奥さんに怒られながら買ったナイキのシューズは?群馬クレインサンダーズ上江田勇樹選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.37>
52勝5敗という圧倒的な強さでB1昇格を果たした群馬クレインサンダーズ。B1昇格の原動力として2020-21シーズンに群馬に入団した上江田勇樹(うえたゆうき)選手は、三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)・千葉ジェッツ・富山グラウジーズ・新潟アルビレックスBBと、全国のチームを渡り歩いてきました。沖縄県那覇市出身の193cm、「買い物は奥さんの許可がいる」というプライベートの話から、33連勝中のチームの様子、上江田選手史上最強のバッシュ、今シーズンの手応えなどを聞いてきました。
上江田勇樹選手史上、最強のバッシュは?
――クラブのYouTubeチャンネルで、ネットで靴を買って奥さんに怒られたと話していました。何を買ったのか気になります!
「『ナイキ(NIKE)』のエアマックスPARIS PACKを買いました。奥さんが家にいない時に届くはずが、いる時に届くというミスがありまして、買ったのがバレて怒られました。家にいない時に届いたらあまりバレないんです。服でも、『こんなの持ってた?』と聞かれますが、『前からあったよ』って言うと大丈夫。本当は子どもとお揃いでナイキのエアマックスを履きたいのですが、なかなか奥さんの許可がおりないから、まずは僕だけ手に入れたんです(笑)。去年ABCマートで買ったマリンシューズが良かったので、家族全員分を買って川に遊びに行こうと思って奥さんに買い物申請中です」
――ちょっと自慢のシューズは、フランスのサッカークラブ『パリ・サンジェルマンFC』とコラボしたエアジョーダン5パリサンジェルマンです。上江田選手はサッカーが好きなのですか?
「好きですね。常に先の行動を読みながら連携していく動きがすごいと思って見ています。テレビで俯瞰の目線で見るとよく分かりますが、空いたスポットに駒が埋まっていくように連動しながらパス回しで進んでいくのを見ると、バスケにつながる要素があって見ていて面白いです」
――上江田選手史上、最強のバッシュは何ですか?
「エアジョーダン11LOWです。初めて足を入れたときのフィット感がすごかったし、グリップもクッション性もとても性能が良かったです。耐久性もあって、今まで履いた中で一番僕の足にフィットしたシューズでした。復刻で出ていますが、素材が違うようでちょっと硬いみたいで今は履きません」
『※上江田勇樹選手は、足が長めです』
――今日は上下ともエドウィンのF.L.Eです。F.L.Eを選んだ理由は?
「ストレスフリーがテーマのブランドで、ゆったりした感じが好きでよく着ています。最近はだぼっとしたゆとりのある服が多いので、193cmあっても服が探しやすくなりました。ネックレスはルイヴィトン、ピアスはクロムハーツです。クロムハーツのピアスは一度失くしたのですが、どうしても欲しくて買いなおしました。昔はハイブランドの服も着ていましたが、たとえばアルマーニは丈が短いんです。肩幅はぴったりなのに袖の長さが足りなくて手首が出るとか、パンツ丈も短すぎて試着室で諦めることが多かったです」
群馬クレインサンダーズ広報・宮明日香さん:「そう聞くと、今日のパンツ丈も短く見えてきますね」
「それ言うとみんなが気になってくるから、言わないで!」
――そう言われると、丈が短い気がしてきますね(笑)。
「ほら! 記事を読んでくれる人も写真を見て気になってきますよね? 『足が長めです』と注意書きしておいてください(笑)」
――「おしゃれなBリーガーは誰?」という事前アンケートには、千葉ジェッツの西村文男選手を挙げました。
「千葉で一緒のときに展示会に連れていってもらったのですが、おしゃれな人が着る服が並んでいて、文男さんはそれが似合うんです。どういう言い方が良いか分からないのですが、美容室で着るマントみたいな服を着こなしていて、『この人すげえな』と思っていました。
僕はそういう服を着こなせる自信がないです。193cmはちょっと大きすぎませんか? チームメイトで言うと(笠井)康平は175cmで、おしゃれな雰囲気を出しています。Bリーガーを見ていると、180cm前後の人はどんな服もうまく着こなしていて、身長が高くなるにつれて”おじさん感”が出てきて、2メートルを超えると服の選択肢が無い感じが出てきます」
33連勝中のプレッシャーは、使命感に変わっていった
――昨シーズン、群馬クレインサンダーズは33連勝というBリーグ記録を出しました。連勝中ははどんな気持ちでしたか?
