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Bリーグ×ファッション連載43回目は、サンロッカーズ渋谷のベンドラメ礼生（ベンドラメ・れお）選手が登場。Bリーグで戦う選手の中でも、おしゃれな人として知られるベンドラメ選手。今回は、レアなスニーカーの履き方から、ファッションや感性の捉え方について聞いてきました。
ドヤ顔は大事だ！
――今日のスニーカーは、NIKE×Sacaiワッフルです。そして、最近の自慢のスニーカーはTravis Scott×エアジョーダン レトロハイ。どちらも入手しづらい人気モデルです。
僕はナイキにサポートしていただいていて、どちらも頂きました。ありがたいです。バスケットボールを頑張っていて良かったと思います。
スニーカーは正確な数は分からないですが、50足以上は持っています。一番古いのは、6年前にアメリカで買ったナイキのビッグスウッシュ＜big swoosh＞です。一目惚れしたスニーカーで、今も大事にしています。足のサイズは29.5cmですが、レアなスニーカーで29cmしかない時はそれを履きます。きつくても履く！ おしゃれは我慢です。
――レアなスニーカーでも、普段から履きますか？
ガンガン履きます。「いやいやベンドラメ、あのスニーカーを履いてるよ」というのがカッコ良くないですか？ わかる人には伝わると思うので、めちゃくちゃドヤ顔で履いてます。
ただ、履いている時は変なものを踏んでいないか、何か道に落ちていないか、すごく足元を気にします（笑）。レアなスニーカーは、歩く距離が短い時に履くんです。練習場からバスで空港に行って飛行機に乗って、着いた空港からバスで移動する遠征とか。歩く距離は短いけれど移動時間は長いから、スニーカーを見ている人は多いですよね。僕のスニーカーは、バスケットファンだけでなく全国のスニーカーファンに向けています。「誰だ？！ あのスニーカーを履いているやつは！ デカい集団だ。サンロッカーズ渋谷のベンドラメというらしい！」という感じになるといいなと。僕は幅広くファンを開拓していきたいです。
――ベンドラメ選手にとって、スニーカーとはどういうものですか？
暮らしに欠かせないアイテムの一つで、気分を上げてくれるものです。スニーカーを履くことでおしゃれスイッチが入って、「今日はこのスニーカーを履きこなしているベンドラメ礼生でいないといけない」という気持ちになる。トラヴィス（スコット）を普通に履いている僕はどうよ？ っていうドヤ顔も大事です。その顔を忘れちゃうと、「無理して履いてるんじゃない？」という雰囲気になる。強がりは外に出ちゃうから、本当に自信を持って、「僕はおしゃれな生き物だ」と思って生活しています。
究極の自己満足でも、楽しいからいい
――今日のファッションのポイントは？ この連載では、Bリーグのおしゃれな選手としてベンドラメ選手の名前がよく挙がります。
今日は、最近ハマっているポロシャツを着てきました。ポイントはポロシャツのボタンを一番上までとめること。あと、（下着の）パンツは長めにして、ハーフパンツは丈を短くして膝を出すことです。
僕は、おしゃれな雰囲気を出すのは得意かもしれないです。「この人、おしゃれっぽいな」と思われる雰囲気。それって、ちょっとしたことです。例えば、この服装でポロシャツのボタンを開けて、ハーフパンツの丈が膝まであったら普通の服装になります。でもボタンと丈を変えるだけでおしゃれな雰囲気が出てくる。あとは、ドヤ顔をしていればいいと思います。どんな格好でも「これが僕だ。これがおしゃれだからやっている」という顔をしていれば、何でも流行る世の中だと思います。
――メンズファッションの一つの側面として、女性から見た正解が最適解という見方があります。ベンドラメ選手は、そういうスタイルをどう思いますか？
着る服を女性の視線を気にして決める部分はあると思いますが、僕はあまり好きじゃないかな……。変わった僕を好きでいてくれる人と一緒にいたいです。その時点で趣味が合うってことなので。
めちゃくちゃ個性豊かな人っていますよね。僕は見るからにとんでもない個性を出すところまでいくつもりはないです。頭の倍以上のツバがある帽子をかぶって、床につきそうなコートを着るみたいな、そこまでではないですが、自分がカッコいいと思う服装をしたい。自己満です。僕は究極の自己満足を表現しています。そのほうが楽しいです。
個性を出せない人の見本になりたい
――ベンドラメ選手は、いつからファッションを気にするようになりましたか？
