

――今日は、『チャンピオン(Champion)』のリバースウィーブとcozyhousetokyoのパンツ、『ナイキ(NIKE)』のテイルウィンドを履いてきてくれました。ラフなスタイルが似合っています!

「本当は、練習後に家に帰って着替える予定だったんです。でも、練習が長引いて家に帰る時間が無くて。たまたま今日はキャップをかぶっていたから何とか乗り越えられると思っているんですが……おかしくないですよね?」

――シルエットはゆったりだけど、だらしなく見えない。普段の生原選手が見られて良いです!

「僕は服をだぼっと着たいんです。大学でトレーニングをしてから体が大きくなって、それまで着ていたものがピチピチになってそれが嫌だった。鍛えるのはやめられないから1サイズ大きなものを着ることにしました。このリバースウィーブもどこにでも売ってそうだけど、海外から入荷したものです。日本のXLだと少し小さいんです」

「嫌われても構わない」横浜ビー・コルセアーズキャプテン生原秀将選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.36>

――テイルウィンドはクッション性が抜群で、履きやすいです。

「ソールが厚くて疲れないし、シンプルでかっこいい。かなりお気に入りです。ナイキ・ニューバランス・アディダス ・プーマ、冬はTHE NORTH FACEのウィンターブーツとか、どんなブランドも一通り履いています。でも今日は、ジョーダン1<Jordan1>を履いてくる気満々だったんすよ。昨日の夜に紐を通しながら『明日履けるな』と思って楽しみにしていたんです」

「嫌われても構わない」横浜ビー・コルセアーズキャプテン生原秀将選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.36>

――この連載では、宇都宮ブレックスの遠藤祐亮選手鵤誠司選手が、ジョーダンシリーズにハマっている話をしてくれました。

「(鵤)誠司さんは栃木のとき一緒で、ノースフェイス好きは有名でした。『今日もノースでかぶっちゃったな』という日がすごく多かったです。僕はパープルレーベルが好きで、毎年フリースとパーカーを買っています。ジョーダン1は遠藤さんとかぶっても履きたかったです。今日はネイビーのジョーダン1を履いて、『DAIWA PIER39』というブランドのネイビーのセットアップでカッコつけまくりたかった(笑)

でも、これくらいの服装のほうが親近感わきますよね? 子どもの頃に好きなスポーツ選手の服を見ていましたが、ハイブランドを着るのもいいけど、すごいお金持ちなのにリバースウィーブを着ている選手をカッコいいと思って見ていました」

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――自慢のスニーカーは、自分で藍染めしたナイキ・ルナフォースワンと聞きました。

「地元徳島の伝統文化で藍染めがあって、ずっとやりたいと思っていたんです。徳島に帰った時にできることになって、実家にあったスニーカーを染めました。世界に一つしかないし、カッコよくて自慢です。今シーズンはバッシュも染めようと思っていますが、真っ白のバッシュってなかなか無いんです。ナイキIDで真っ白を作ろうかな……迷っています」

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©B-CORSAIRS

 

面倒くさがりBリーガーのリフレッシュ方法

 

――ファッションで影響を受けた人・メディアは? という事前アンケートに『いろいろな人とモノ』というざっくりした回答をしていただきました(笑)。

「僕は優柔不断で、いろんな人とモノに影響されて欲しくなるんです。買い物に行っても、すれ違ったお兄さんの服がカッコよかったら振り向きざまに写真を撮って(笑)、その場で調べて買うから『いろいろな人とモノ』と書きました。どんな着こなしをするかで服と靴は変わるので、僕は人を見ています。今日履いてきたテイルウィンドも、ブランドコラボとかの限定ではなく言ってみれば普通じゃないですか。でも、上下スウェットでテイルウィンドを履いたお兄さんを見かけたときに『かっけー!』と思った。流行っているという理由で買うとだいたいはずれるから、自分がカッコいいと思ったものを買うようにしています。だから、僕はハイブランドを持っていないです。まだ子どもなんですかね……いまいち魅力が分からない。それならチャンピオンを大量に買いたいです」

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――チャンピオンが好きなんですね。

「好きですね。リバースウィーブ7着、パーカー4着くらい持っています。Tシャツも毎年、白とネイビーをそれぞれ4着くらい買います。気に入ったらいつでも着られる状態にしておきたくて、色違いでたくさん買っちゃう。たまに両親が家に来てくれるんですが、『同じ服がいっぱいあるね』って笑っています。自分でも何故こんなに買うんだろうと思ったり、買った後に『また買っちゃったよ』ってちょっと落ち込んだりしますが(笑)。僕は、服と靴を買っているときが唯一リフレッシュできる時間なんです」

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――買い物をしている時間が、リフレッシュタイムということですか?