「10連勝した後、11・12連勝まではすごく不安で、次も勝たなければいけないというプレッシャーがありました。15連勝を超えたあたりからプレッシャーが使命感に変わって、何があっても最後は絶対に勝つというメンタリティになっていきました。そこからはあっという間で、20・25・30連勝まで進んでいった。今振り返ると、10連勝を超えた時に一瞬みんながフワッとゆるむ雰囲気が出ていたんです。ただ、15連勝以降は目の前の1試合1試合を勝つことだけに集中するようになっていました」
――33連勝の後に負けた時、チームはどんな雰囲気でしたか?
「けっこうポジティブでした。やっぱり勝負に絶対は無いということを理解して、今日からもう一度引き締めていこうという感じでした。相反するようですが、試合中は絶対に勝つという気持ちでいて、負けたら100%勝つことは無いと理解して弱さを認める。僕はずっと、負けて弱さを認めた後にそれをどうポジティブに考えるかが大切だと思ってやってきました。昨シーズンだと、マイク(マイケル・パーカー)が先頭に立ってチームを鼓舞し続けてくれました。外国籍選手も含めて、切り替えができるメンバーが揃っていたんです。
ファイナルの2戦目で負けた時も『優勝できないんじゃないか……?』という雰囲気が流れましたが、ロッカールームでは落ち込む選手はいなくて、シーズン通して自分たちが出してきたダントツの記録を持ってB2で優勝してB1に行こうというメンバー共通の意識が持てていました。だから、最終戦は試合に入る前から『今日の試合は勝つな』という雰囲気になっていました」
昨シーズンから準備していた「B1で通用するチーム作り」
――昨シーズン、上江田選手はB1昇格を達成するメンバーとして群馬に移籍しました。上江田選手にとってはどんなシーズンでしたか?
「チームとして絶対にB1に上がらないといけないシーズンだったので、プレーオフ準決勝の越谷戦で勝って昇格が決まったときは正直ホッとしました。昨シーズンは多くの選手が入れ替わって良い選手が揃っていましたが、チームにならないと勝てないので、僕はチーム内のどういう立ち位置でどんな役割を果たすか試行錯誤していました。序盤は出場機会が少なくて移籍した意味が感じられなかったのですが、中盤以降は外国籍選手とバランスを取って、ベテランらしいプレーでチームをまとめられたと思います。
B1でも通用するチーム作りは、昨シーズンから取り組むべきだと思っていたので、バスケットの考え方は平岡(富士貴)ヘッドコーチと話し合っていました。コート外では、フラストレーションが溜まっていそうな若い選手の話を聞いたり……昔から僕は選手と選手の間に入ってバランスを取ることが多いです」
――今シーズンは、五十嵐圭選手、アキ・チェンバース選手など積極的な選手補強をしました。チーム編成を聞いてどう思いましたか?
「楽しみで、わくわくしました。(五十嵐)圭さんは新潟で一緒だったのでどんなプレーをするか分かっていて、また一緒に戦えるのが楽しみです。アキ(チェンバース)選手は、ずっと良い選手だと思って見ていたので、チームメイトになって心強いです。野本(建吾)はポンコツです(笑)。天然で良いキャラクターを持っていて、彼がいるとチームが明るく楽しくまとまります。201cmあって体も強いので、外国籍選手にも当たり負けしない。今シーズンのプレーが楽しみです。
今シーズンは、過去に千葉・秋田・新潟で一緒に戦っていた選手が集まっています(※)。それは、ある程度メンバーがどういう動きをするか把握できているということで、たとえばアキとマイク(マイケル・パーカー)がお互いの動きを理解してプレーしている中で、最初は僕の最適な動き方が分からないけれど3・4回やれば分かってくる。理解のスタート地点がゼロではなく、1とか2から始まる感じです。ヘッドコーチや選手が変わっても、結局やることは勝利を目標にして、どう達成していくかということです。メンバー全員が勝つための考え方に納得して同じ方向を向けば、チームとして早くまとまると思います」
※過去のシーズンで、千葉ジェッツでマイケル・パーカー、トレイ・ジョーンズ、アキ・チェンバース、秋田ノーザンハピネッツでジャスティン・キーナンと野本建吾、新潟アルビレックスBBで五十嵐圭と上江田勇樹がそれぞれチームメイトだった。
取材・文:石川歩
写真:白松清之
取材協力:群馬クレインサンダーズ