大学で私服を着るようになってからです。当時の僕は、ジェントルマンの象徴みたいなハットをかぶっていました（笑）。当時は似合っていると思っていたけれど、今考えると似合っていないし、ちょっとズレている。今日の服装も後から振り返ったら変だと思うかもしれないけれど、今の僕の中でカッコいいと思って着れているならそれでいいです。
――東海大学の後輩で千葉ジェッツの佐藤卓磨選手は、「ベンドラメ選手は所作がおしゃれ」と言っていました。
所作、出ていますか（笑）。自分がおしゃれだと感じるものには、興味を持ちたいと思っています。今は写真や絵に興味があるし、Instagramの投稿にもこだわっている。僕はこだわりが強いのかな……飽きっぽいのでこだわりを突き詰めきれないですが、興味を持ったことはやってみたいし、どうせやるならカッコ良くやりたい。そこがおしゃれに繋がっているのかもしれません。
――アンテナの張り方に、ベンドラメ選手のオリジナリティがあるように見えます。
僕は、おしゃれな雰囲気に見えてくる思考の癖があるのかも。感性がちょっとズレているというか。人よりも生活のリズムがワンテンポ遅い気はします。人が5歩進むときに、僕は2歩しか進んでいなくて、常にどこかを見て、ゆっくり生活をしている。
オフの日は公園に行ってテントを立てて過ごしたりします。よく「公園で何をしているの？」と聞かれるんですが、うまく答えられない。木を見たり、人間観察をしたり、虫の目線になって「あの虫は仕事中かな」と考えたりしている。これが普通だと思って生活しているから、プロになっていろんな人に「お前変わってるね」と言われて初めて、僕は変わっているのかなと考えました。
――人とズレていることが、コンプレックスになりませんか？
なりません。これが僕のおしゃれで、変ではない、違うだけだと思ってやっています。最近は「これが分からないなら、まだまだ。僕の感性が分かるようになったら、君も一流だよ」というメンタルでいます。それに、このままの僕を応援してくれて、好きでいてくれる人がいます。そういう人たちがいると、僕はやって良かったと思うんです。
いろんな人が自分のおしゃれを出して、あっちもこっちも個性豊かという世界になると面白いですね。でも、たぶん自分の個性を出せない人もいると思うので、僕はそういう人たちの見本になれたらいいなと思っています。
――Bリーグのおしゃれな選手に、アルバルク東京の田中大貴選手を挙げました。
それこそ、大貴さんは所作がおしゃれです。いいブランドを身につけているから、ブランドそのもののおしゃれもあるけれど、ブランドに着られていなくて着こなしている。「とりあえずハイブランドを揃えました」ではなくて、大貴さん自身がカッコいいし、トータルでおしゃれな雰囲気があると思います。
大貴さんとは「ハーフパンツは膝出しだよね」と意見が合って、『#膝上紳士クラブ』というハッシュタグを作りました。ネタ元は、代表活動中に聞いていた変態紳士クラブというアーティストで、二人ともこのアーティストが好きなんです。
あと、大貴さんはめちゃくちゃキレイ好きです。東海大学の先輩ですが、大学生の時は「本当にここに住んでるの？」というくらい部屋にモノが無くて、ニトリの一角みたいな生活感のない空間でした。家具の選び方とか配置が絶妙でおしゃれです。
朝起きて、空を見上げて、雲を見る
――今、ベンドラメ選手が注目してることは？
アクリル絵の具とフィルムカメラです。ずっと絵が好きで、描いてみたら上出来でした。それで最近、アクリル絵の具を買いました。取材で「絵が好き」と話したら「絵が得意なベンドラメ選手に似顔絵を描いてもらおう」って取材プラスアルファが付いてくるようになった。最近は、取材のために絵の練習をしています（笑）。
フィルムカメラは、もともと写真が好きでスマートフォンでよく撮っていました。ちょっと濁った独特の写りが好きで、フィルムカメラ風の加工をしていたのだけど、もっとキレイな画質で撮りたいと思ってコンタックスというフィルムカメラを買いました。撮るのは風景とかチームメイトと食事に行った時の写真、あと車の上に乗っていたカマキリが飛びかかってきた時の写真があります。
今日は、公園にあったうさぎが気になっています！ 単なる遊具なんだけど、僕の目にはおしゃれに映ってくる。
バスケ選手をやっていなかったら、美術の専門学校に行っていたかもと思うことがあります。朝起きて空を見上げて、雲の形を見て、「今日の雲は強そうだな」とか「今日の雲は面白いなあ」と感じて写真を撮る。僕は空を見上げていれば暇しないから、毎日が楽しいですね。
キャップ：NIKE
バックパック：NIKE
ポロシャツ：NIKE
ハーフパンツ：NIKE
スニーカー：NIKE×Sacai
取材・文：石川歩
写真：白松清之
取材・写真協力：サンロッカーズ渋谷