「毎日バスケについて考えていて家でもバスケのことを考える時間があって、それが疲れるんです。でも、服とか靴を選んでいるときはバスケのことを忘れちゃう。それが僕の気晴らしになっているので、買い物は自己投資でもあります。

僕は趣味が無いんです。あまり共感してもらえませんが、虫とか動物を触れないから釣りもできないし、映画も見終わった後に『2時間経ったよ。もうこんな時間だよ』と思うことが多い。僕は面倒くさがりで、動きたくない、歩きたくない。500メートル先でも車移動する人なので(笑)、だいたい家にいてネットで服と靴を探しています」

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メンバーに会わないように遠回りする。学生時代の生原選手

 

――家で一人で買い物するのがリフレッシュなら、Bリーガーは生原選手にとってストレスのかかる環境ではないですか? シーズン中ずっと同じメンバーで、試合っていうオープンな環境で成績を晒され続ける。

「そうっすよね。大学からバスケだけの生活を送ってきて、365日ずっと同じメンバーでいるわけです。僕は子どものころからそうですけど、体育館の外では部活のメンバーと会わないようにしてきました。たとえば、コンビニに行ってメンバーに会うとそれだけでちょっと疲れる(笑)。だから、高校生の頃も真っ直ぐいけば近いのに早めに家を出て遠回りして学校まで行くとか、大学では夜ごはんは一人で遠いところに行って食べたりしていました」

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「体育館ではめちゃくちゃ話すしふざけ合うんですけど、コート外では自分から誘うことはなかったですね。体育館に入る前と後で全然違うから、後輩からは怖がられていましたが(笑)、ちょっと自分に合わないと感じる人とは距離を取ることで、できるだけ人に害を与えないようにしているんです。

なんでも言いたいことを言える人が羨ましいですけど、それをやっちゃうと逃げというか、自分の中で許せない部分がある。頑固なんですよ。仕方ないっす。治らないし、これは自分の素晴らしい個性だと思っています(笑)

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生原秀将選手は、どうキャプテンシーを培ってきたか?

 

――それでも、大学でもビーコルでもキャプテンを務めています。周りの人たちは、生原選手を選手の代表に選んでいますね。

「本当にね(笑)、どれだけ周りの人にサポートされてきたのかよくわかります。チームに異変が起きた時に気付ける人と気付けない人がいると思うんです。それに気付いても言える人と言えない人がいて、言える人でも全員に言える人と人をみて言う人がいる。そういうもの全てをクリアできてキャプテンが務まると思うので、大学の時から意識してやるようにしてきました」

「嫌われても構わない」横浜ビー・コルセアーズキャプテン生原秀将選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.36>

――言われたくないことを言って嫌われたとしても、生原選手は気にしなさそうです。

「そうですね(笑)。そもそも僕は普段から一人でいるから、嫌われても構わない。これ、好感度が下がりますよね(笑)。このへんでやめておきます」

――ここまで話してくれるなら、逆に好感度は上がるのではないでしょうか! 選手の多様な考え方を知れるのは楽しいです。

「本音って、本当は言ったほうがいいじゃないですか。今のチームだと小原(翼)がいて、腹を割って良いところも悪いところも言い合える。でもお互いに『こいつ、うぜー』とは思っていない。そこまでの信頼関係を築ければ、嫌いとかそういう感情にはならないと思いますね」

「嫌われても構わない」横浜ビー・コルセアーズキャプテン生原秀将選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.36>

――生原選手はオフ期間に怪我をして、今シーズン序盤は出場できない試合が続きました。キャプテンとしてチームをどう見ていたのでしょうか?

「それは本当に難しいところで、(カイル・ミリング)ヘッドコーチが来日するまでは、リハビリをしたいけれど練習を見て発言しないといけない立場にありました。リハビリとキャプテンの立場について考える時間は長かったです。ただ、プロとしては自分のプレータイムを伸ばしてコートで質のいいプレーを見せるのが大切なのでしょうけど、僕はあまりそういう考えがないです。特にキャプテンだと、自分のプレータイムを伸ばそうという意識になると思考が変わって発言も変化すると思うので、そういう思いが出てきたときは意識して考えないようにしています。でもね、実は僕が言うことは半分くらい嘘ですから(笑)、今回も話半分くらいで聞いといてくださいね(笑)」

「嫌われても構わない」横浜ビー・コルセアーズキャプテン生原秀将選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.36>


トップス:チャンピオン リバースウィーブ
パンツ:cozyhousetokyo
シューズ:ナイキ

取材・文:石川歩
写真:白松清之
取材・写真協力:横浜ビー・コルセアーズ

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